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サムスン・LGがEV製造に乗り出さない理由は

登録:2022-02-03 20:31 修正:2023-08-30 08:14
アップル・ソニーは委託生産通じて製造に乗り出す 
反面、韓国国内の両企業「完成車計画はない」 
EV部品供給の方が利益が大きい 
完成車の製作は実益大きくないと判断
台湾フォックスコン(鴻海)の開放型電気自動車プラットホーム(電気自動車専用骨組み)「MIH」=フォックスコンのホームページより//ハンギョレ新聞社

 「サムスンとLGはどうして電気自動車(EV)を作らないのですか?」

 先月、日本の電子企業ソニーがEV市場進出を宣言すると、韓国国内でこのような反応が提起された。もっともな疑問だ。

 まず、海外のライバル企業の間ではEV事業への参入が相次いでいる。日本のソニーはもちろん、スマートフォンを作る米国のアップル、中国の小米(シャオミ)や華為(ファーウェイ)もEV製造を推進中だ。EVを「車の付いたスマートフォン」と見て参入している。

 自動車産業の参入の壁も以前ほどには高くない。内燃機関エンジンと変速機などが消えて部品構成が単純になったうえに、外部の専門企業にEV生産を委託することもあるためだ。大規模な設備投資が必要ないという話だ。

 アップルのiPhone(アイフォン)を受託生産する台湾のフォックスコンがEV事業に参入し、顧客企業のEVを代わりに作ると名乗りを上げたのが代表的な事例だ。ソニーが先月公開した新しいEVコンセプトカーも、LG電子と昨年EVパワートレイン(動力伝達装置)の合弁会社を設立した世界3位の自動車部品メーカー、カナダのマグナが作った車両だ。

 特にLGは「自動車を最もよく知る企業」と自任するほどにEV技術を豊富に保有している。LG電子と同グループの系列企業は、電気モーター・バッテリー・車両用通信モジュール・ディスプレイなどを作り完成車メーカーに納品している。米国最大の自動車メーカーであるゼネラルモータース(GM)のEVであるBOLTの製造原価は、LGの部品が占める比重が半分を超えており、事実上「LG車」という話が出るほどだ。

 サムスン電子も2017年に自動車用電子装置の専門企業である米国のハーマンを約9兆ウォン(約8500億円)で買収し、車向け半導体を直接生産するなど自動車部品事業を未来の収益の柱に育てている。サムスンは1993年に自動車市場への進出を宣言し、翌年にはサムスン重工業が自社技術で企画・設計・製作した純粋EV「SEV-3」を発表した前例もある。鉛蓄電池28個を搭載し、バッテリー満充電での走行距離が180キロメートル、最高時速は130キロメートルの車両だ。

 しかし、両社はそろって本紙の電話取材に対し「完成車を作る計画はない」と釘をさした。ここには自動車の直接生産より完成車企業などを相手にした部品供給の方がはるかに利益になるとの考えが流れている。今後ますます競争が激化するEV市場に直接飛び込んでも、実益は薄いという話だ。

 仮にサムスンとLGがEVの自社生産に飛び込めば、完成車企業がライバルと認識し部品調達を切る可能性も大きい。「顧客と競争しない」という社訓を作り、半導体の受託生産世界1位に上がった台湾TSMCの戦略と似ている。

 大型の完成車メーカーの関係者は「英国の家電メーカーのダイソンがEV事業への進出を翻したように、実際のところ安全法規を守り一定水準以上の品質を備えた自動車を大量生産して販売し、アフターサービスまですることは決して簡単なことではない」と話した。

パク・ジョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1029526.html韓国語原文入力:2022-02-03 08:03
訳J.S

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