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ハンガリー遊覧船沈没:九死に一生を得た娘「父が水泳教えてくれたので命拾い」

登録:2019-05-31 07:57 修正:2019-05-31 10:53
妻・娘救助、義兄・義姉が行方不明となったユン・ヨンスンさん 
 
「あっ、ぶつかると思った瞬間まっ逆さまに 
水を飲み込んで泳いでいるとき船が来た 
救助の途中で母の声も聞き… 
 
長い闘病を乗り越えた義兄のための家族旅行 
義姉・義兄の生死が分からずもどかしい 
政府・旅行会社からは電話一本ない」
ハンガリー・ブダペストの遊覧船沈没事故現場に派遣される国際救助隊が今月30日、ヘリコプターで仁川航空隊に到着し救助装備を下ろしている=消防庁提供//ハンギョレ新聞社

 「小さい頃お父さんが水泳を教えてくれたおかげで助かった」

 電話機の向こうから涙ぐむ娘の声が聞こえた。ユン・ヨンスンさん(57)の娘のYさん(32)は、30日現在韓国人7人が死亡し19人が行方不明状態と確認されたハンガリー・ブダペストのドナウ川で沈没した遊覧船「ハブレアニ」(ハンガリー語で人魚)に乗っていた。娘は船が沈没した後、泳いで劇的に生き延びたと涙声で話した。ソウル恩平区近郊に住み、一緒に旅行に行ったユンさんの妻のKさん(55)と娘は劇的に救助され、ユンさんの義姉(62)と義兄(61)の生死は確認されていない。

 この日午後6時頃、恩平区の自宅前でハンギョレの取材に応じたユンさん「朝、娘が他の人の電話を借りて息子の携帯電話に電話をかけてきた。家の番号も夫の番号も思い出せず弟の番号を思い出して電話したと言っていた」とし、「息子が、最初は国外番号だったのでボイスフィッシングだと思って取らなかったが、ハンガリーで緊急な事が起きたというカカオトークのメッセージを受け、午前8時40分ごろ娘と電話をした」と話した。彼は「娘の説明によると、突然大きな船が来て『あっ、あの船がぶつかるよ?』と言っていたところ、真っ逆さまに落ちたという」と言い、「ひどく水も飲み、必死で泳いでじたばたしていたところ、救助要員が助けてくれて、小さな船が来て救助されたらしい。『死ぬと思っていたのに、死んで生き返った』と言っていた」と話した。

 ユンさんの娘と妻は事故後まだ会えていない状態だという。ユンさんは「娘が水から上がると母の声が聞こえ、それで母に救助されたことを知って安心したそうだ。それぞれ別の救急車で運ばれ、別の病院に運ばれたという」とし、「妻はまだ病院に入院しており、娘はいろいろ検査を受けた後、今はホテルで心理治療を受けて休んでいる」と話した。

ハンガリーのドナウ川遊覧船沈没現場に出動した救助隊//ハンギョレ新聞社

 ユンさんの家族は、今回行方不明になった義兄が長年の闘病の末に病気を克服したことを記念して、家族旅行に行ったと話した。ユンさんは「義兄が3年前に脳梗塞を患い、体の半分が使えなくなったが、一生懸命運動をしてかなり良くなり、それを見た義姉がお金を負担して旅行に行った」と話した。彼は「ところが娘が今回の旅行日程を組んだことで罪責感を感じている」とし、「娘が泣きながら『お父さん、どうしよう、私のせいであんなことになったのかも』と言った」と話した。

 ユンさんは、政府の事故処理に対してもどかしさを訴えた。ユンさんは「死亡者名簿がまだ出ていないので義姉と義兄の生死が分からず、とてももどかしい。それが早く公開されなければ」とし、「政府からも旅行会社からもまだ電話一本かかってきこない。旅行会社には我々が先に連絡した」と訴えた。ユンさんは「早く行ける飛行機もなく、遅く出発しても直航便がないため11時間以上乗って行かなければならない。こんな時、政府がチャーター機でも飛ばして家族たちと救助隊、医療チームなどを送ってくれればどれだけいいかと」とし、「うちの娘の夫と義姉の娘とその夫が、午前1時の飛行機に乗ってハンガリーに行く予定」だと話した。

文・写真 イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/896046.html韓国語原文入力:2019-05-30 21:06
訳M.C

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