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韓国が経済成績2位? 尹大統領が語らない「真逆の世界ランキング」

登録:2023-12-26 07:44 修正:2023-12-28 08:16
[現場から]
尹錫悦大統領が21日、ソウル中浪区の小規模住宅整備管理地域「モアタウン」の事業地で開かれた地域住民との都心住宅供給懇談会で発言している/聯合ニュース

 韓国政府による政策成果の宣伝は選挙を控えてよりひどくなっている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は19日の国務会議で、ある外国メディアの報道に言及しつつ、「韓国政府が堅持してきた健全財政基調の下で民間主導、市場中心の経済の復元に努めてきたことに対する評価」だと述べた。英国の経済週刊誌「エコノミスト」が今月17日、「今年善戦したのはどの国の経済か」と題する記事で、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国のうちギリシャを今年の経済成績1位、韓国を2位にあげたことを指したものだ。

 物価、成長、雇用、証券市場などの5つの評価指標のうち、韓国は物価状況を評価した2つの指標で5位以内に入った。韓国銀行の先制的な政策金利引き上げで物価上昇が他国より穏やかだったというのだ。企画財政部も、19日のチェ・サンモク副首相兼企画財政部長官候補に対する国会での人事聴聞会開催の直前、記者団にエコノミストの記事の翻訳本まで提供して宣伝に注力した。

 しかし、その記事のわずか2日前の15日、エコノミストはまったく異なる性格の報道もおこなっている。「2023年、世界で最も裕福な国」と題する記事で、同誌は178カ国の1人当たりの所得の比較を公開した。韓国は昨年、市場為替レートを基準とした1人当たりの国内総生産(GDP)が3万2300ドルで世界31位、各国の物価水準を考慮した購買力平価(PPP)で比較した1人当たりGDPは5万100ドルで30位だった。しかし、購買力平価で各国の労働時間を考慮した1人当たりGDP(3万5900ドル)は47位と大きく順位が落ちる。これは日本(3万8400ドル)はもちろん、トルコ(4万4700ドル)、ポーランド(3万9200ドル)、ルーマニア(3万7600ドル)よりも少ない。

 エコノミストはこの記事で「韓国の労働者は特に長時間労働に耐えている」と指摘した。生産性向上が遅い一方、残業をあおる劣悪な職場文化、勤務日の多さと休日の少なさ、自営業者の割合の高さなど、世界最上位圏の長時間労働が韓国の所得を支えているというのだ。このような仕事と生活のバランスの破壊は、厳しい国民生活や少子化などの根本原因でもある。エコノミストは先月30日、韓国の空売り禁止措置を指して「国内証券市場の低迷の原因として空売りを非難する投資家集団を(韓国政府が)ターゲットにしたもの」と批判している。これについてはチェ・サンモク副首相候補はもちろん、尹錫悦大統領も一言も触れていない。

 市場ではこのところ、政府が家計・企業に対する貸付の軟着陸、不良企業の構造調整などの、票にならず頭の痛い懸案をすべて来年の総選挙後に先送りし、大衆迎合的な政策ばかりに没頭している、との懸念が広がっている。国民が実感することが困難な「我田引水」的な宣伝ではなく、韓国経済の将来にとって苦い薬となる政策課題を先送りしないことこそ必要だ。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1121671.html韓国語原文入力:2023-12-25 07:00
訳D.K

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