原文入力:2011-01-04午前09:22:23(2318字)
大容量の巨大さに加え価格も安くない
"販売台で買うほうが便利"
好奇心刺激する革新 不十分
インターネット無料コンテンツも障壁
ク・ポングォン記者
←デジタル マガジン月間販売量
スティーブ・ジョブスが携えて現れた‘神懸かりのtablet’iPadはアップルには祝福であっても、それを待ち望んだ全世界出版雑誌界には‘福音’ではなかったことが徐々に明らかになっている。
アップルのtablet PC iPadは2010年4月の発売以来、去る年末までに1000万台近くが売れ、地球村にtablet熱風を呼び起こした。広い画面とタッチを通じた直観的操作方式、便利なコンテンツ市場などアップルの生態系を長所として前面に掲げたiPadはデジタル時代に危機に処した雑誌など紙媒体の‘救世主’になるという期待を一身に受けた。実際に昨年6月、iPadが200万台まで普及した時点でiPad専用デジタル雑誌を初めてリリースした米国の情報技術月刊誌<ワイアード>は初月に10万部を売り出版界に‘バラ色の展望’を贈った。<ワイアード>の実績に鼓舞された各メディアは相次ぎiPad用雑誌を創刊した。
だが、8ヶ月が過ぎた時点で結果は残念なことこの上ない。最近公開された米国発行部数実態調査協会(ABC)資料によれば、iPad用ワイアードの販売は7~9月3万1000部、10月2万2000部、11月2万3000部と下降傾向を示した。他の雑誌も類似の下落傾向を示している。iPadは翼が生えたように売れ、あちこちで‘今年の機器’に選ばれるなど利用者層が拡大したが、実際にiPadを通じた雑誌販売量は購買対象者が増えるほどに縮む対照的現象が生じたのだ。雑誌界だけでなく単行本図書、新聞など出版市場全体が待ちこがれてきた‘デジタル出版の未来’はしん気楼になるということだろうか?
■なぜ失敗したのだろうか?
最も大きな負担は無線ラン(WiFi)や移動通信網を通じて号別にダウンロードしなければならないという点にある。英国<ファイナンシャル タイムズ>は先月31日付記事でファッション紙<ヴォーグ>を無線ランでダウンロードするのに30分もかかったとし、新聞販売台で購入する方がより便利だと指摘した。<ワイアード>最近号の容量は700メガバイトに及ぶが、これはiPad16ギガバイト モデルで‘相当な’空間を占める大きさだ。iPadで雑誌を見る味を生かすために高解像度のグラフィックと写真を入れ、一部コンテンツを動画で製作するなど差別的コンテンツを作ったことが利用環境に負担を与えたわけだ。
価格も無視できない。大部分が4.99ドルのこれら雑誌は紙雑誌の価格と差がない。iPadでは過月号の雑誌も保存しておき何時でも見ることができるという点を広報しているが、インターネットとは異なり、検索もできず有用性も落ちる。この他に利用者の特性も主要な背景だ。iPad購買者たちは最新デジタル機器を人より先に購入して使ってみる‘アーリー アダプター’が多いが、これらの人々は新しい製品が出てくる時に果敢に買う指向があるが、一つの製品を継続的に購入する忠誠度の高い消費者層ではない。好奇心で初めての号を買ったとしても持続購買につながらない傾向がある。機器を通じて絶えず新しい経験を追求するアーリー・アダプターたちが満足する革新を与えることもかなり難しい。既存収益モデルの防御次元から始まった出版業者などの革新が果敢でないことも一つの背景だ。
■成功するためには?
それでもiPad用雑誌は1年も過ぎない草創期であるだけに、ますます収益モデルも進化するはずだ。<ポピュラー サイエンス>等を出す出版グループ ポニアはiPad用雑誌の売上が振るわない理由として、アップル APPストアで6ヶ月~1年単位の定期購読決済が許されず、一冊販売のみ可能な点など不便事項を挙論した。アップルも定期購読方式の決済導入を検討中という観測もある。<ファイナンシャル タイムズ>はiPadが‘アングリーバード’のように成功したモバイル ゲームから見習うべきで、無料で雑誌を配布しその内一部のコンテンツを有料化する‘部分有料化’も必要だと指摘した。
だが、本当の障壁はインターネットの無料コンテンツだ。<タイム>は毎週iPad用エディションを5ドルで販売しているが、現実には大きな時差なしでiPhone用アプリケーションやインターネットを通じて同じコンテンツを無料で見ることができる。iPadでユーロで販売される経済週刊誌<エコノミスト>もやはり‘フリップボード’のようなアプリケーションを設置すれば、大きな不便なしに記事を読むことができる。無料の‘迂迴路’が開けられている限り‘有料道路’は金を稼げず、インターネットでは‘迂迴路’に行っても時間や燃料費が多くかかることもない。
したがって、すべての迂迴路を封じようとする試みが出てくるのも自然だ。メディア財閥ルパート マードックは3000万ドルを投じiPad専用新聞<ザ デイリー>を今年初めリリースする予定だ。<ザ デイリー>に載せられたコンテンツはインターネットやグーグルによって検索されないことが特徴で、iPadを通じてのみ見ることができる。
ク・ポングォン記者 starry9@hani.co.kr