日本政府は新任の在韓日本大使に主要20カ国・地域(G20)担当大使を務めた冨田浩司氏(62)を任命する人事案を15日に閣議決定した。人事発令日は22日であり、前任の長嶺安政大使は駐英国大使に移動する。
新任の冨田大使は2009年の外務省北米局参事官(日米安保関係担当)を経て、2013年には北米局長を務めており、米国関連の経歴が豊富だ。2004~2006年には在韓日本大使館政務公使を務めた経歴も持つ。2015年の在イスラエル日本大使を経てG20担当大使となった。英国の政治を扱った著書『危機の指導者チャーチル』と『マーガレット・サッチャー:政治を変えた「鉄の女」』も出版している。日本政府が、米国関連の経歴の多い冨田新大使を据えることによって、対韓外交を日米連携の枠組みの中で扱おうとする傾向がさらに強まるものとみられる。
NHKは「日韓関係が悪化する中、北朝鮮への対応などで今後もアメリカも含めた日米韓3カ国での連携が重要となる中、韓国駐在の経験があり北米局長を務めた冨田氏を起用し、(韓日)関係改善の糸口を探るねらいもあるものとみられる」と評価した。ただ現在、日本の対韓国外交は首相官邸主導であるため、大使の役割は限定的と見られる。
前任者である別所浩郎大使や長峰大使は、外務省の職業公務員のうち事務次官に続いて俗に「ナンバー2」と称される外務審議官を務めた後に在韓日本大使になっている。しかし冨田氏は外務審議官を経ずに在韓日本大使に赴任する。このため、韓日間の対立を考えると、日本が格を下げたのではないかという指摘もあった。
冨田新大使は小説『金閣寺』などで有名な小説家、三島由紀夫の娘婿としても有名だ。妻が三島の長女だ。三島は初期には耽美主義的な作品で有名だったが、後に右翼的思想に傾倒する。一種の民兵組織である「楯の会」を結成し、1970年に東京の陸上自衛隊の建物で割腹自殺している。