日本の裁判所が、広島と長崎で原爆によって被爆した韓国人らの遺族たちが起こした損害賠償訴訟について敗訴判決を下した。日本政府は昨年から「除斥期間経過」を突然主張して出たが、日本の裁判所がこの主張を初めて受け入れた。
大阪地方裁判所は31日、1975~95年に死亡した「在外被爆者」らの遺族約150人が日本政府を対象に起こした損害賠償訴訟で「在外被爆者が死亡してから20年が経ったので、遺族の損害賠償請求を棄却する」という判決を下した。「在外被爆者」とは、日本に住んでいない原爆被害者を意味する言葉であり、日帝時代に徴用などで広島と長崎に連れてこられ原爆により被爆した韓国人たちが多くを占める。
日本政府は2次大戦敗戦後の1957年3月、原爆被爆者たちの治療を支援するための「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律」を制定したが、1974年から医療費の支援対象(月約3万4千円)を「日本に住んでいる人」に限定した。同じ被爆者だが解放後に韓国に帰った韓国人たちは、事実上支援対象から除外された。この処置は2003年まで続いた。
日本政府の差別的処置に対する韓国人原爆被害者と、彼らを支援する市民団体の闘争が数十年間続き、日本の最高裁判所は2007年、日本政府が韓国人原爆被害者と遺族に1人当たり120万円ずつ賠償するよう判決を下した。この判決以来、日本政府は原爆被爆の事実が立証さえされれば、裁判上の和解を通じて損害賠償に応じた。日本政府は2016年9月まで約6千人と和解し、損害賠償を行った。
しかし、日本政府は昨年急に、民法上の不法行為が行われた時点から20年が過ぎれば損害賠償請求権が消滅するという除斥期間の規定を主張し、和解を拒否し始めた。日本政府は当時、いきなりこのような主張をし出したことについて「除斥期間経過を認識したのは(今年)の春だった」と釈明した。遺族らが「(死亡して)20年が過ぎたといって、国家が賠償責任から逃れたというのは著しく正義に反する」と反発したが、除斥期間の主張を曲げなかった。
大阪地方裁判所は31日、除斥期間は経過したが和解を通じて賠償を受けた人々がすでにいるという点については「政府が不注意だった」としながらも、「(日本政府の除斥期間の主張が)公平性に反するということはできない」と判決を下した。日本の裁判所が韓国人被爆者遺族との和解を拒否する日本政府の方針を追認した格好になった。似たような裁判が広島と長崎でも進行中であり、影響を及ぼす可能性が高い。
日本政府が突然、除斥期間経過を主張した背景には、安倍晋三政権が発足して急激になった日本社会の右傾化と韓日関係の悪化があるものとみられる。読売新聞は31日、日本政府が2022年から実施する新たな高校学習指導要領に領土と安保を教育する「公共」を公民(一般社会)分野の必須科目として新設することにしたと報道した。公共科目は「さまざまな選択・判断をする時に活用される概念と理論、公共的な空間に対する基本的な原則を理解するための科目」であり、ここで「公共的な空間」とは領土を意味する。独島(日本名・竹島)と尖閣諸島(中国名・釣魚島)など、日本が周辺諸国と領土紛争中であったり領土紛争を狙う地域が「日本領土」だという主張を、生徒たちにもっと強く教育させる意図とみられる。