<ハンギョレ新聞社が主催する第17回アジア未来フォーラムが、今月28日、大韓商工会議所国際会議場で開催される。テーマは「激変の時代、リーディング国家への道」。国際秩序の変動と人工知能(AI)への転換が重なる激変のなかで、共同体の共存に向けた韓国の道と選択を模索する。フォーラムに先立ち、主要な講演者のインタビューや寄稿を掲載する。編集者注>
米国のトランプ大統領は先月30日(現地時間)、アラスカの液化天然ガス(LNG)開発事業に韓国が540億ドルを投資すると一方的に発表した。9月の韓国の輸出額は1200億ドルを超え、月間として過去最高を更新した。年末には、米国・中国・ドイツに次ぎ、世界で4番目となる年間商品輸出1兆ドル国家の仲間入りをはたす見通しだ。
商業性が検証されていない事業に引きずり込まれ、屈辱感と無力感を覚えている韓国。最先端の製造業国家として誇りに満ちた韓国。どちらが本来の姿なのだろうか。
経済安全保障の専門家である大邱大学のキム・ヤンヒ教授(経済金融通商学)は、この二つは一つの根源から生まれた二面性だと語る。「米国に奪われるものが増えたのではなく、韓国が米国に与えるものが増えたからだ。主語を米国ではなく韓国にすべきだ」。米国が韓国の製造能力を切実に必要として圧力をかけており、同じ理由で韓国に交渉の余地が開かれているというのだ。問題は、その力を活用する方法を知らない点にある。「体は大学生になったのに、マインドセットが追いついていないのだ。『代替不可能な大韓民国』と声高に語るが、『どうやるのか』という戦略が見えない」
キム教授は、第17回アジア未来フォーラムで「不安定な世界経済秩序と韓国の経済安全保障への対応」をテーマに基調発表を行う。現在、大統領直属の国民経済諮問会議の経済安全保障分科長と、韓米戦略投資運営委員会の民間委員を務めている。インタビューは9月29日、ソウル市麻浦区孔徳洞のハンギョレ経済社会研究院で行われた。
― 米国は同盟国を束ねて「陣営対陣営」の保護主義を構築している。新冷戦とは異なり選別的であり、戦線も流動的だ。「保護主義の陣営化」はなぜ生じたのか。
「米国の力は衰退しており、中国と第三国の相互依存性がきわめて高度化しているため、単独で防ごうとしてもあちこちに穴が多すぎる。さらに、自国だけが中国との関係を断った場合、半導体や半導体製造装置の事例のように、韓国や日本、オランダなどの友好国や同盟国が漁夫の利を得るのも嫌だということだ。力が強いからではなく、力が及ばないからこそ選んだ戦略だ」
― しかし、むしろ同盟国を関税で脅している。韓国が声を上げる余地はあるのか。
「新冷戦」と決めつけてしまうと、米国と中国を除く残りの国々は受動的な立場に追いやられたり、影に隠れてしまったりする。保護主義の陣営という視点でみれば、衰退する米国にはない部分を持つ韓国が、行動の幅を広げる戦略的余地が見えてくる。半導体、造船、原発、石油精製、バッテリーなどは中国に追いつかれそうになっているが、米国がそれを防いでくれる効果がある。だからこそ、韓国を必要としている米国とは当面は協力しつつ、そのなかで、いかにして戦略的自律性を確保するかを同時に模索しなければならない、実に難しい時期だ」
― 韓国が持つレバレッジは何か。
「製造強国であることだ。米国陣営には韓国に代わる国はない。半導体製造装置は日本が、精密機械はドイツが得意だ。しかし、両国とも原発、造船、半導体はそうではない。こうした戦略産業のすべてにおいて、韓国より優れている国は中国だけだ(ただし、現時点では中国もHBM(高帯域幅メモリ)は製造できない)」
― 韓国が置かれている立場を冷静に規定すると。
