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「関税台風」に善戦した韓国GM、撤退説はなぜ再燃するのか

登録:2025-09-03 23:17 修正:2025-09-04 09:20
京畿道平沢港に輸出用車両が並べられている/聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領が触発した「関税台風」のもとでも堅調な実績を見せてきた韓国GMの撤退説が再燃している。一部メディアで「黄色い封筒法」(労働組合および労働関係調整法改正案)とGMの撤退を無理にこじつける報道まであふれ、労働組合はこれを糾弾する記者会見を行うことにした。

 GMの韓国撤退説が提起される理由は、輸出用低価格型車両に重点を置く生産ラインと、萎縮した内需市場シェアが主な原因として挙げられる。先月基準で韓国GMの販売実績のうち、輸出用トラック・SUVが占める割合は97%に達する。韓国自動車モビリティ産業協会(KAMA)の資料によると、今年1~7月の韓国国内での自動車内需販売のうち、GMが占める割合は0.97%に過ぎなかった。

 最近発表された韓国GMの販売実績でもこのような傾向が表れる。今年1~8月にGMが販売した韓国内需販売は1万554台で、前年に比べ38.9%下落した。一方、輸出を含めた車両販売全体は30万2658台で、昨年同期の販売台数(30万7629台)に比べて小幅(1.6%)の下落に止まった。通常、自動車産業で国外に生産ラインを構築する目的は、物流の簡素化などを通じて海外市場を開拓しようとする目的が強いが、GMの立場としては投資戦略に成功していないということだ。

 これに対しGMは、人件費と鉄鋼価格が高い米国現地では生産しにくい低価格型自動車生産基地として韓国GMを活用しているものとみられる。実際、韓国GMはトラックやSUVなど3万ドル前半台以下の中低価格の車両を中心に堅調な販売台数を示した。韓国GMの関係者は「米国現地の安定した需要のおかげで海外販売台数が維持された」とし、「関税ショックにもかかわらず需要が堅調で、4月には富平(プピョン)工場に2万台の物量を追加で割り当てたりもした」と述べた。このような増産の影響で、韓国GMの5~6月の生産量は一時的に増加した。

 ただし、米国がメキシコに対して韓国(15%)よりさらに低い関税を策定したり、現行の米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)により無関税が維持されれば、GM本社が韓国事業場を維持する動機は下がらざるを得ない。2018年のGM群山(クンサン)工場閉鎖後、韓国政府が8100億ウォンの支給保証を約束した期間も2027年末で終了する。韓国GMが電気自動車(EV)やハイブリッド車を生産しておらず、生産する計画もない点も不安要素だ。GMはこれに先立ち、オーストラリアやインドの工場でも内需市場シェアを下げながら撤退を準備したことがあるからだ。

 しかも、一部保守メディアを中心に、「黄色い封筒法」のためにGMが韓国撤退を検討している、との報道まで出ている。先月21日、雇用労働部が経営界の意見を聞くために最高経営者(CEO)らを招請した席で、韓国GMのヘクター・ビジャレアル代表が「(黄色い封筒法のために)本社から事業場に対する再評価がなされる可能性がある」と言及したという報道が広がった。

 これに対し、金属労組韓国GM支部は4日に記者会見を予定している。労組側は「韓国GMは公的資金8100億ウォンを支援され、この3年間で3兆9200億ウォン(約4200億円)の累積利益と2兆2600億ウォン(約2400億円)の当期純利益を記録したにも関わらず、持続可能な経営計画を出していない」と指摘する予定だ。韓国自動車研究院のイ・ハング研究委員は「一部のメディアがGM撤退関連の報道を刺激的に拡散させるのは、GMの交渉力を高めるだけ」だとし、「GM労働者と協力業者、地域社会、そして韓国政府がGM撤退の可能性に関するさまざまなシナリオを分析し対策を設けた後、交渉に乗り出さなければならない」と強調した。韓国GMの関係者はハンギョレに「関税のために物量を減らすとか撤退するというのはデマであり、全く事実でない」と明らかにした。

イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1216825.html韓国語原文入力:2025-09-03 21:12
訳J.S

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