韓国の上位圏の大学進学率の格差は、生徒の潜在力よりは主に社会経済的背景によって決まるという実証分析結果が出た。高所得層の子どもが親の経済力と私教育の中心地に居住することで大学入試でさらに良い成果を得ているという分析だ。韓国の中央銀行である韓国銀行(韓銀)は、大学入試の過熱と社会経済的な継承現象を解消するために上位圏の大学の全面的な地域別比例選抜制の導入を提案した。
韓銀は27日に発表した報告書「入試競争過熱による社会問題と対応策」で、親の所得水準と居住地、生徒の潜在力変数を交差比較したモデルで上位圏大学への進学結果を分析した。調査対象は2005年当時の中学1年生を毎年追跡調査したデータ(韓国教育縦断研究原始資料)をもとに、中学1年生の数学科目の点数(生徒の潜在力)と2012年当時の在学大学を比較したもの。上位圏大学はソウル所在の8大学と全国の医大・歯科大・韓医大・獣医大だ。
韓国銀行は報告書で「生徒本人の潜在力よりは親の所得水準と居住地域により私教育費など教育機会の不平等が生じ、これが上位圏大学への入学生のソウル出身偏り現象を誘発している」と診断した。
韓銀の実証分析結果によれば、所得水準の最上位層(上位20%・5分位)の上位圏大学への進学率は、次上位層(4分位)の1.5倍、最下位層(1分位)の5.4倍だった。特に、学業能力が同じ場合でも親の所得水準によって上位圏大学への進学率に大きな差が出た。
所得上位20%と残りの下位80%を比較したところ、生徒の潜在力が同じく最上位水準であっても、所得最上位層は上位圏大学への進学率が20.4%で、下位グループ(10.7%)の約2倍だった。上位圏大学への進学率の格差のうち約25%は生徒の潜在力、残り75%は「親の経済力効果」と推定できると韓銀は分析した。
ソウルと非ソウル間の進学率の格差も顕著だった。2018年にソウル大学に進学した生徒の地域別分布を見ると、ソウル出身は一般高校卒業生全体の16%だが、ソウル大学への進学生の32%を占めた。その中でもソウルの「江南3区」出身は一般高校卒業生の4%だが、ソウル大学進学生の12%を占めた。
実証分析の結果、生徒の学業能力(潜在力)の順位による進学率は、ソウル出身(0.44%)と非ソウル出身(0.40%)の間ではあまり差がないが、実際のソウル大学進学率はソウル出身(0.85%)が非ソウル出身(0.33%)の2.6倍だった。
韓銀は、ソウル-非ソウル出身間のソウル大進学率の格差の92%は親の経済力と私教育環境などを包括する「居住地効果」に起因すると推定した。韓国銀行の集計によれば、ソウル大学に進学した高校3年生の割合は、2000年の0.9%から2018年には1.3%へと増えた反面、同じ期間に地方広域市出身の割合は減少(0.7%→0.5%)した。
韓銀は入試不平等を解消するための策として、全面的な「地域別比例選抜制」の導入を提案した。現在、一部の大学が施行中の地域均衡選抜方式を上位圏大学の大半の募集単位に拡大しようということだ。韓銀は「大学が自発的に入学定員の大半を地域別学齢人口比率を反映して選抜すれば、所得・地域別格差を減らし、生徒の潜在力に近接した進学率を高めることができる」と説明した。韓銀の分析の結果、全国市道別合格者比率を「0.7倍~1.3倍」に統制する場合、実際のソウル大学進学率と潜在力の順位にともなう進学率間の格差が64%減少(0.14ポイント→0.05ポイント)することが分かった。
報告書は「地域別比例選抜制を導入すれば、ソウルの疎外階層が多少不利になり、地方の高所得層が恩恵を受ける可能性はあるが、社会経済的背景の入試影響を減らす長所を考慮すれば、こうした短所は耐えうる水準と判断される」と明らかにした。