「企業イメージや今後襲ってくる規制リスクを考慮すると、複数の規制機関と同時に全面対決を繰り広げるのは非常に珍しい」(流通業界関係者)
韓国のオンラインショッピング1位企業のクーパンが、公正取引委員会や個人情報保護委員会(個保委)などの規制機関を相手取って、全面的な法廷闘争を繰り広げている。流通業界だけでなく、国内企業はクーパンのこうした動きを注意深く見守っている。規制当局による調査権の行使そのものを法廷で争うというあり方が、今後の企業の対応の先例となり得るからだ。
クーパンは、7日に個保委によって下された6246億ウォン(約736億円)規模の課徴金処分を不服としてソウル行政裁判所に処分取り消し訴訟を起こしたうえで、執行停止を申し立てた。個保委によって今年6月に課された、3755万人あまりの個人情報漏えいに対する課徴金4235億ウォンと、1117万人あまりのオンライン活動記録の無断収集に対する課徴金2011億ウォンが対象だ。
公取委に対しては、最終処分前の行政調査段階だけでも、現場調査決定2件と資料提出命令1件の3つの措置について法的対応を繰り広げている。クーパンは、今年8月の「大規模流通業法違反容疑」についての現場調査の際、事前通知がなかったとして調査を拒否したうえ、現場調査決定取り消し訴訟を起こすとともに、執行停止を申し立てている。裁判所が申し立てを却下したため、現在、最高裁に再抗告している。
続いて9月の公正取引法違反容疑に対する調査についても、現場調査決定と報告・提出命令をそれぞれ法的対応の対象にしている。先月29日に現場調査決定取り消し訴訟を起こしたのに続き、翌日には公取委が約10年分の関連資料の提出を求めた報告・提出命令についても、執行停止を申し立てている。課徴金や是正命令などの最終処分の適法性を事後に争うにとどまらず、調査の着手のあり方や資料提出要求の範囲など、調査過程で行使される個別の権限まで司法審査の対象としているのだ。
政府との法廷闘争も辞さないクーパンの動きについて、流通業界からは前例のない対応だとの反応が示されている。流通業界の別の関係者は11日、ハンギョレに「当初は無理筋だという評価が強かったが、法的に争う価値があるという自信があるからかもしれない」と語った。韓国企業は通常、膨大な資料の提出を求められた際には、期限を延長するか対象範囲を絞るかたちで協力的な態度を示してきた。
クーパンは、行政権の行使過程において透明性と予見可能性が確保されるべきで、企業の防御権も保障されるべきだとの立場だ。業界では、当局の調査手法をけん制し、今後生じる規制の負担を最小化することを狙った戦略だという分析も示されている。業界の関係者は「他の大企業も訴訟の結果を注視する可能性がある」と述べた。
また、クーパンの親会社であるクーパンIncがニューヨーク証券取引所に上場している米国企業であり、クーパンIncのキム・ボムソク議長も米国人であることが、強硬対応の背景として取り沙汰されている。米国政界が韓国のプラットフォーム規制を自国企業への差別かつ通商上の懸案として問題視しているだけに、これをてことして韓国政府と真っ向対峙(たいじ)を続けている、との解釈だ。先年7月、米下院の共和党の複数の議員は、韓国政府が「クーパンIncと韓国子会社のクーパンに対する嫌がらせキャンペーンを展開しているため、同社の時価総額が40%以上暴落」したと主張している。