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サムスン電子、第4四半期アーニングショック…「半導体の回復は鈍い」

登録:2024-01-09 19:13 修正:2024-01-10 06:35
昨年営業利益は10兆ウォンを下回る 
08年の金融危機以来初めて
資料写真//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子が「半導体寒波」の影響で昨年の年間営業利益が10兆ウォンを下回る15年来最悪の経営成績表を出した。主力の半導体の業況は昨年下半期から回復傾向を見せているものの、業績改善の幅と速度は予想より緩やかで遅い。昨年第4四半期の実績も「アーニングショック」水準だ。

 サムスン電子は9日、連結基準で昨年1年間の営業利益が6兆5400億ウォン(約7100億円)となり、前年比で84.92%減少したという暫定集計を公示した。売上は258兆1600億ウォン(約28.2兆円)で、前年比14.58%減少。サムスン電子の年間営業利益が10兆ウォンを下回ったのは、グローバル金融危機に見舞われた2008年(6兆319億ウォン)以来15年ぶりのことだ。

 昨年第4四半期だけ見れば、営業利益は2兆8千億ウォン(約3050億円)で前年同期比35.03%減。売上も67兆ウォン(約7.3兆円)で4.91%減少した。サムスン電子の営業利益は昨年第1四半期に6千億ウォン台まで下がったが、第3四半期(2兆4400億ウォン)から回復傾向にあった。昨年第4四半期も直前四半期より営業利益が増えたが、市場展望値(3兆9608億ウォン)には大きく及ばなかった。

 サムスン電子はこの日、事業部門別実績は公開しなかったが、主力の半導体部門(DS)の収益改善が予想より鈍いと証券街は見ている。半導体部門の営業損失は昨年第3四半期までに12兆6900億ウォンに達し、昨年第4四半期にも1兆~2兆ウォンの赤字を出したとみられる。年間赤字は14兆ウォン(約1.5兆円)前後と推算される。

 メモリーの減産にともなう固定費増加で半導体部門の赤字改善が予想に大幅に達しなかったという分析が出ている。ダオル投資証券のコ・ヨンミン研究員は「減産にともなう単位当たりのコストアップによる固定費負担を念頭に置けば、昨年第4四半期には売上の拡大幅より利益改善幅は小さいだろう」とみた。メリッツ証券は「メモリー出荷量の増加で売上成長は達成したが、旧型在庫製品の原価構造が実績改善に障害物として作用したとみられる」と分析した。

 半導体市況は昨年下半期から減産効果が可視化し、過剰在庫が緩和され底を打って反騰する傾向だ。メモリー出荷量が増え平均販売単価(ASP)が上昇したことで赤字幅が減ってはいるが、需要の回復傾向がそれほど強くはないということが問題だ。これと関連してサムスン電子は「メモリー分野は顧客会社の在庫が正常化し需要が改善される中で、先端製品の需要に積極的に対応し、前四半期より実績が改善された。非メモリー半導体は需要回復が遅く、ファウンドリの稼動率改善が不十分で実績不振が続いた」と説明した。

 半導体以外の他の事業部の昨年第4四半期の営業利益の市場推定値を見ると、モバイル・家電を含むデバイス経験(DX)部門は2兆ウォン台、サムスンディスプレイ(SDC)は2兆ウォン前後、ハーマン(Harman)が4千億ウォンなどだ。ハナ証券のキム・ロクホ研究員は「メモリー部門の赤字が縮小されたが、モバイル・家電は直前四半期対比で物量・価格の両方とも減少し下落した」と話した。同日、サムスン電子の株価は2.35%下落した。

 今年は半導体価格の上昇傾向が明確になり、業況回復のスピードは上がるだろうとの観測が出ている。半導体市場調査会社のDRAMエクスチェンジの集計によれば、DRAMとNANDの固定取引価格は昨年10月から3カ月連続で上昇した。NH投資証券のリュ・ヨンホ研究員は「パソコンとモバイルの一部顧客社の新製品発売と在庫蓄積需要が相まって半導体需給が改善されている」として「川下産業の需要回復で稼動率が改善されれば、下半期には本格的な実績改善がなされるだろう」と見通した。証券街が提示したサムスン電子の今年の年間営業利益推定値は35兆ウォン(約3.8兆円)前後だ。

キム・フェスン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1123631.html韓国語原文入力:2024-01-09 16:23
訳J.S

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