ドイツのハノーファーは、1950年代半ばにフォルクスワーゲンが商用車工場を稼働させたことで、自動車都市へと成長した。ここで生産されたマイクロバス・トランスポーターは、フォルクスワーゲンの商用車の代名詞となった。最近、フォルクスワーゲンはハノーファー工場をはじめとする4つの工場を閉鎖し、他の用途に転換する案を検討している。今年3月に5万人の人員削減案を発表したのに続き、先月3日に5万人の追加削減計画を打ち出した。
フォルクスワーゲンの危機は、電気自動車(EV)への転換が進まないことに加え、中国の自動車市場から押し出された結果だ。1980年代初頭に中国・上海に初めて進出し、現地市場を先取りしてグローバル超一流企業へと成長したが、現在では価格と性能を前面に掲げた中国のEVメーカーの激しい競争で、中国市場に続きドイツをはじめとする欧州の自動車市場までその座を奪われている。
「私たちが配送する」をテーマに、14日(現地時間)に開幕したドイツ・ハノーファー・モーターショー(IAAトランスポテーション2026)では、商用車市場においても存在感が高まっている中国の完成車メーカーが、次々に新モデルと新技術を披露した。IAAは「中国企業は商用車の製造だけでなく、充電インフラ、エネルギー貯蔵、自動運転、そしてインテリジェントモビリティ技術分野へと拡大するなど、広範囲にわたって動いている。2年前と比べて最も注目すべき変化の一つだ」と述べた。
ただし、今年上半期の中国製商用車の欧州市場シェアは、まだ1%台にとどまっている。価格に敏感な個人消費者ではなく、車両のメンテナンスや整備などをより重視する企業などが顧客の中心となる保守的な市場だからだ。現時点では、ボルボ、マン(MAN)、メルセデス・ベンツ、ルノーといった欧州の自国ブランドが市場を圧倒している。IAAの会場でも同様だった。中国のEVメーカーが各所に広いブースを構えていたものの、乗用EVの展示会で見せた攻撃的なマーケティングではなく、「自己紹介」に近い印象を与えるブースが多かった。
中国のEVブランド「スカイワース・オート(創維汽車)」は、レベル4相当の自動運転が可能な大型電動トラック「Z9」を公開した。自動運転のために、5つのライダーセンサー、5つのレーダーセンサー、10個の高画質(HD)カメラを搭載。港湾など定められた区間を往復し、運転手の介入なしで長距離輸送が可能だ。このメーカーが公開した都市部のゴミ収集用EV「G18」も、自動運転レベル4の技術を採用している。住宅街や商業地区などでは、早朝時間帯に回収が可能だという。
山東(シャンドン)重工業が公開した電動トラクターは、走行可能距離が500キロメートル以上だという。バッテリーを80%まで充電するのに30分あれば可能だ。欧州の長距離輸送ドライバーの義務的休憩時間に合わせて充電できるというわけだ。上海汽車の子会社であるマクサスは、車両と貨物、車両と建物、車両と電力網の間で双方向充電技術を披露した。
中国のジーリー自動車(吉利汽車)の商用車ブランド「ファリゾン」は、1回の充電で500キロメートル走行できる欧州市場に特化した大型電動トラクター「ホームトラック」を展示した。この会社の完全電気トラックである「V7E」は、起亜PV7のように、都市部での配送やラストマイル輸送に適するよう設計された。このモデルは「2027年インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」候補にも選ばれた。
中国の東風汽車は、1回の充電で走行距離が800キロメートルに達する大型水素電気トラック(FCV)を複数公開した。中国の商用車メーカー「マクサス」は、レベル4相当の自動運転ロボバンを初めて公開した。また、中国フォトン(福田汽車)の商用車ブランド「CAVAN」は、知能型大型トラック「ビーコン」を初めて公開した。バッテリーモデルは1回の充電で500キロメートル、水素モデルは1100キロメートル走行可能だという。ファーウェイは、電力網の容量が制限される住宅団地において、超高速充電を可能にする液体冷却方式の新しい充電ソリューションを公開した。5分の充電で、最大200キロメートル走行に必要な電力を充電できると同社は明らかにした。
伝統的強者である欧州の商用車メーカーも、防衛に乗り出した。メルセデス・ベンツは「130年前、自社の創業者がトラックを発明した。未来の輸送を創り上げる責任感を意味する」とし、大型電気トラックモデルの拡大に乗り出した。この会社は、1回の充電で500キロメートル走行可能な電気トラック「eアクトロス600」に乗り、1年間で35カ国以上、4万5000キロメートルを走行するイベントを開始した。最大80回だけ充電するという計画だ。ボルボは空力デザインにより1回の充電で700キロメートル走行可能な電動トラック「FHエアロ・エレクトリック」を公開した。
2017年に計画を発表してから10年ぶりに量産に入ったテスラの大型電気トラック「セミ」も今回の展示会で初めて公開され、来場者の注目を集めた。総重量40トンを基準に、1回の充電で550キロメートルまで走行可能だという。