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韓国、「1人最大15億ウォン」自営業者40万人の債務を一部免除

登録:2022-08-29 02:42 修正:2022-08-29 09:20
「自営業者バッドバンク」新たな出発基金を発表 

低信用・短期延滞者の利子引き下げ・長期分割返済 
信用不良者、財産を超える借金に限り60~90%減額 
自営業者の負債「深刻」…保守政権では異例の借金減免
ソウル市内のある干物市場で商人が客待ちしている/聯合ニュース

 負債を抱える332万人の自営業者の12%に当たる最大40万人の債務者の債務を調整する新たな出発基金が、韓国で10月にスタートする。低信用者、長・短期延滞者などの脆弱な債務者に1人当たり15億ウォン(約1億5400万円)を限度として利子の引き下げ、長期分割返済、元金の減額などを行う。60~90%の元金の減額は、全体の3%(約11万人)の「信用不良者(借金が返せなくなった人)」にのみ5億ウォン(約5120万円)を限度として限定的に行われる。保守政権で借金の減免が行われるのは異例のことだ。それだけ新型コロナウイルス禍にともなう自営業の負債が韓国経済の大きな雷管になっているということだ。

 金融委員会は28日、自営業者・小商工人専用の債務調整プログラムである30兆ウォン(約3兆700億円)規模の新たな出発基金を発表した。コロナ禍で災害支援金などを受け取った履歴のある個人事業者と法人小商工人(常勤の勤労者が10人以下など)のうち、借金返済に困難を抱える脆弱債務者が対象だ。政府は当初、対象者を25万人と予想していたが、融資金利が急速に上がっているため、最大で40万人にまで拡大する可能性を開いておくことにしている。

 銀行と第2金融圏(保険、信託、証券、カード会社など)に対する債務はもちろん、金融委に登録された一部の貸金業者からの借金も調整が可能だ。担保融資、保証融資、信用融資を全て含み、事業者に対する融資以外の個人に対する融資であっても、事業に使われていれば支援が受けられる。1人当たりの債務調整可能限度は現在の信用回復委員会制度と同じ総額15億ウォンで、担保融資が10億ウォン(約1億200万円)、保証・信用融資が5億ウォン。

 債務調整の対象は「不良化が懸念される債務者」と「不良債務者」に分かれる。不良化が懸念される債務者は90日未満の短期延滞者か、延滞がなくても、信用評点が下位である▽休・廃業から6カ月以上がたっている▽税滞納信用情報管理対象者として登録されている▽政府の満期延長・返済猶予金融支援を利用している、のうちの1つ以上に該当する事業者。対象者は利子引き下げと10~20年の長期の分割返済が可能になる。利子引き下げは延滞30日以内は金利9%以下、延滞30~90日は3~4%台の単一金利での調整が検討されている。

 不良債務者は90日以上の長期にわたって延滞している信用不良者で、60~90%の元金減額が行われる。ただし財産を超過する過剰な純負債(負債-財産)のみ減額が可能で、無担保信用融資のみが対象になるため、限度は5億ウォン以内に制限される。そのため、不良債務者であるにもかかわらず元金減額基準に適合しなければ、利子引き下げと長期分割返済だけが実施される。

 政府が自営業者の借金の調整を決めたのは、コロナ禍での営業制限で負債増加が深刻化したためだ。この2年半(2019年末~2022年6月)で自営業者向け融資は44%(303兆9000億ウォン、約31兆1000億円)もの急増を示しているが、第2金融圏からの融資だけでも71%(160兆4000億ウォン、約16兆4000億円)増加している。政府は2020年4月から約133兆ウォン(約13兆6000億円)規模の自営業者向け融資に対して満期延長および元利金返済の猶予を実施して不良化を防いでいるが、この制度は9月末に終了する予定になっている。

 延世大学のソン・テユン教授(経済学)は「コロナ禍で急増した自営業者の負債に対しては、返済を猶予するだけでは解決策にはならない」とし、「信用不良化が迫った自営業者は公的支援によって減免するべき」と述べた。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1056452.html韓国語原文入力:2022-08-28 12:00
訳D.K

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