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日本「マイナス金利」に終止符を打つか…世界経済に波紋

登録:2023-12-18 20:31 修正:2023-12-19 08:29
19日、日本銀行金融政策決定会合に注目
=クリップアートコリア//ハンギョレ新聞社

日本は8年ぶりにマイナス金利から脱することができるだろうか

 最近、日本銀行(BOJ)総裁が通貨政策転換の可能性に言及して以来、早ければ来春にも日本が政策金利を引き上げる可能性があるとの展望が急浮上している。唯一「低金利」を固守してきた日本の通貨政策転換は、世界経済はもちろん韓国経済にも波紋を予告する。

 33年ぶりの最安値を記録した円が円高に転じれば、韓国の輸出企業の価格競争力が影響を受ける。約100兆ウォン(約11兆円)を超える日本の海外投資金が本国に移動すれば、グローバル債券市場が動揺し、韓国国内の貸出金利も動揺しかねない。18~19日に開かれる日本銀行の金融政策決定会合が注目される理由だ。

■ 30年デフレの泥沼から抜け出す日本

 日本のマイナス金利脱出展望を触発したのは、7日の植田和男日本銀行総裁の発言だ。彼は参議院財政金融委員会で、賃金引き上げと物価上昇の好循環が確実になれば、マイナス金利解除と長短期金利操作改善(廃止)も視野に入ってくると話した。

 1990年代バブル経済崩壊以後「失われた30年」という長期不況に陥った日本は、2016年1月から短期政策金利を-0.1%に維持している。同年9月には長期国債金利の上下段範囲を設定し、それ以上に金利が動く場合に中央銀行が国債を買ったり売ったりする「収益率曲線管理」(YCC)政策も導入した。こうした超低金利の資金供給は7年間続いた。

 これは日本が長期間低物価状態に置かれていたためだ。新型コロナ、グローバルサプライチェーンの支障で韓国と米国の消費者物価上昇率が3%台、6%台まで跳ね上がった2021年にも日本の物価上昇率は0%台に止まった。日本企業は長い不況で商品価格の引き上げがままならないとして、労働者の賃金上昇を抑制し非正規職を増やす方式で対応してきた。これは再び消費者の消費余力低下につながり、形成された「低物価悪循環の輪」が日本経済を押さえつけた。

 植田総裁が通貨政策の転換を取り上げたのは、最近になって日本経済に変化の兆しが現れているからだ。消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)が昨年1月から跳ね上がり、今年1月には4.2%と41年4カ月ぶりの最高値を記録した。今年の賃金引上げ率も3.2%で、比較可能な統計がある1999年以後最も高かった。デフレリスクが減り日本銀行もマイナス金利脱出を熟慮するようになったわけだ。

 専門家たちは、早ければ来春の通貨政策転換を見込んでいる。今月初めのブルームバーグ調査(経済学者52人)によると、彼らは来年4月ごろに日本銀行が金利を引き上げるだろうと予想した。春の賃金交渉である春闘がその変曲点になるという予想だ。

■ 円高…日本資金大移動「激変」

 日本の通貨政策転換は、世界経済に少なからぬ影響を及ぼす。歴代級の円安が円高に転じる可能性もある。先月の対ドル円相場は151.9円で、33年ぶりの円安が進んだ。そして今月7日、植田総裁の発言が出ると対ドル円相場は2日間で147円から141円まで4%下落した(円高)。円高現象が深まるほど、日本企業と競争関係にある一部の韓国輸出企業は価格競争力が強化され、恩恵を受けることができる。

 100兆ウォン(約11兆円)を超える円キャリー資金も変数だ。日本の投資家は低金利で円を借り、金利の高い国の資産に投資してきた。この規模を推定できる外国銀行日本支店の本支店間送金額は2022年末基準で12兆円(約109兆ウォン)だ。これらの投資資金が日本に帰還する場合、全世界の株式・債券・外国為替市場が影響を受けることになる。

 特に、米国債の金利上昇が予想される。米財務省の「国際資本流出入の最近の動向」(TIC)によれば、米国債保有国1位は日本だ。日本の投資家が米国債を売り始めれば価格が下がり金利が上がり、これは韓国の債権金利および貸出金利にも直ちに影響を与えかねない。

 もちろん慎重論もある。日本銀行が円安を土台にした景気浮揚をあきらめることは容易でなく、物価-賃金の好循環をさらに確認しなければならないという点で通貨政策の転換時点がさらに遅れる可能性があるということだ。ブルームバーグは11日、「日本銀行はマイナス金利を急いで廃棄する必要はないと見ている」と述べた。

 円キャリー資金清算の余波も見守らなければならないという意見がある。NH投資証券のパク・ユンジョン研究員は「新型コロナ以後、日本の投資は円キャリートレードを活用した間接投資よりは直接投資(FDI)の流れが強い。どれほどの影響力を発揮するかについては疑問がある」と述べた。

 金融市場はひとまず今週初めに開かれる今年最後の日銀金融政策決定会合を注視している。ここから出る通貨政策転換関連メッセージの強度と水準によって、金融市場は再び動揺しかねない。

チョン・スルギ、チョ・ヘヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1120761.html韓国語原文入力:2023-12-18 08:50
訳J.S

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