昨年の景気鈍化の余波で韓国の政府債務(一般政府債務・D2)の比率がこれまでの予想より上昇したことが分かった。今年、税収不足が現実化したことで、財政健全性に対する懸念はさらに高まるものとみられる。
国際通貨基金(IMF)が最近発表した「財政モニター」報告書を16日に確認したところによると、昨年末基準で韓国の対国内総生産(GDP)比「一般政府債務」(D2)の比率は54.3%と推算された。これはIMFが昨年10月に提示した見通し54.1%に比べて0.2ポイント上がったもの。一般政府債務とは、政府債務(D1)と呼ばれる中央政府と地方政府の債務に非営利公共機関の債務まで合わせたものを指す。通常、国家間の政府債務比率を比較する時に使われる。今回の報告書は、韓国の政府債務比率の上昇速度がさらに速くなっていることを示している。企画財政部関係者は「昨年の韓国の国内総生産が昨年10月の予想より少なく、債務比率も上昇したとIMFが判断したようだ」と述べた。
韓国の政府債務比率の上昇速度は比較的速い。2018年までは40%水準だったが、5年間で15ポイント近く跳ね上がった。この期間中、新型コロナウイルス感染症の大流行により財政支出を大幅に増やした影響が大きかった。実際、対GDP財政支出比は2018年には20.4%だったが、昨年には27.9%まで上昇した。経済規模が増える速度よりも、予算をより積極的に編成したという意味だ。
IMFは政府債務比率が今後も上昇を続けるとみている。現政権の任期が終わる2027年末には57.8%まで跳ね上がると見通した。潜在成長率が次第に低くなる中、人口高齢化に伴い増える支出の需要を支えるため、韓国政府が国債発行量をもっと増やす可能性が高いと判断しているようだ。ただし、この推算は政府が昨年8月に発表した「2022~2026年国家財政運用計画」に含まれた中期財政収入と財政支出計画に基づいたものだ。
このため、これから政府債務比率の実際の上昇幅は、IMFの見通しよりさらに高くなる可能性もある。今年に入ってから政府の予想より税収が大幅に減り、総収入が減る公算が一層高まっている。税収が歳入予算より少なくなった場合、政府は予算上の税収を減らし、政府債務を増やす形で補正予算の編成に乗り出すことになる。特に現政権に入って大企業に対する減税措置を積極的に取り、税収基盤が弱化しているうえ、景気鈍化の傾向にあるため、政府債務比率が60%を突破する時期はもっと早くなる素地がある。
チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官は13日(現地時間)、主要20カ国・地域(G20)財務長官・中央銀行総裁会議への参加のために訪問した米ワシントンDCでの記者懇談会で「税収状況をもう少し見守らなければならない」としたうえで「(税収欠損を埋めるために既存の歳入予算を減額する)補正予算案の編成は検討していない」と述べた。当分「健全財政」という現政権の財政運用基調を崩さない意志を示したものとみられる。