原文入力:2011-01-10午前08:23:06(2088字)
3部:政策を語る-経済①罠に陥った韓国経済-借金の罠
イ・ジェソン記者
2008年9月15日、世界4大投資銀行リーマンブラザースの破産保護申請は全世界金融市場を動揺させた。米国を含む世界主要国の資本市場と不動産市場は深いどん底に陥った。金融危機は直ちに実物危機につながり各国の産業生産が急減し大量失業事態が発生した。これに対して経済専門家たちは新自由主義と株主資本主義の終焉を宣言し、これに代わる新しい経済体制を探すことに没頭している。
しかし新自由主義の終列車に乗った李明博政府はスタート以後、今まで旧体制の復元を今なお試みている。金大中-盧武鉉政府から受け継いだ無分別な世界化と両極化の弊害はより一層深化している。一言で言えば李明博政府の経済政策基調は、グローバル金融危機を招いた成長中心の市場万能主義をそのまま踏襲している。減税と規制緩和、低金利と高為替レートを通じた輸出大企業中心の成長戦略がまさにその証拠だ。グローバル金融危機が与える教訓を学ばない姿だ。
これに対し<ハンギョレ>はグローバル金融危機と李明博政府の経済運用にともなう経済状況と構造変化を批判的に点検し、これを克服できる進歩的経済政策と課題を探してみる企画を準備した。
職場生活12年目のキム・ジョンス(仮名・42)氏は借金償還だけに月に210万ウォンがかかる。一人稼ぎだが月平均給料が600万ウォンと少なくないのに、家計収支はいつもギリギリだ。収入の30%を借金返済に使い、二人の子供の教育費と生活費などを出せば貯蓄には意欲も出ない。キム氏はこれが全てアパートのためだと考えている。去る2007年に2億ウォン超える貸し出しを受け、龍仁のアパートを‘買ってしまった’ことだ。初めの1年間は住居価格が騰って幸せだった。家計経済が成長していると思った。ところが子供たちが大きくなりますます借金償還が手に余るようになってきた。家を売ろうとしたが今は見に来る人もいない。彼は今、恐怖感に陥っている。
ただキム氏だけの問題ではない。金大中、盧武鉉政府を経る10年間、中産層家計を襲った最大の変化は借金が大きく膨らんだという点だ。去る2001年に初めて、年間収入より借金が多くなる逆転現象が起き、以後 毎年その格差が大きくなっている。我が国の家計負債比率は2007年以後‘サブプライムの国’米国を追い抜いた。貯蓄率は経済協力開発機構(OECD)国家中15位にとどまるほどに落ちている。
李明博政府スタート後には家計収支がさらに悪化している。韓国金融研究院の調査によれば、2009年6月末現在の全国住宅所有世帯の内、年間所得対比借金が3倍以上の世帯が19.6%に達する。月平均の元利金償還額が所得の40%を越える世帯が15.8%で、7世帯の内 1世帯を占める。統計庁が調査した昨年3分期の全国世帯の世帯当り月平均所得は前年同期より6.1%の増加に留まった反面、利子支払額は17.3%も増加した。大韓民国はなぜこういう借金まみれのの人の国になったのだろうか?
第一に、景気浮揚のための‘借金に依存した成長政策’が元凶に指定される。政府は成長鈍化現象を流動性で克服しようと‘貨幣散布政策’を繰り広げた。金融規制を緩和し、銀行は個人を相手に貸し出し競争を行った。大企業は現金留保率を増やしながら借入比重を減らし、中小企業貸し付けは銀行が敬遠する状況で、貸し出しの矛先が個人側に集中した。2003年のカード事態と信用不良者量産はその一断面だった。貸し出しで解かれた流動性は、資産バブルを刺激した。不動産価格が暴騰し、ファンド熱風が吹き荒れた。個人たちは狂ったようにファンドに加入し、米国発金融危機で厳しい霜に打たれた。経済教育専門会社であるエデュマネーのチェ・ユンギョン代表は「個人にも新自由主義イデオロギーが注入された結果」として「心理的に貯蓄をしてはいけないという雰囲気ができた」と話した。彼は 「資産市場に対して政府が適切な介入をせず、むしろバブルを量産する政策を展開した」と批判した。
家計負債の半分ほどを占める住宅担保貸し出しは、金融と不動産の腐った傷を共有しながら韓国経済の時限爆弾に育っているところだ。こういう状況で李明博政府は不動産景気を生かすとし、昨年9月から総負債償還比率(DTI)規制を事実上なくした。パク・チャンギュン中央大教授(経営学)は「不動産景気の軟着陸を誘導するとしながら、金を借りて住宅を買えと煽っている」としながら「冷静に言えば、我が国の家計は大部分が構造調整対象」と診断した。彼は「今、全国が建設業者の捕虜にとらえられている格好」と付け加えた。
イ・ジェソン記者 san@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/457901.html 訳J.S