トゥクトゥク(タイ)、トクトク(エジプト)、オートリクシャ(インド)。
「トットットットッ」という騒々しい音と真っ黒な排気ガスを放ち、複雑な都心や狭い路地を走り回る三輪自動車の名前はさまざまだが、東南アジアやアフリカ、インドでは人や荷物を運ぶ必須の交通・輸送手段となっている。暑く湿った天候のため横が開放されたシンプルな構造、約400万ウォン(約46万円)前後の手頃な価格、狭い道も通過できる優れた機動性が強みだ。韓国でも、「サムバリ」と呼ばれた起亜産業(現・起亜)の三輪トラック(T-600)が1970年代の産業化時代の一場面として記憶されている。
現代自動車は、これまで参入したことのなかった電気三輪車の市場への参入に向けて始動ボタンを押した。26日に開催された現代自動車の投資家説明会(インベスターデイ)で、ホセ・ムニョス社長が合弁会社「モーショナル(Motional)」と「ウェイモ(Waymo)」との先進自動運転ロボタクシーの提携についての説明を終えた後、角ばったスリムなデザインの「三輪自動車」のイメージがステージ上の大型スクリーンに現れた。今年4月、現代自動車がインドの二輪・三輪車メーカー「TVSモーター」と提携して開発・生産すると発表した電気三輪車(EV 3-Wheeler)のコンセプトイメージだった。現代自動車が設計を担当し、TVSが現地のサプライチェーンを活用して生産する方式だ。ムニョス社長は「今後、現代自動車は電気三輪車セグメントにも参入する。今回のパートナーシップにより、アジア・アフリカなど新興市場への大量販売セグメントへの参入が可能となった。現代自動車単独では難しかっただろう」と述べた。
インドは自動車市場として世界第3位を占める。昨年は453万375台が販売された。韓国貿易協会・韓国自動車研究院の資料によると、自動車普及率は人口1000人あたり34台(アメリカ772台、欧州連合560台、韓国455台)に過ぎない。それだけ成長の潜在能力が大きい。市場シェアは、インドと日本の合弁ブランドのマルチ・スズキ(39.9%)が大差で首位を維持する一方、マヒンドラ(13.8%)、タタ(12.8%)、現代自動車(12.6%)、トヨタ(7.8%)、起亜(6.2%)の順で競合している。
電気自動車(EV)の市場も動き出している。インド全体の乗用車販売におけるEVの割合は約4%だ。昨年は17万6538台が販売された。2024年の販売台数(9万9693台)と比べて77%以上急増した数値だ。現代自動車はインド市場で大ヒットした中型SUVクレタのEVモデルを昨年発表した。
しかし、インドは依然として世界で最も大きな三輪車市場だ。二輪・三輪車の年間販売台数は2000万台を超える。所得が一定水準以上に上がるまでは、乗用車よりも二輪車や三輪車が市場を主導せざるを得ない。
以前、インドのモディ首相は2018年にデリーで開催された韓国-インドビジネスフォーラムで、チョン・ウィソン現代自動車会長(当時副会長)に、劣悪な交通環境の改善と安全で環境に優しい移動手段の必要性を語ったという。インド政府はその後、ガソリンやディーゼルなどを使用する内燃機関オートリクシャの新規登録を制限する政策を展開するとともに、排出ガスのない電気オートリクシャへの補助金支給などを通じて電気三輪車の普及拡大に取り組んでいる。
これに合わせて、現代自動車も昨年1月にデリーで開催された「バーラトモビリティ・グローバルエキスポ」で「インドマイクロモビリティ(超小型三輪・四輪車)ビジョン」を発表し、電気三輪車のコンセプトを公開した。乗客用、貨物用、救急用など多様な用途に合わせて、柔軟に内部構成を変更できる点が特徴だ。
常習的な荒っぽい運転による死亡などの交通事故は、三輪車の根深い問題として指摘されている。現代自動車が設計した電気三輪車は、角張ったフロントガラスを採用し、前方道路の視認性と衝突保護機能を向上させた。頻繁な豪雨による道路の浸水や、未舗装道路での走行が困難になることを防ぐため、車体の高さも調整できるようにした。インドの高温多湿な天候でもバッテリー性能が低下しないよう、熱管理システムにも配慮したという。
電気三輪車市場への参入は、インドの乗用車市場で現代自動車のシェア拡大のレバレッジとしても利用されることになる。インドの消費者の三輪車使用体験は、SUVなどより高いグレードの車両購入へと自然に繋がる可能性がある。現代自動車は「2030年までにインドのSUV販売比率を80%まで拡大するために、現地戦略型SUVを新たに発売する予定だ。また、2030年までに部品の90%以上の現地化を達成し、コスト競争力を強化する」と語った。