李在明(イ・ジェミョン)政権は30兆5千億ウォン(約3兆2千億円)規模の「新政府追加補正予算案」を19日公開した。急速に悪化した経済状況に対応し、発足16日目に急いで補正予算案を発表したもので、国会審議を経て1人当り15~50万ウォン(約1万6千~5万3千円)の民生回復消費クーポンが2回にかけて支給される予定だ。
この日、新政府は李在明大統領が開いた国務会議で、政府支出を約20兆2千億ウォン(約2兆1千億円)拡大し、歳入見通しを10兆3千億ウォン(約1兆1千億円)下げて現実化した追加補正予算案を議決した。5月1日に国会を通過した1次補正予算で13兆8千億ウォンを補強したのに加え、今回の補正予算案を通じて約20兆ウォンをさらに補強するという方針だ。10兆3千億ウォンの歳入更正補正予算を同伴したのは、景気下降で法人税と付加価値税など主な国税が従来の予想より減るとみて、変更された税収推計を反映した措置だ。
総額20兆2千億ウォンの支出補正予算のうち、約75.2%の15兆2千億ウォンを消費・投資促進のための景気振興事業に投入する。特に李大統領が「共に民主党」代表と大統領候補の頃から主張してきた「全国民民生回復支援金」が「民生回復消費クーポン」という名前で補正予算案に含まれた。民生回復消費クーポンは、第1次で全国民に15~40万ウォン、第2次で所得上位10%を除く人々に10万ウォンずつ支給される。このために投入される予算は国費と地方費を合わせて13兆2千億ウォン(約1兆4千億円)だ。
大統領選挙期間のあいだ李大統領が掲げた公約どおり、地域通貨(地域愛商品券)の発行も大幅に拡大される。地域通貨事業には国費6千億ウォンが追加支援され、発行規模は過去最大の29兆ウォン(約3兆円)に増える。また、いわゆる「バッドバンク」(不良債権を買い取る資産管理会社)の公約を政策化した「特別債務調整パッケージ」が推進される。小商工人などの脆弱借主113万4千人が7年以上返済できなかった5千万ウォン(約500万円)以下の長期延滞債権(計16兆ウォン=1兆7千億円規模)を償却する方案だ。
この他にも政府は建設景気活性化に2兆7千億ウォン(約2800億円)、新産業分野投資促進に1兆2千億ウォン(約1300億円)、雇用セーフティネット強化に1兆6千億ウォン(約1700億円)、脆弱階層支援に7千億ウォン(約740億円)などの事業を補正予算案に盛り込んだ。
この日公開された補正予算案が国会の敷居を越えれば、今年の年間政府総支出は初めて700兆ウォンを越え、702兆ウォン(約74兆円)になる。これを受け、総支出の伸び率(昨年比)は6.9%へと拡大する。昨年、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が引き締め的に編成した今年の本予算(増加率2.5%)と比べると、支出増加率は4.4%となる。
企画財政部は、今回の30兆5千億ウォンの補正予算案が、今年の成長率を0.1%程度引き上げるだろうと見込んだ。韓国銀行が第1次補正予算の効果を反映して先月提示した今年の成長率見通しが0.8%であることを考慮すれば、今回の補正予算を通じても、韓国経済の成長率は今年1%を上回ることはないという意味だ。企画財政部のイム・ギグン第2次官は、「今回の補正予算ですべての困難を解消することはできないが、今回の補正予算は(景気刺激の)第一歩だ」と述べた。