人事聴聞会導入、検証を強化したにもかかわらず
社会・経済的既得権に否定的
72%「その地位につく資格なし」
韓日関係の回復と歴史の清算めぐって
「歴史の清算が先」3倍以上多く
「自私高必要」否定回答が15%ポイント上回る
韓国社会は軋轢が多いところだ。韓国の社会対立指数は、経済協力開発機構(OECD)34カ国中3位(2016年現在)で、メキシコ、トルコに次いで高い。もちろん軋轢は必ずしも悪いものではない。社会的公論化を通じて接点を見出すなら、韓国社会の民主主義は一層成熟できる。しかし、過度な軋轢は社会統合を阻害し、莫大な社会的コストを発生させ、国家経済全般にも否定的な影響を及ぼす。
韓国社会が持続可能であるためには、多くの軋轢を避けて通ることはできない。環境危機と不平等、福祉など、ほとんどは立場が分かれる。軋轢を解決するためには、何よりも韓国社会が主要な争点に対してどのような考えを持っているのか、世論を把握することが重要だ。ハンギョレ経済社会研究院は、世論調査専門機関のグローバルリサーチに依頼して、全国の成人1000人を対象としてパネルを用いたオンライン方式により、9月25~27日に「韓国社会の持続可能性に対する国民意識」調査(95%信頼水準、標本誤差±3.1%)を行った。この調査で、韓国社会が経験している様々な軋轢について、国民の意見を聞いた。
まず、最近1カ月ほどの韓国社会の最も熱い争点をあげるなら、断然チョ・グク法務部長官の任命問題だ。保守・革新の対立にとどまらず、革新勢力の中でも立場の違いが大きく、社会的疲労度が極まった状態だ。検察改革に対してはチョ・グク長官ほど能力のある高位公職者はいないという意見から、私募ファンドへの投資、子どもの大学入試過程の不公正行為疑惑、横領・背任を犯したテグァン・グループ会長嘆願書など、法に違反するかどうか以前に道徳性の問題が深刻だという指摘もある。
どの政権であれ、高位公職者の任命過程で道徳性と業務に対する能力の問題は常に争点になってきた。国民はどう考えているのだろうか。「大統領が高位公職者を任命する際、道徳性が多少低くても能力があれば許せる」には69.5%が否定的回答をした。すなわち、国民の10人中7人は道徳性を高位公職者の最重要要素だと考えているのだ。金大中(キム・デジュン)政権時代の2000年に導入された人事聴聞会は様々な批判にもかかわらず高位公職者の道徳性の基準を高めてきた。韓国社会ではまだ既得権に対する認識がかなり否定的だ。「社会・経済的上位階層はその地位にいる資格が十分ある」に72.1%が否定的回答を寄せた。
「韓日関係の回復」と「歴史の清算」、どちらが先?
東アジアの平和に向けて、韓日対立と南北関係の改善も韓国にとっては大きな課題だ。韓国の最高裁判所による日帝強制動員被害者への賠償判決に対する日本の貿易報復や韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了まで、最近、韓日関係が史上最悪へと突き進んでいる。中心にはいつも歴史問題がある。韓日関係に関しては、回答者の75.6%が「韓日関係改善のためにも、歴史問題をまず解決すべき」と答えた。「とりあえず韓日関係を改善した後、歴史問題を解決」を選択したのは24.4%だけだ。「歴史の清算が先」が3倍以上多い。歴史の清算は望むものの、今後韓日間の歴史問題がうまく解決されると考えるかという質問には、75.9%が悲観的見通しを示した。安倍首相など過去を反省しない自民党が長期にわたって政権を握っており、問題解決が難しいということが影響したようだ。
南北関係の主要課題である統一をめぐっては、立場が拮抗している。「南北の格差が大きくコストはかかるが、統一は必要だ」には57.8%が肯定的、42.2%が否定的回答を寄せた。ほとんどの世代で肯定意見が多かったが、20代のみ半分を超える52.9%が否定的だった。統一という議題は、若者世代にとっては犠牲を甘受してでも必ずや成し遂げるべき目標ではないわけだ。朝米首脳会談が実現するなど、いつになく朝鮮半島の平和体制への期待が高いにもかかわらず、南北関係の展望を問う質問に対しては「不透明だ」という意見が多かった。10年後の南北関係の展望を問う質問には「あまり変わらないだろう」という回答が46%で最も多く、好転するは43.3%、悪化するは10.7%に止まった。
傾いた運動場、特殊目的高校・自私高どうする?
社会分野は福祉と増税、特殊目的高校・自律型私立高校など賛否が最も割れる分野だ。まず「福祉の水準を上げるため、税金をもっと払う意思がある」には半分以上の58.3%が同意しないと答えた。否定的な回答は20代(60%)と50代(66.9%)、および税金を多く納めなければならない中産層以上(63.2%)に多かった。福祉が拡大し、わずか数年前までは「福祉のために税金をもっと納めてもよい」という意見が半分を超えて優勢だったが、やや後退した感がある。
教育問題については「様々な批判はあるが特殊目的高校(特目高)や自律型私立高校(自私高)は必要だ」には同意しないという否定的な回答が57.4%で、同意する(42.6%)より14.8%多かった。特目高に対する否定的な回答は20代(59.5%)、50代(63.4%)、階層別では中下層以下(64.5%)で多かった。特目高、自私高は一般高校に比べ、授業料と名門大学への進学率がともに高く、「傾いた運動場」という批判を浴びている。
経済・環境分野では最低賃金、分譲価格上限制、環境にやさしいエネルギーなどの争点を調べた。「自営業者・小規模商工業者がやや厳しくても最低賃金は今より大幅に引き上げるべき」には「同意しない」が52.4%と、同意する(47.6%)より4.8%多かった。所得主導の成長の最重要政策である最低賃金は、文在寅(ムン・ジェイン)政権になって16.4%、10.9%と2桁の引き上げとなり、社会的論争が沸き起こっている。大幅な最低賃金の引き上げは、賃金格差の縮小という肯定的な影響と共に、雇用不安という課題も残したためだ。ただでさえ経営状況が良くない零細・中小企業が最低賃金の引き上げで苦境を訴えるなど、社会的雰囲気が反映されたものと見られる。
「分譲価格上限制は、多少悪影響があるとしても住宅価格安定化のために必要だ」には66.5%が肯定的回答を寄せた。政府は、ソウル江南(カンナム)の立替マンションの過熱ムードを抑制するとし、十分な検討を経て、民間宅地の分譲価格上限制の導入を判断するとしている。分譲価格上限制への賛成は実際に住宅を購入する年代である30代(70.7%)、40代(71.8%)で多かった。国民大討論会まで開いた原発問題については「電気料金が多少上がっても、原発を減らし、環境にやさしいエネルギーを使用すべき」への肯定的回答が65.2%と、否定的意見(34.8%)を大幅に上回った。
国会の迅速処理案件(ファストトラック)となった「連動型比例代表制」についても賛成が多かった。「国民の代表性の拡大などに向け、国会議員の地方区の議席を減らし、比例代表議席を増やす方式に選挙制度を変えるべき」に同意するが54.5%で、同意しない(45.5%)より10%多かった。