「製造強国、開放国、挟まれた狭い国、分断国、非覇権国だ。製造強国以外は強みではなく弱みだ。しかし、発想を変えれば話は別だ。逆説的だが、大韓民国は挟まれた狭い国だったからこそ発展した。ロシアや中国にあまりにも近く、北朝鮮が存在するため、米国は韓国を無視できず、中国の立場からしても、韓国が米国側に傾けば、THAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備問題などというレベルの話ではない。中東がなぜ韓国の原発を輸入し、兵器を購入したのか。非覇権国であるため、後々トラブルにならないからだ。『開放国・非覇権国』という言葉には、力の論理で動く世界よりも、規範に基づく秩序の方が韓国にとってはるかに有利だという含意がある。産業化・民主化・情報化を経て、人工知能(AI)強国、文化強国へと飛躍しつつも、誰にとっても脅威になり得ない国――その固有の物語を活用すべきだ」
― 持っているものは多いのに、なぜ振り回されているようにみえるのか。
「市場、技術、安全保障のせいだ。中国はすでに韓国にかなり追いついており、韓国の製品を必要としていない。また、韓国が販売できるHBMは、米国の意向によって(中国に)売ることができず、韓国側もブーメラン効果を恐れて売れない。だから、好き嫌いにかかわらず、米国以外に大きな市場はなく、必要な技術を提供してくれるところもない。さらに決定的なのは、安全保障を米国に依存していることだ」
― 持っているものを力に変えるには、どのような国を目指すべきか。
「戦略的結節国だ。経済・技術・安全保障の多重グローバルネットワークにおいて、代替が困難な『結節』(node)機能を担い、各ネットワークの円滑な稼働に不可欠な国となり、これを戦略的自律性の源泉へと転換できる非覇権国を指す。だからこそ、米国に振り回されている今、包括的かつ先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)への加盟が必要だ。ところが、『代替不可能な大韓民国』は前者だけを強調する。隣家が切実に必要とするパンとバターを持っているのが『代替不可能な大韓民国』だとすれば、これを自分が切実に必要とするご飯とキムチに換えることのできる国が、戦略的結節国だ」
― 現在、韓国に何が欠けているのか。
「結節性はある程度蓄積した。半導体、造船、原発、電力、防衛産業において結節機能を果たしており、HBM、最先端メモリ、造船、精製において代替コストを引き上げている。問題は、これを戦略的自律性へと転換する能力だ。結節の位置にあるからといって、自動的に戦略的結節国になるわけではない」
― 持っているものをなぜ力に転換できないと考えているのか。
「各論はあるが総論がない。たとえば、経済安全保障関連の法制度は、『サプライチェーン3法(素材・部品・設備特別法、サプライチェーン基本法、資源安全保障特別法)』『技術4法(国家戦略技術育成法、租税特例制限法、国家先端戦略産業法・産業技術保護法)』に加え、産業別の育成法まで、外部からの衝撃があるたびに20ほどの法案が着実に積み上げられてきた。問題は、これらを総括し、軽重や優先順位を定め、調整するメタ戦略がないことだ。たとえば、半導体関連の法律は多いが、サイバー安全保障に関するものはほとんどない」
― 上位法をもう一つ作ればよいのか。
「違う。その根底には経済官庁間の縦割りがあり、経済と安全保障の間の縦割りの問題まで加わっている。北極航路は経済と安全保障が高度に結びついた問題だが、これを産業通商部と外交部が別々に扱っていては、深く理解できるだろうか。防衛産業の輸出は、安全保障の自強と協力という文脈でみるべきだが、産業通商部や防衛産業庁だけが前面に出れば、武器商人になってしまう。これを経済戦略、ひいては国家戦略(statecraft)の視点から俯瞰し実行しなければ、戦略的結節国の実現はおぼつかない」
― 組織としてはどう解決すべきか。
「経済安保秘書官を(現在のように)安保室に置くのは適切ではないと思う。大統領秘書室長の下に経済安保首席を置けば、政策室と安保室を同時に見渡すことができる。あらゆる会議に参加できる『リベロ』だ。しかし、個人にだけ任せるとすれば、それをうまくこなせる人が韓国に何人いるだろうか。リベロをシステム化しなければならない。そこで、政府内に経済安全保障シンクタンクを作ろうというのだ。各省庁から人材が派遣され、知恵を出し合い、懸案事項を超えた経済安全保障戦略を模索する場所だ」
