西部ホムス県・ハマー県の近隣都市を猛爆
ISとは100キロ離れた反乱軍の根拠地
西側「深刻な憂慮」猛非難
シリアのアサド政権は歓呼
1日にも反乱軍連合体地域を爆撃
30日(現地時間)ロシアの戦闘爆撃機がシリアで断行した初めての空襲対象は、ロシアの主張とは異なりイスラム国家(IS)ではなく、パシャル・アサド政権に反対してきたシリア反乱軍だった。 米国など西側陣営は直ちに「深刻な憂慮」とともに批判を浴びせた反面、シリア政府は歓呼した。 ロシアは1日にもアルカイダのシリア支部であるヌスラ戦線など反乱軍連合体が掌握した地域を爆撃した。
イーゴリ・コナシェンコフ・ロシア国防部報道官は「ロシア空軍がシリア領土内のテロ団体イスラム国家の拠点8カ所に精密打撃を加えた」と明らかにしたとインターファックス通信が30日報道した。 彼は約20波にわたる空襲でイスラム国家の管制センターと武器、燃料、補給倉庫などを破壊したと述べた。 また「すべての空襲がシリア軍司令部から受けた航空調査資料を確認して行われた」と強調した。
空襲を見守った米国など西側は、ロシアがイスラム国家ではなくシリア反乱軍の拠点を打撃したと非難した。 打撃地点はシリア西部のホムス県とハマー県の近隣都市で、2011年にアサド政権に対抗したシリア反乱軍の根拠地だ。シリア反乱軍はイスラム国家が勢力を拡大するとイスラム国家に対抗して戦っているが、アサド政権にとっては反対勢力だ。合わせてホムス県とハマー県地域は首都ダマスカスとアサド一族の基盤であるラタキアとタルトゥスを連結する要地にあって、アサド政権にとっては重要な所だ。アサド政権を支持してきたロシアがシリア内戦に介入すれば、反乱軍が攻撃対象になりかねないという憂慮が出ていた所以だ。
米国のアシュトン・カーター国防長官とジョン・ケリー国務長官はこの日、ロシアの空襲がイスラム国家勢力がいない地域で行われたと見られるとし憂慮を示した。米紙ニューヨークタイムズは米中央情報局(CIA)が隠密に武器を支援し訓練させてきた反乱軍部隊一カ所以上が攻撃を受けたと、米政府高位関係者の話を引用して報道した。 米当局者は具体的には明らかにしなかったが「(被害規模が)小さくない」と伝えた。
ハマー地域に根拠地を置き米国主導連合軍の支援を受けてきた部隊に属したジャミル・サルレは「我々はイスラム国家といかなる関係もなく、イスラム国家は少なくとも100キロ離れたところにいる」とし、ロシアの爆撃を非難した。 ホムス近隣の都市であるタルビセでは「今までで最も強力な爆撃」という住民の声が出てきている。 ホムス防衛軍側は、ロシアによる空襲で36人が亡くなったと明らかにした。
セルゲイ・ラブロフ ロシア外相は、空襲地域に関する記者たちの質問に「ロシア空襲に関してペンタゴン(米国防総省)の話を聞くな」として一蹴した。ロシアは1日にはシリア北西部のイドリブ県の反乱軍連合体基地などを30余回空襲した。