原文入力:2011/05/31 22:17(2422字)
アン・ソンヒ記者
政府、昨年 外国為替平衡基金 運用報告…金利差 損失だけで3兆5千億
政府が外国為替市場介入のために運用する基金である外国為替平衡基金で被った損失が昨年 5兆ウォンを越えたことが明らかになった。この内、調達・運用金利の逆マージンが3兆5000億ウォンに肉迫した。
31日、企画財政部が国会に提出した‘2010年国家決算報告書’を見れば、昨年 外国為替平衡基金の当期純損失は5兆1000億ウォンに達する。為替レート変動にともなう‘換平価損失’が1兆4400億ウォン、金利差損失(逆マージン)と派生商品損失を合わせた‘二次損失’が3兆6600億ウォンだった。昨年の派生商品損失は僅かな水準だと知らされ、金利差損失だけで3兆5000億ウォン程度であると推定される。
政府は外国為替平衡基金で国債(外平債)を発行して資金を用意した後、外国為替市場でドルを買い入れウォン-ドル為替レートの下落を防ぐために使ってきた。このような形の外国為替市場介入が増え外平債残額は1997年の4兆2000億ウォンから昨年は120兆6200億ウォンへ急増した。しかし外国為替平衡基金調達金利(外平債金利)より運用金利(米国国債などに投資)が低いために構造的な逆マージンが発生する。こういう金利差は2009年2.46%から2010年2.79%に拡大し、金利差損失も2兆6300億ウォンから3兆5000億ウォンに増えた。
特に李明博政府は2009~2010年、高為替レート維持のために外国為替市場に積極的に介入し外平債(韓国ウォン)残額を23兆8000億ウォンも増やした。この期間の金利差を適用し計算してみれば、このように外平債を増やし追加的に増やした金利差損失が8500億ウォンに及ぶと推定される。アン・ソンヒ記者 shan@hani.co.kr
外国為替平衡基金金利差損失 雪だるま
逆マージン 2007年 1兆4千億→ 2010年 3兆5千億
税金損失で支えた高為替レート
政府が外国為替市場への介入を通じて高為替レートを維持する場合、輸出企業には大きな利益になるが、一般国民は高物価に苦しめられなければならない。だが、高為替レート政策はこういう間接的負担だけではない。外国為替平衡基金を通じて国民の税金が年間 数兆ウォンずつ投じられる。
■ 逆マージン 持続 増加
外国為替平衡基金は参与政府時期にウォン-ドル為替レートが急速に下落し その速度を遅らせるための政府介入で一度急増し、李明博政府が去る2年間に高為替レート政策を展開する中で再度急増した。国家債務の中で外平債が占める比重は1997年7%から昨年30.5%まで増えた。国家債務増加の主要原因の一つが外平債だ。
政府は 「市場介入で買い入れたドルで米国国債など外貨資産をまた買うので外平債は他の国家債務とは違う」と話している。すなわち‘赤字性債務’ではなく‘金融性債務’だという意味だ。だが、チョン・ジュソン梨花女子大教授(経済学)は「外国為替平衡基金の調達金利(外平債金利)が運用金利(米国債金利)より高いために生じる損失を埋めるための外平債は、事実上 赤字性債務とみるべきだ」と指摘した。債務に対応する外貨資産がないためだ。外国為替平衡基金はすでに債務が資本より大きい資本蚕食状態であり、昨年末の累積赤字は18兆8900億ウォンに達している。
外国為替平衡基金の当期順損益は毎年の為替レート変動にともなう換平価損益と派生商品損益が含まれるので凹凸がある。だが、この2つの部分を除き金利差損失(逆マージン)だけを見れば、2007年1兆4000億ウォン、2008年2兆100億ウォン、2009年2兆6300億ウォン、2010年3兆5000億ウォン(推定)等となり持続的に増加している。 構造上この損失は今後もより大きくならざるを得ない。しかも政府は今年も外平債を16兆ウォン発行する計画だ。
■ "政策費用" vs "慎重にすべき"
政府の外国為替市場介入の直接的結果は2種類だ。一つは為替レート上昇、他の一つは外国為替保有額の増加だ。ウォン-ドル為替レートは去る2008年以後 1100ウォン水準内外を抜け出さずにいて、外国為替保有額は去る4月末 3072億ドルまで増えた。財政部高位関係者は「輸出競争力などを考慮すれば為替レートが急激に下がることを放置することはできないではないか」と話した。また「外国為替保有額は金融危機時の最後の砦なので、そのために費用は軍隊維持のための国防費と考えなければならない」と強調した。
だが、こういう外国為替当局の確固たる立場に対する懐疑的見解も少なくない。輸出大企業に帰る恩恵に伴い、内需企業と一般消費者は輸入費用増加と高物価で被害を被ることになるためだ。適正外国為替保有額規模に対する論議も大きい。国会企画財政委は昨年末、外国為替平衡基金運用計画案検討報告書で「2008年金融危機時の混乱は単に外国為替保有額が少ないことではなく、短期外債管理と金融機関の健全性が脆弱だったため」としつつ「外国為替を保有するほど金利損失が発生しているだけに、外国為替健全性のための制度的装置の用意にさらに力量を傾けなければならない」と指摘した。
チョン・ジュソン教授は「他の政策と同様に外国為替市場への介入はその便益が費用を凌駕する時に正当化しうる」として「外国為替平衡基金の財政費用を考慮するなら外国為替市場介入はもう少し慎重に行う必要がある」と話した。 アン・ソンヒ記者 shan@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/480623.html 訳J.S