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危機のトヨタ、韓国産部品供給先を増やすか

原文入力:2011/06/05 22:58(1589字)
ファン・ボヨン記者

豊田章男社長、初の訪韓
大地震の余波で‘ジャストインタイム’に支障…生産中断の苦い経験
"11月になれば回復するだろう" …国内市場不振も直接点検

←トヨタと現代・起亜自動車の米国市場占有率

去る4日午後、トヨタ自動車のオーナー 豊田章男社長がソウル、論峴洞のトヨタ・江南展示場に突然登場した。彼は最高級セダンの代わりにトヨタの多人乗ミニバン‘シエナ’に乗って現れた。下半期に韓国内発売を目指している車両だ。‘サンキューコリア’(Thank you Korea)という字句が刻まれたバッジをつけて来た彼は「トヨタの経営哲学である‘現地現物’に立ち韓国の営業一線を点検し(東日本大地震以後の)復旧状況を説明し理解を求めるために来た」と話を切り出した。

1泊2日の日程で来た豊田章男社長の今回の訪韓と関連して、その背景に大きな関心が集まっている。まず株主総会が開かれる6月には最高経営者(CEO)が外国出張に出ないという長年の慣例を破った点が注目を引く。訪韓日程が電撃的に決められたという意だ。その上、今回の日程は2009年6月の代表理事就任以後 初の訪韓だ。彼はその年末、トヨタ ブランドの国内発売行事にも韓国を訪れなかった。

韓国国内業界は大地震で部品需給に打撃を受けたトヨタがより安定した自動車生産を苦悩している時点で彼の訪韓が実現したということに注目している。トヨタは去る3月、大地震の余波で部品の適時供給を受けられず日本国内だけでなく海外工場らの生産が一時中断される不覚を取った。ついに先月11日、小澤哲 副社長は実績発表の席で「日本での生産をずっと維持しなければならないのか疑問」という話まで投じた。余震と電力不足など悪条件が残っている状況で、トヨタが一部生産設備を国外へ移転することがありうるという極端な観測まで出てくる背景だ。

業界内外ではトヨタが部品供給網を複数に増やすために韓国業者を相手に部品供給先の多角化を模索しており、豊田章男社長の訪韓がこれと関係があるのではないかという解釈が力を増している。彼もこの日、韓国に生産施設投資計画を尋ねる記者たちの質問には即答を避けたが、「大地震で部品供給に支障が生じ初期に500品目に問題が発生するなど生産回復に時間が多くかかった」として「11月になれば全ライン、全製品で本来どおりの生産が可能になる」という言葉で部品供給と関連した苦悩を表わした。

トヨタの韓国内市場販売増大を狙う布石という分析もある。今年、国内輸入車市場は昨年より30%増え、初めて年間10万台突破を予想しているが トヨタは不振を免れなくなっている。先月までトヨタの韓国市場販売は前年同期より20%以上減った。先月米国市場で現代・起亜車との販売格差が大きく狭まるなどグローバル市場での不振が韓国市場でもそのまま反映されているわけだ。

キム・ピルス大林大教授(自動車学)は 「新車発売周期が長く車種も多様でなく旧態依然な車になってしまったトヨタの競争力を引き上げる新たな戦略をたてるために社長が直接現場を訪問したと見られる」と話した。実際、豊田章男社長は4日夕方、ウォーカーヒルホテルで開かれたトヨタ・レクサス ディーラーらの年次総会に参加し5日にもレクサス ショールームを視察するなど、ディーラーの志気の盛り上げに多くの時間を割いた。今回のディーラー総会では「3年以内にトヨタが韓国輸入車市場で1位に上がれるようにしよう」という確約がかわされたと知られた。

ファン・ボヨン記者 whynot@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/car/481327.html 訳J.S