本文に移動
全体  > 経済

クラウド コンピューティング データセンターの国境 崩した

原文入力:2010-05-24午後08:17:29(2369字)
外国に移しデータ移動・管理可能
データ保安・個人情報保護論争 招く公算

キム・ジェソプ記者

あるポータル業者が急増するエネルギー費用を減らすため、データセンターを世界で電気料金が最も安い米国、オレゴン州に移すことにした。ところが政府がこれの遮断に立った。会員情報と電子メールが含まれたデータは物理的に国内に置かねばならず、外国に移すことはできないというのが理由だった。学界と市民団体もデータセンターを米国に移すことに問題を提起して立ち、論難が大きくなっている。

仮想の状況だ。だが、遅くとも3年後にはこういう状況が現実に現れる可能性が高い。実際に‘ストレージ仮想化’と‘クラウド コンピューティング’技術の発展により‘データ位置論争’が起きている。ポータル業者、システム統合(SI)業者、銀行などがストレージ仮想化とクラウド コンピューティング技術を活用しデータセンターを電気料金の安い国に移すことができるようになると見られ、政府と市民団体の一角から重要データが入れられたデータセンターを外国に移せるようにしても良いのかとの主張をし論争になっているわけだ。

世界的なデータ貯蔵装置(ストレージ)専門業者であるEMCは最近、遠く離れているコンピュータとストレージをネットワークで連結し一つのコンピュータのように使えるようにする‘クラウド コンピューティングのためのストレージ仮想化’技術をリリースした。キム・ギョンジン 韓国EMC社長は「この技術でなくすことのできる物理的距離が、今は同一データセンター内に制限されているが、来年には半径100km、2012年からはネットワークさえ構築されていれば全世界どこにあっても互いに連結できる水準に発展するだろう」と話した。

これを活用すれば我が国の銀行やポータル業者などがデータセンターを電気料金の安いところを探し、地球の反対側に置いて運用することが可能だ。すでにグーグルがこの技術を活用しデータセンターを会社から遠く離れたオレゴン州に置いている。米国の多くの州の中でオレゴン州の電気料金が最も安い点を利用しデータセンター運営にかかる費用を減らしているわけだ。

←クラウド コンピューティング市場規模 展望

この技術を利用すれば、突然コンピュータやストレージが追加で必要な時、短期間 借りて使うこともできることになる。ホ・ジュ韓国EMC部長は 「大学の受講申請やワールドカップ サッカー大会インターネット生中継時は、接続が暴走しコンピュータが追加で必要だが、この時にも国内や外国データセンターのものを一時借りて使うことができる」と話した。

EMCは世界的なネットワーク装備供給業者であるシスコ、世界的な仮想化技術専門業者のVMOと力を合わせ‘VCE’陣営を作りクラウド コンピュータ時代を前倒ししている。このために‘アキディア’という名前の合弁会社を設立し、一時米国ヒューレットパッカード会長候補であったマイケル カパルラスを社長として迎え入れた。VCE陣営の展望によれば、世界クラウド コンピューティング市場の規模は昨年796億ドルから2014年には3434億ドルに成長し、同期間に国内市場規模も6739億ウォンから2兆5480億ウォンに成長する。

キム社長は「ストレージ仮想化とクラウド コンピューティング技術は経済性を追求する」とし「エネルギー費用は高くなりネットワーク費用は急速に下がる傾向のため、データセンターを外国に移す企業が多くなるだろう」と話した。チョ・ポムグ シスココリア社長は「情報技術分野の二酸化炭素排出量の内で50%以上がデータセンターから出る」とし「これを解決する方法はクラウド コンピュータ技術しかない」と強調した。
こうした中、学界と市民団体側はこういう技術の流れにより「データ保安の脅威になりうる」という主張をしながら、データ位置論争に火がついている。すでに関連学会を中心に論争が進行中であり、個人情報や金融情報のようなデータは必ず国内に置くようにし、電子メールのようなものも国外データセンターに置く際は事前に利用約款を通じ同意を受けるようにしなければならないなどの方案が提示されている。

国家情報院と検察・警察のような情報・捜査機関もデータ位置論争に深い関心を示している。銀行やポータルなどがデータセンターを国外に移す場合、現状のようにハードディスクやコンピュータ(サーバー)をまるごと押収・捜索することが難しくなるためだ。

キム・ジェソプ記者 jskim@hani.co.kr

→クラウド コンピューティング

インターネットのようなネットワークを通じ、遠くにあるコンピュータ・貯蔵装置・ソフトウェアを自分のもののように使えるようにする技術だ。ネットワーク構成図を描く時、インターネットの部分を雲(クラウド)のように描くことから始まった。これを活用すれば利用者がコンピュータを所有せずにインターネットを通じてサービスを利用し、利用しただけ費用を支払うようにすることができる。

→ストレージ仮想化

保存空間の活用度を高める技術だ。保存空間の一区域を多くの使用者が一緒に使うようにしたり、時間単位で分けて使うようにすることができる。それだけストレージ運営費が節減される。クラウド コンピュータ技術と結合すれば、遠く離れたストレージ空間をネットワークで結合し、一つのストレージのように使うことも可能だ。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/422256.html 訳J.S