ハンガリーのドナウ川で遊覧船ハブレアニ号に追突したクルーズ船「バイキング・シギン」の船長が1日に拘束される中で、欧州内陸水路を運航する豪華クルーズ船会社の“奴隷労働”の問題が再び注目されている。クルーズの船長と乗組員の劣悪な労働条件がクルーズ旅行の安全を脅かしているという指摘が出ている。
スイスと欧州内陸を運航するクルーズ船会社のこのような問題は、すでに4月末、スイス公営の「スイス ラジオ テレビ」(SRF)を通して提起されている。 ハンガリーのメディアは、29日(現地時間)に事故を起こしたクルーズ船バイキング・シギンの親会社である「バイキング・クルーズ」がスイスのバーゼルに本部を置いているとして、最近再びクルーズ船会社の“奴隷労働”問題を取り上げた。
「川の旅:欺瞞的な田園」というタイトルで「スイス ラジオ テレビ」(SRF)が報道した記事の中で、バイキング・クルーズに雇用されていたルーマニア出身の従業員ペトル・シネスク氏は、昨年バイキング・クルーズ所属の船舶の食堂で働いたことに関して「私の人生で最悪の経験だった。奴隷生活のようだった」と話す。 彼は「一日15時間、週7日間働いた」と言い「毎週95時間以上働いた」と付け加えた。3週間で仕事を辞めたという彼が、22日間働いて受け取った給与は税込みで809ユーロ(約9万8千円)だった。 これと関連してバイキング・クルーズ側は、コメントを拒否しながらも「週48時間」労働という国際基準を遵守していると答えたという。
実名インタビューに応じたのはシネスク氏だけだったが、 SRFは何人かの船長や専門家たち及びクルーズの従業員からも同様な内容を確認したと報道した。 匿名を要求したある船長は「多くの船会社がシーズンが始まった後2~3カ月ごとに船員の半分を変えなければならない。みんな辞めていくからだ」と話した。 専門家たちは、クルーズ産業従事者の頻繁な離職と慢性的な職員不足がクルーズ運航の安全を脅かし、ますます多くの事故につながる恐れがあると指摘した。