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[ハンギョレ21 2010.01.29第796号]ミネラルウォーターでなく酒, 見ーつけた?

ろうそく集会‘寄付横領罪’の呆れ返る内幕,
せいぜいが起訴猶予で終わることを勇敢に起訴したら(2143字)

事例1.再開発組合の定款では組合役員の内、報酬を受ける常勤役員の数を3人に制限しており‘組合役員または代議員の親姻戚である者’を組合の職員として採用できないようにしていた。ところが、組合長が組合総会を経ずに常勤役員でない組合理事の内3人に1年余りの間、毎月150万ウォンずつ給与名目で支給した。役員報酬規定を変更しようとすれば組合総会を経て定款を変更しなければならないが、このような手続きも経なかった。結局、組合員らがこれを知り告訴した。

事例2.ある市民がろうそく集会の参加中に自身が会員として加入しているサイトの会員たちに‘ロウソクのあかり寄付’募金を提案した。個人名義口座と路上での直接募金方式で2200万ウォン程を集めた。ところが募金されたお金の使途に対してサイト内で論難が起きた。88万ウォン相当の使途が不明だと知らされた。検察による捜査の結果、76万ウォン程は酒とつまみなどを購入し示威参加者たちが一緒に飲み、残り12万ウォンはハシゴなどの示威用品を購入したことが明らかになった。

←より大きな不正義にも目をつぶる検察は、唯一ロウソクのあかりと関連した懸案では目を血走らせて食いついた。2008年ろうそく集会当時、自発的に寄付を集めている市民たち. <ハンギョレ21>パク・スンファ記者

 

横領罪 必須要素が欠如 "無罪"

上の2つの事例中、検察が刑事処罰を目的に起訴した事例はどちらだろうか? 事例1の場合には、毎月450万ウォンずつ14ヶ月間、計6300万ウォンの組合公金が役員らに給与名目で支給された。事例2の場合には、寄付募金の当初目的であるミネラルウォーターやチョコパイなどの購入に使われはしなかったが、募金者が個人的に使ったのではなく集会参加者たちのために使ったと発表された事案だった。しかも、その金額も88万ウォンという比較的小額だった。

検察は事例1に対しては、"組合の役員または代議員の親姻戚である者" が職員になれないだけで "組合役員が自ら組合の職員になることを禁止する規定ではない" として無嫌疑処分を下した。事例2に対しては横領などの罪で罰金100万ウォンの略式命令を請求した。

組合員の同意なしで組合長と理事たちが組み、組合公金をむやみに使ったので組合長と役員を必ず処罰しなければなければならないと告訴人である組合員たちは考えた。役員の親姻戚でさえ職員に採用できないのに、役員は自ら職員になることができるとは、検察のこういう解釈はどうすれば可能になるのだろうか?

事例2に関し、1審裁判所は有罪、2審裁判所は無罪を宣告した。1審裁判所では酒とつまみ,ハシゴを購入したことが示威参加者たちのために使われたとしても、当初の募金目的(ミネラルウォーターとチョコパイ購入など)に外れるという理由で横領罪の有罪を認め、罰金100万ウォンを宣告した。反面2審では、ろうそく集会参加者が数十万人に達し、募金したお金で購入した酒とつまみなどが特定集会参加者にだけ提供されたのではなく不特定多数の人々のためのものであり、ハシゴなどの購入もやはり集会に使うためのものだったので、横領罪の成立に必須要素である‘不法領得意志’(自分のものにしようとする考え)が認められないということだ。

横領罪は本来、他の人のために物を保管した人が保管を任せた趣旨と違って物を処分する時に成立する犯罪だが、当初趣旨とは違うが本来の所有者のために保管者が物を処分した以上は横領罪で処罰できないという大法院判例もある。

結局、検察が事例2の懸案を起訴したのは‘寄付募金当時にはミネラルウォーターとチョコパイを買い集会参加者に配ると言っておきながら、どうして酒とつまみ,ハシゴ(オー不法集会の証拠物?)を購入したんだと? 見ーつけた!’ まあ、あらましこういう心情ではないだろうか? 見たところ当事者が他に前科があるようでもないが、通常の事件ならばいくら大きく見てもせいぜい起訴猶予を越えにくい事案を勇敢に起訴までしたことを見れば、ろうそく集会の粗探しをしたい一心がより強かったためではないだろうか?

ロウソクのあかりの粗捜しが至急だったか

いや、検察官がろうそく集会に一度も参加しなかったために道の所々に囲んで座り、米国産牛肉の危険性について話し、イカとピーナッツをつまみにしてビールを飲んでいる数多くの市民を目撃できなかったためであろうか? しかも事例2の当事者は、自身が直接購入せず他の人が集会参加のために購入した物品に対しても寄付として会計処理をし、問題になった物品の購入もやはり大部分は他の人が購入したと発表された。検察の起訴提起の正当性により一層の疑問を抱かざるを得ない。
クォン・ジョンスン弁護士・法務法人 ロテク

原文: http://h21.hani.co.kr/arti/cover/cover_general/26656.html 訳J.S