本文に移動
全体  > 経済

円安は続くのか?…来年の「春闘」にかかっている

登録:2023-11-26 20:18 修正:2023-11-27 07:45
[Weconomy|キム・スンヒョクのつながる経済]
円ドル為替レート推移 資料:韓国銀行

 最近、円安の流れが続いている。円ドル基準で151.9円水準になり、1990年以降最も円安が進み、ウォン円基準では874ウォン(100円当たり)を記録した。円安の流れが際立つ原因は大きく2つに圧縮できる。まず、日本の中央銀行による超緩和通貨政策のためであり、二つ目は米国と日本の金利差が大きく広がっているためだ。

 日本の中央銀行による超緩和通貨政策は、すでに長年維持されてきた。代表的なものにイールドカーブ・コントロール(YCC)政策がある。10年物国債の金利上下段範囲を設定し、それ以上に金利が動く場合には無制限国債買い入れを通じて金利水準を低く維持することだ。超緩和通貨政策が今年さらに深刻な円安につながった原因は、グローバルインフレの流れにある。世界中の多くの国が物価を抑えるために基準金利を引き上げてきた。もちろん日本の物価も速いスピードで上がっている。日本の全国消費者物価指数の上昇率は今年1月に4.4%まで上がり、1990年代水準の物価の流れを改めて示した。

 他の国々の政策金利が日本の政策金利より高くなると、円安が進み始めた。金利は一種のお金の価格であるため、円の価値が相対的に下がったのだ。一部の市場参加者は、日本の物価が高くなったことを根拠に中央銀行が緩和的通貨政策方向を変更すると期待したが、日本の中央銀行はイールドカーブ・コントロールの上段を1%程度に維持し、市場の「超緩和通貨政策時代が終わる」との期待を一蹴した。これにより円はドルに対し下落幅をさらに一段高めた。

 その後、日本の中央銀行はまだ日本の実質賃金と成長率が望む水準ほどには到達できていないことを強調し、今の物価上昇率は来年には再び下がる可能性があると言及した。すなわち、通貨政策を緊縮的に変える根拠を見出せなかったと明らかにしたのだ。実際、日本の最近の賃金上昇率は対前年比0.6%と低い水準に留まっており、実質国内総生産(GDP)成長率は第3四半期は-2.1%(対直前四半期比)を記録した。このように日本政府が通貨政策の変化に消極的な態度を見せると、市場は円安の流れがしばらく続くと見て、円安への賭けをさらに進めた。その結果、心理的抵抗線の役割をしていた「1ドル=150円」が崩れ、151.9円水準まで急速な円安を示した。

 総合すると、円は日本の中央銀行が通貨政策の態度を変えた場合に円高に転じる可能性があることが推測できる。また通貨政策に対する態度は、日本経済の実質成長率の成長が先決条件であることが確認できる。日本には春闘(春季闘争)というものがある。毎年2月に行われる賃上げ交渉だが、現在、日本の物価上昇率は3%台を維持しており、来年の春闘で賃上げを強く要求する根拠になる。昨年、日本労働組合総連合会は5%の賃金引き上げを要求し、結果的に3.58%の賃上げを引き出した。今年は5%を超える水準の賃金引き上げを要求する計画だと明らかにしている。賃金が上がれば、日本の内需景気が次第に改善されうる。これにより中央銀行の通貨政策方向が今までとは少し違う動きをする余地が生じる。これが円高に転じるトリガーの役割を果たす可能性がある。

キム・スンヒョク|NH先物研究員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1117892.html韓国語原文入力:2023-11-26 17:27
訳J.S

関連記事