韓国の3大造船会社であるHD韓国造船海洋、ハンファオーシャン、サムスン重工業の今年第3四半期(7~9月)の合算営業利益が1兆5千億ウォン(約1600億円)を超えた。これは昨年同期に比べ約3倍に増加した水準で、液化天然ガス(LNG)運搬船など高付加価値船の受注が増えたことによると分析される。韓米両国の造船業協力方案である「MASGA」(米国造船業を再び偉大に)プロジェクトが、先月末の韓米首脳会談を契機に本格稼動する動きを見せ、造船業界に好況が続くとの見通しが出ている。
HD韓国造船海洋は3日、第3四半期の営業利益が前年同期比165%増の1兆538億ウォン(約1100億円)と集計されたと公示した。同期間の売上は7兆5815億ウォンで、昨年同期より21%増加した。これに先立って、HD韓国造船海洋と共に韓国の主要造船会社に挙げられるサムスン重工業とハンファオーシャンは、営業利益がそれぞれ2381億ウォン(約250億円)、2898億ウォン(約300億円)で、前年同期比99%、1032%増加した。造船3社の合算営業利益は今年第3四半期に1兆5817億ウォンで、前年同期(5439億ウォン)に比べて3倍近く増えた水準だ。
韓国造船3社の営業利益が急増したのは、高船価船舶の売上の割合が大きくなり、収益性が改善されたためだ。HD韓国造船海洋の造船部門は生産性向上と船価上昇分の売上が反映され、前年同期に比べ売上は17%増の1985億ウォン、営業利益は129%増の6兆8658億ウォンを記録した。サムスン重工業は、低船価コンテナ船の売上げ減少と高収益船種である海洋部門の売上げ増加を営業利益増加の背景に挙げた。ハンファオーシャンもやはり高付加価値船舶であるLNG運搬船の売上の割合が全体の約60%となり、高まり続けている点を収益性拡大の根拠として提示した。
韓国の造船業は最近の輸出実績全体の好調を牽引もした。産業通商部が1日に発表した「10月輸出入動向」によれば、船舶部門の輸出額は46億9千万ドルで、前年同期比131.2%増。産業部は「商船輸出が良好な流れを見せる中で、25億ドル規模の海洋プラントが輸出され、輸出全体の増加要因として作用した」と説明した。
業界では造船業の好況は続くとの見通しが優勢だ。何よりも韓米造船協力プロジェクトの「MASGA」が好材料に挙げられる。業界では最近、米国のLNGプロジェクトの承認で、2029年から新規需要が100隻以上出ると予想している。MASGAの延長線上で議論された「原子力潜水艦建造」も業界実績を引き上げる要因になりうる。ドナルド・トランプ米大統領は原潜をハンファオーシャンが昨年末に買収したフィリー造船所で建造する方案を提示したが、業界では多くの企業が参加する国策事業の形態にならざるをえないとみている。HD韓国造船海洋の関係者は「原潜建造は一つの造船所だけの技術力では対応不可能だ」として「HD現代尾浦(ミポ)との合併を通じて造船建造キャパ(生産能力)が大きくなっただけに、合同プロジェクトの形で本格化すれば参加する準備をしている」と説明した。
先日の米中貿易合意により、中国の米国けん制が緩和されている点も肯定的要因に挙げられる。これに先立ち、中国は米国の対中けん制措置に対応するため、ハンファオーシャンの米国の子会社5社を制裁対象に上げたが、1日(現地時間)、米中首脳間の貿易合意を妥結し、このような制裁を撤回するという観測も提起されている。米国との造船業協力に速度を上げる環境が設けられる可能性が高くなった。
DS投資証券リサーチセンターのキム・デソン研究員は「来年の造船会社の受注実績は、LNG船受注好況期進入とコンテナ船の堅調なエコシップ発注がけん引するだろう」とし「来年の実績は合算営業利益11兆5千億ウォン(約1兆2千億円)で過去最高実績の見通しであり、高船価物量の比重拡大がけん引する予定」だと説明した。今年に入って第3四半期までの韓国造船3社の営業利益の累積値は4兆3527億ウォン(約4600億円)。