― 戦略的自律性を、懸案である対米投資に適用するのはどうか。
「総論の欠如という問題点を繰り返し露呈する事例であり、戦略的結節国になれるかどうかを試す事例だ。今後、核心となる問いは『約束した資金をどれだけ執行するか』ではなく、『次回の送金を、どのような便益と条件を確保した事業に投入するか』でなければならない」
― 政府は商業的合理性を掲げ、損はしないと主張しているが。
「商業的合理性という狭い視野から脱却することが急務だ。特別法の施行令は、商業的合理性を、事業の存続期間中に韓国に分配される総予想収入で元利金の全額をまかなうことのできるキャッシュフローと規定している。韓国が全額を負担する投資である以上、『回収』すべき総便益を、金融上の便益(F)、産業政策上の便益(I)、経済安全保障上の便益(ES)に分解しなければならない。Iとは、韓国企業が資機材の供給・EPC(設計・調達・施工)・運営を担い、米国市場への参入を通じて、韓国の産業政策上の目標実現に寄与することであり、ESとは、サプライチェーン・エネルギー・技術・戦略市場へのアクセスを強化することで、経済安全保障上の国益を最大化することだ。『商業的合理性』と定義されるFは必須条件でしかなく、IとESを加える必要がある。これは商業的合理性の充足基準を下げようというのではなく、目的関数の範囲をさらに広げるべきだということだ。Fを除いてIとESだけを強調すれば、必須条件の脆弱性を覆い隠してしまう恐れがある」
― 損失リスクはどのように管理するのか。
「サンクコストの管理能力がカギとなる。新たな情報によって既存の判断の妥当性が損なわれた場合、次の資金提供を保留・縮小・中止し、さらなるリスクへの露出を抑制する能力だ。日本はこの点で優れている。発表された6つの事業の予想総事業費は約1090億ドルだが、当初の融資契約額は2%程度に過ぎない。細かく分割しながらも、大きな成果であるかのようにアピールしている。それでもリスクが露呈した。小型モジュール原子炉(SMR)事業では、原発事故の際に資金を提供した日本側まで賠償責任を負うかどうかが争点となった。米国は口頭でこれを約束しただけで、法的効力のある契約書には盛り込まず、日本は資金執行を保留した」
― 韓国にもそのようなリスクはあるのか。
「当然だ。だからこそ、決して惰性で動いてはならない。第1次まで進んだからといって、第2次にもそのまま進むのではなく、第1次がすでにサンクコストになってはいないかを厳正に精査し、問題ないと判断されてから初めて進むべきだ。後続の融資は、最初の決定の自動延長ではなく、新たな情報に基づいた新たな投資判断でなければならない」
― その判断は誰が検証するのか。
「誰がどのような情報を持ち、どの段階で『ノー』または『条件付きイエス』と言えるかどうかが重要だ。日本では、財務省傘下の財政投融資分科会において、外部の専門家らが、事業選定権や国際協力銀行(JBIC)が独立して拒否できるかどうかなどについて実名で公開質疑を行い、議事録も公開している。一方、韓国では先月22日の国会報告の際、交渉の機密性を理由に、常任委員会の専門委員や議員補佐陣の同席さえも許可しなかった。これでは専門的な検証などできるはずがない。守秘誓約や閲覧制限といった方法でも情報を保護することはできる。
これは、腕をねじられるような巨大な長期投資だ。関係者の任期は有限だが、事業は20年以上続く。彼らにとっては、自分の任期中に事業を中断させるよりも、さらに資金を投入して、早々にその場を去るほうが得なのかもしれない。そのツケは誰が払うのか。彼らの免責範囲を明確にしつつ、彼らが去った後も検証できるよう記録の公開範囲を広げ、金融上の便益(F)・産業政策上の便益(I)・経済安全保障上の便益(ES)を測定可能な指標にしてこそ、『これは違う』と判断された場合にくつがえす根拠を作れるのだ」