ドナルド・トランプ政権が北朝鮮とイランを「ならず者国家」と規定する一方、中国とロシアの浮上に対する対応を最優先国防政策に据えることを主な内容とする国防戦略を公開した。
米国防総省が19日(現地時間)、ジェームズ・マティス長官名義で発表した「2018年国家防衛戦略」は、「国連の非難と制裁にもかかわらず、北朝鮮の違法行為と無謀な発言が続いている」と批判した。さらに、「北朝鮮やイランのようなならず者国家の核兵器とテロ支援が当該地域を不安定にさせている」と指摘した。
同報告書は特に、「北朝鮮は核や生物兵器、通常兵器、非通常兵器の組合せと弾道ミサイルの性能改善を通じて、韓日米に強圧的影響力を行使する方法で、体制の生存と(交渉)手段を確保しようとしている」と分析した。同報告書は「イランの弾道ミサイル輸出からも分かるように、ならず者国家は大量破壊兵器の力量を悪意を持っている勢力に拡散させている」としたうえで、「核兵器の技術と先端製造技術の拡散は依然として問題になっている」と明らかにした。
同報告書は「ならず者国家に対する抑止と対応努力を続ける」としたうえで、「(中東や太平洋などそれぞれの)地域におけるミサイル脅威及び北朝鮮の弾道ミサイルの脅威について、多層的な防御や妨害力量の確保にミサイル防衛投資の焦点を合わせていく」と明らかにした。
マティス長官は、ワシントンのジョンズ・ホプキンス大学国際関係大学院で国家防衛戦略を発表し、「私が就任した当時、中央情報局(CIA)は『もしかすると、朝鮮半島のどこかに最初の危機が訪れるかもしれない』とブリーフィングをした」と紹介した。
これに先立ち、トランプ大統領は昨年12月18日、新しい新国家安全保障戦略を直接発表したが、当時も報告書で北朝鮮とイランを「ならず者政権」と規定した。しかし、当時の報告書に書かれていた「北朝鮮が核兵器で数百万人の米国人の殺傷を狙っている」などの刺激的な表現は(今回の国家防衛戦略では)姿を消した。
中国に対しては「南シナ海の地形を軍事化し、隣国を脅かすため、略奪的な経済を駆使する戦略的競争相手」だと明らかにした。「戦略的」という表現は、先月の国家安全保障戦略の発表直前に抜けたもので、安保や経済などすべての分野で中国の浮上を阻止するというかなり強い意味を含んでいる。
実際、同報告書は「中国が近い未来にインド太平洋地域の覇権を目指し、世界的レベルでも米国にとって代わる優位を達成するため、軍の現代化を引き続き追求するだろう」と見通した。これを根拠に「中ロとの長期的かつ戦略的な競争が国防総省の最優先政策課題」だとしたうえで、陸海空軍合同力量の強化▽インド太平洋地域の同盟と協力国家の拡大▽北大西洋条約機構同盟の強化などを提示した。
このような内容から、トランプ政権が中国をけん制するため、韓国と日本など同盟国間の軍事訓練の強化や武器購入の増大などを強く求めるものと予想される。ニューヨーク・タイムズ紙は「ほぼ20年ぶりに、米国の国防政策の優先順位がテロとの戦争から中ロの軍事力への対抗に変わった」と評価した。
中国官営の「新華社通信」は駐米中国大使館が「冷戦的思考とゼロサムゲームの考え方に基づいて世界を見ると、結局、軋轢と対決に向かうしかない」と批判したと、21日付で報じた。中国国防部の任国強報道官も声明で、今回の報告書が中国軍の現代化を不当に論じており、事実を歪曲して中国の軍事的脅威を誇張していると批判した。
韓国語原文入力:2018-01-21 21:58
訳H.J