サムスンバイオロジックス(サムスンバイオ)が、子会社サムスンバイオエピスの会計処理と関連して「故意の粉飾会計」を犯したと14日、金融当局が最終結論を下し、サムスンバイオは株式市場での売買取引が直ちに停止された。今後この事件は上場廃止を検討する韓国取引所の上場適格性審査、検察の捜査、サムスン側の行政訴訟提起にともなう裁判所の審理という取引所・検察・裁判所の3カ所で同時進行される公算が高まった。
この日、金融委員会傘下の証券先物委員会が再審理案件審議の結果、故意の粉飾会計であると最終確定して検察に告発通知したことにより、取引所は有価証券市場に上場されているサムスンバイオの株券に対する売買取引を直ちに停止措置した。サムスンバイオの時価総額は、KOSPI市場で5位(14日基準22兆1322億ウォン=約2.2兆円)だ。有価証券市場の上場規定は「上場廃止基準または上場適格性実質審査の理由が発生した場合、当該理由が確認された時点からこの理由が解消されるまで売買取引を停止する」とされている。
売買停止に続き取引所は、サムスンバイオに対する上場適格性審査手続きに直ちに突入する予定だ。取引所の上場規定によれば、金融当局が会計処理基準違反と議決して検察に告発・通知措置する事件のうち、該当法人の資産総額が2兆ウォン以上(サムスンバイオは7兆3千億ウォン)の場合、会計違反の金額が自己資本(サムスンバイオは3兆7700億ウォン)の2.5%以上なら上場廃止審査の対象になる。
この日、証券先物委員会の再審理の結果が上場適格性審査の事由に該当したことにより、取引所は今後15日以内にサムスンバイオの故意の粉飾会計が上場適格性の有無を審議する企業審査委員会の審議対象に含まれるかを判断する予定だ。その後、外部の専門家たちで構成される企業審査委は、上場廃止の有無を議決する。上場廃止と決定されれば、サムスンバイオは直ちに異議申立てを提起すると見られる。その場合、取引所は上場公示委員会を開き、上場廃止または改善期間付与の有無を再び審議して決定する。こうしたすべての手続きは大体2カ月ほど進行されると見られる。
取引所の高位関係者は「企業審査委の審議対象になるか否かをめぐり、会計粉飾の規模と内容を十分に調べる」としながら「審議対象に含まれるならば、今後外部の企業審査委も粉飾会計の故意性と規模、投資家保護を慎重に考慮するなど、実質に基づいた深層審査を行い、上場適格性を判断することになるだろう」と話した。時価総額が20兆ウォン(約2兆円)を超えるうえに、投資家が8万人以上に達する大型株であるだけに、今後粉飾会計とは別に上場廃止の有無をめぐる市場での論議も加熱すると見られる。ただし、2009年に上場適格性実質審査制度が導入されて以来、粉飾会計を理由とした上場廃止は未だ前例がない。5兆7千億ウォン(約5700億円)に達する史上最大規模の粉飾会計があらわれて取引所が上場適格性審査を進めた大宇造船海洋も、2016年から1年3カ月にわたり売買取引が停止されたが、上場廃止までは行かなかった。
この日、サムスンバイオの株価は前日より6.7%上がった33万4500ウォンで取引を終えた。取引所がサムスンバイオの取引を停止する直前まで行われた時間外取引では、予想締結価格が下限価まで落ちたりもした。 粉飾会計に関する証券先物委の発表が始まった午後4時30分以後、サムスンバイオの時間外取引の予想締結価格は、同日の終値より9.86%低い30万1500ウォンまで下がった。 しかし、取引所が午後4時39分に同銘柄の取引を停止したため、当該価格では取引が行われなかった。
サムスンバイオは証券先物委の結論に直ちに反発し、「行政訴訟を提起して会計処理の適法性を立証する」と明らかにした。これに伴い、故意の会計粉飾の有無をめぐる論議が最高裁(大法院)まで続き、数年間にわたる可能性もある。結局、サムスンバイオおよびサムスンの依頼でサムスンバイオの会計監査を遂行し、今回サムスンバイオとともに重懲戒(課徴金および監査業務制限)を受けたサムジョンKPMG、デロイトアンジンなど“サムスン陣営”と、金融監督院・証券先物委など金融当局の間に故意の会計粉飾疑惑をめぐる激しい攻防が検察と裁判所の両側で繰り広げられると見られる。
今後、サムスンバイオを子会社としている“合併サムスン物産”(旧第一毛織、最大株主イ・ジェヨンサムスン電子副会長の持分率は2017年末基準で43.44%)の合併比率算定をめぐる論議にも再び火が点く可能性が高い。