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韓国、半導体中国生産はぎりぎり維持したが…「先端装置を導入できなければ枯死」

登録:2023-03-24 05:44 修正:2023-03-27 04:04
米商務省、対中国ガードレール発表 
10年間で中国での生産量拡大は5%のみ 
集積度を高めることでさらに拡大することは可能 
「輸出統制を避けなければ工程転換は不可能」
半導体のウェハー/聯合ニュース

 これからサムスン電子とSKハイニックスが米国政府の投資補助金を受ける場合、10年間は中国内での先端半導体の生産量拡大を5%以内に制限するという方針を、米国政府が発表した。これらの企業が数十兆ウォンを投じて作った中国の工場を閉鎖しなければならないのではないかという懸念からは脱し、中国内の製造装置の維持と技術的アップグレードも一部可能になったという点で、「最悪は免れた」とする評価が出ている。しかし、米国が先端半導体の装置と技術について中国に対する輸出禁止措置を強化することが予想されるなど、中国リスクはまだ壁が多い。技術が急速に発展する半導体市場の競争条件に照らすと、先端製造装置を投入できない中国現地の半導体生産ラインは「現状維持」もしくは「撤退」へと選択肢が狭まるからだ。

 米商務省が21日(現地時間)に発表した半導体法ガードレール(投資制限装置)の細部規定によると、米国の半導体補助金を受ける企業の中国内の先端半導体工場は、5%以内の範囲で生産能力を拡大できる。技術開発を通じて1枚のウェハー(半導体シリコン円盤)からより多くの半導体チップを作ることも許される。制限された範囲内だが、新規投資を通じて先端半導体の製造施設を追加したりアップグレーできるという意味だ。汎用(レガシー)半導体は、生産拡大範囲は10%以内に制限される。韓国企業などが中国で作る半導体は、米商務省が提示した汎用半導体基準(ロジック半導体は28ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)、DRAMは18ナノメートル、NANDは128段)より技術水準が高い先端半導体だ。5%以内のみ生産拡大が可能だという話だ。これを越える生産能力の拡大のための投資は、10万ドル以上は禁止される。

 半導体法では、補助金を受ける場合、10年間の中国での半導体生産能力の「実質的拡大」を禁止すると規定したが、米商務省はその基準を、月別のウェハーまたは半導体パッケージの生産量とした。米商務省は「生産能力が5%以上増えない限り、技術アップグレードは許容」すると明らかにした。技術開発でウェハーあたりのチップ数が増えることは生産能力拡大とみなさないという意味だ。韓国企業はこうした能力拡大まで禁止される最悪の状況は避けられることになった。産業通商資源部はこれについて「技術アップグレードの場合、集積度の増加を通じてウェハーあたりのチップを増加させることが可能で、企業戦略によってはさらなる生産拡大も可能だと予想される」と明らかにした。

 韓国政府と韓国内の半導体企業が直面する最大の難関は、米国の中国に対する輸出統制だ。米商務省は昨年10月、先端半導体用の製造装置を中国に輸出することを事実上禁止した。あわせて、中国現地の生産施設を運営する第三国の企業であるサムスン電子とSKハイニックスには、この措置の適用を1年猶予している。許可期間は今年10月までであるため、追加延長が必要だ。

 この猶予措置の延長の可能性について、商務省のアラン・エステベス次官は先月、「企業が生産可能な半導体の技術水準に上限を設定する可能性が高い」と述べた。実際、米国が半導体装置強国であるオランダや日本などと調整し、中国への輸出が禁止される先端半導体製造装置を、これまでの17基から2倍に増やす予定だと外信は報道している。

 こうした理由から、韓国内の半導体業界では、中国現地の工場の先端工程への転換などについて、不確実性は変わっていないという懸念が出ている。匿名を求めた半導体企業関係者は、「重要な点は、現在の工程を先端工程に切り替えるにはそれに合う製造装置を持っていかなければならないが、その点は今なお解消されていない」と述べた。産業研究院のキム・ヤンパン専門研究員は「技術のアップグレードのためには、単なる収率向上ではなく先端半導体装置の導入が重要だが、その点は今なお解決されていない」と述べた。韓国企業にも強力な中国輸出統制が適用されるとなれば、「正面玄関を開けておき、裏口を閉じた格好」になるというのが業界の話だ。

 サムスン電子は、現在の中国の工場で128段以下のNANDメモリーを生産中だ。SKハイニックスは144段以下のNANDメモリーを生産中で、DRAMは10ナノメートル中後半から20ナノメートル前半の製品を量産している。現在生産中の製品は、時間がたつにつれ先端製品に追い越され需要は減らざるをえず、工程転換が必須だ。工程転換を行わない場合、中国企業に技術力が追いつかれ、需要先を探すことが困難になりうる。この日、フィナンシャル・タイムズは、中国政府がSMIC、華虹、ナウラ(北方華創)など選別された半導体関連企業により多くの補助金を集中する計画だと報じた。米国の制裁を克服するために補助金をばらまき、自国の半導体サプライチェーンを強化するための措置だ。

 米商務省のガードレールは、60日間の意見取りまとめを経て確定する。韓国政府は「業界と連絡を取りあい、細部の規定内容を詳細に分析し、これをもとに米国とさらに協議を進める計画」だと明らかにした。

キム・フェスン先任記者、ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1084752.html韓国語原文入力::2023-03-23 10:03
訳M.S

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