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ナチの蛮行を直視した統一ドイツ初代大統領ワイツゼッカー逝去

登録:2015-02-02 00:45 修正:2015-02-02 09:32
統一ドイツの初代大統領リヒャルト・フォン・ワイツゼッカー。 //ハンギョレ新聞社

 ナチスドイツの過去の歴史を直視せよと促した、統一ドイツ初の大統領リヒャルト・フォン・ワイツゼッカーが1月31日、逝去した。ドイツのDPA通信はこの日、ワイツゼッカー元大統領家族の発表を引用して彼の死亡の便りを伝えた。 享年94歳

 ワイツゼッカー元大統領は1920年シュツットガルトで生まれた。 英国オックスフォード大学で哲学と歴史を学び、ドイツのゲッティンゲン大学で法学博士学位を取得し、54年にキリスト教民主党に入党し政治に入門した。 89年のベルリンの壁崩壊、90年のドイツ統一、91年のソ連崩壊など歴史的激変期に西ベルリン市長(1981~84)と大統領(1984~94)として社会統合と民族和合に寄与した。

 彼は85年5月、西ドイツ議会で「第2次世界大戦終戦40周年記念」演説を通じ、ナチズムの暗い歴史に対する凄絶な反省と教訓を力説して世界の注目を浴びた。 彼は演説で「罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばならない」とし「ドイツ人は過去を変えたり歪曲することなく真実を直視しなければならない。記憶しなくては和解もありえない」と強調した。 彼は「ドイツの若者たちが単に自分がドイツ人だという理由だけで懺悔すると期待することはできない」とし「若い世代と既成世代は(ナチの蛮行を)記憶することがなぜ重要なのか理解するよう互いに助け合うべきだ」と強調した。

 彼自身もナチの被害者だった。 第2次大戦で徴集され戦闘中に負傷し、兄は戦死した。 外交官だった父親はヒットラー政権に背いた疑いで戦犯裁判で7年の刑(後に5年に減刑)を宣告されている。

 ヨアヒム・ガウク現大統領は故人の夫人に送った弔問の手紙で「私たちは偉大な人間、非凡な国家指導者を失った」とし「彼は特に若い後代との関係で集団記憶と過去から教訓を得ることを非常に重視した」と振り返った。 アンゲラ・メルケル首相も「ワイツゼッカーの死去はドイツに途方もない損失」とし「彼の85年演説はドイツが自らを理解するのに意味深く、必須であり、そして明らかな演説だった」と話した。

 故人はドイツの代表的な親韓派政治家で何回も韓国を訪問し、故金大中大統領との40年に及ぶ知己として“太陽政策”を強力に支持した。

チョ・イルジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/676289.html 韓国語原文入力:2015/02/01 18:53
訳J.S(1163字)