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「人種差別を撤廃しよう」声を上げたベルリンの韓国女性たち

登録:2020-06-10 10:56 修正:2020-06-10 13:45
留学生夫婦が侮辱・セクハラを受け 
コロナでアジア系への差別が露骨化 
反性暴力連帯「MeTooアジアンズ」など 
移住団体らが連帯、キャンペーン本格化
ドイツに住むアジア女性たちの性暴力反対運動団体「MeTooアジアンズ」が人種差別に抗議し、「#コロナは国籍(国境)を分けない」というハッシュタグやスローガンを書いたプラカードを持って写真を撮り、フェイスブックでシェアする様子=MeTooアジアンズ提//ハンギョレ新聞社供

 「アジア人は静かで問題を起こさない受動的な存在と認識され、ドイツ社会では存在感がないのです」(ドイツコリア協議会のハン・ジョンファ代表)、「ドイツ人は内心アジア人を見下していたのが、感染症を通じてヘイトに触発されました」(ドイツ・MeTooアジアンズの運営陣チョン・スニョンさん)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡散後、ドイツでも「アジア系差別」が露骨化している中、ドイツに住む韓国女性を軸に設立された二つの団体の関係者が6月初め、ハンギョレのインタビューで言及した「原因診断」だ。しかし、存在感なく見下されていたドイツのアジアコミュニティにも最近、人種差別の拡大と共に意味のある変化の動きが現れている。ドイツ公営放送「ZDF」は先月23日、「コロナによってアジア人が言語的侮辱を受けたり、暴行を受ける事例が増えたことを受け、多くのアジア人が警戒心を持ち始め、アジア移住民団体のネットワーキングにつながっている」と伝えた。

 先月29日、ドイツに住むアジアの若者たちがウェブサイト「私はウイルスではない」を開設したが、COVID-19以降のあらゆる人種差別の経験談があふれた。香港系の30代女性のメイジは「この3カ月、私の暮らしはほとんど地獄のようだ。門を出た瞬間、人々の視線が険悪。私が通り過ぎると人々が『コロナ』と言う声が聞こえる」と訴えた。

 韓国人も人種ヘイトの対象の例外ではなかった。4月25日夜、ドイツ・ベルリンの地下鉄で韓国人留学生夫婦が人種差別とセクハラを受ける事件があった。酒に酔ったドイツ人男性が「コロナ」と叫んで夫婦を侮辱し、女性にセクハラ行為を行なった。被害者夫婦が警察を呼んだが、ドイツ警察は「誰かに『コロナ』と言うこと自体は人種差別ではない」として、事件の受理を拒否した。警察は、韓国大使館が乗り出してから、ようやくこのことを「事件」として受理した。

 韓国とドイツの大統領夫人が先月7日、電話で人種差別と在住韓国人の安全問題を話し合ったが、アジア系に対する人種ヘイトのムードは依然として消えていない。ミュンヘンでは、ドイツ人が隣の中国人女性に消毒薬を振り撤いて威嚇し、道を歩いていた中国人女性が狙われ暴行を受けた。職場内のヘイト発言や街頭での侮辱、診療拒否など、COVID-19が拡散してから5月末まで、人種ヘイト相談センターに届けられたアジア人被害事例は100件を超えている。

 韓国女性が中心となったアジア女性への性暴力反対連帯団体「MeTooアジアンズ」も、性暴力だけでなく人種差別にもこれ以上「沈黙」してはいられないということで共感が形成された。会員のキム・セヒさんは「移住民であれ女性であれ、マイノリティが連帯して声を出すのが重要だ」とし、「ドイツでも自ら変わらず、参加せず、連帯しなければ何も変わらない」と気づいたと伝えた。

 実際、MeTooアジアンズはCOVID-19以後、人種差別問題にも積極的に声を上げている。キャンペーンのひとつとして、フェイスブックで「#コロナは国籍を分けません」「#人種差別はウイルスです」などのハッシュタグやスローガンを記したプラカードを持ってセルフィーを撮りシェアしている。ドイツの韓国人市民団体「コリエンテーション」や「コリア協議会」、オランダで活動する「アジアンボイシスグループ」など、欧州のアジア移住民団体10団体も連帯している。

 MeTooアジアンズは2018年に「MeTooコリアナリンネン」(MeToo-KoreanerInnen)として活動を開始したが、日本と台湾の女性など参加主体が広まり、今年2月に団体名を変えた。運営スタッフは現在7~8人で、会員は約30人。MeTooコリアナリンネンの創立会員でもあるチョン・スニョンさんは「ベルリンで開かれた朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾ろうそく集会で集まった力を基盤に、どうやって『日常の民主主義』をつくることができるかを悩み、共にか活動するようになった」とし、今後ドイツ社会と韓国コミュニティを変えていくための幅広い活動を予告した。

ベルリン/ハン・ジュヨン通信員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/948673.html韓国語原文入力:2020-06-10 07:59
訳C.M

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