サムスン電子のイ・ゴンヒ会長の「買春疑惑動画」が公開され、サムスングループの「オーナーリスク」が再燃した。2014年5月、イ会長が心筋梗塞で倒れた後、子息のイ・ジェヨン副会長に経営権が完全には継承されていない状況で、オーナーの買春疑惑まで提起され「大韓民国代表企業」のイメージが失墜している。
サムスングループのコントロールタワーを務める未来戦略室の役員は、土曜日の23日に続き24日にも出勤し、事態の推移と対策を議論した。だが、公式な立場は22日「イ会長と関連して物議が起きていることに恐縮している。イ会長の私生活に関する問題なので、会社としては何も申し上げることはない。申し訳ない」と明らかにした以外には、まだ発表がない。
サムスンは2005年、政界と検察に対する金品ロビーに関する議論の録音ファイルが暴露された「安全企画部Xファイル」問題では国民に対する謝罪文を発表した。2008年キム・ヨンチョル弁護士の暴露により公開された秘密資金に対しては、特別検事捜査が行われ、イ会長はグループの会長職から退き再び頭を下げた。当時「誤った慣行と旧弊を断絶し、正しく透明な経営」(2005年)、「経営透明性を一層高め、正道経営、倫理経営を実践」(2008年)を約束した。イ会長はサムスンSDSの新株引受権付き社債(BW)を安価で発行し、自分の子供たちに引き受け権を集め不法継承を企てた疑惑が認められ、2009年懲役3年執行猶予5年、罰金1100億ウォン(当時のレートで81億円相当)を宣告された。
だが、今回の事件はサムスンのオーナー家が依然としてオーナーリスクを免れないことを示した。サムスンSDSのキム・イン元社長が、イ会長の「隠れ家」として使われたソウル・論ヒョン洞のマンションの貸切契約者として登場し、女性たちが受け取った小切手はウリ銀行サムスンタウン支店で発行された点を考えれば、「私生活」に会社が関わったという疑いを免れない。サムスングループ側は「イ会長の私生活と会社の領域は厳格に区分されている」としたが、イ会長の私生活を管理する秘書チームはサムスン側から給与を受け取っている。キム・イン元社長は、イ会長の秘書室出身で、不法な経営権継承に動員されたサムスンSDSの社長を務めた人物でもある。
これについて、経済改革連帯のキム・サンジョ所長(漢城大教授)は「グループ内の親衛部隊を私生活に動員したという疑いがある。皇帝経営の断面を露呈したもので、財閥オーナーが内部統制システムを通じて牽制と監視を受ける構造が必要であることを示す」と話した。
今回の波紋は韓国財閥の「ゆがんだ素顔」を改めて赤裸々に見せるものだ。SKグループのオーナー家のチェ・チョルウォン前M&M代表の「殴られ賃暴行事件」、大韓航空のチョ・ヒョナ前副社長の「ナッツリターン」に見るように、財閥一家の非常識な姿が表沙汰になった。昨年は斗山グループの創業4世社長が性的関係の動画で脅迫され、SKグループのチェ・テウォン会長は婚外関係を告白するなど道徳性問題も取りざたされた。またロッテグループの辛格浩(シンギョクホ)総括会長は、三番目の夫人への業務の集中割り当てを行い、会社と私生活を区分できない財閥の問題点を見せた。慶南科学技術大のソン・ウォングン教授(産業経済学)は「財閥は昔から『法の上の存在』であるかのような姿を見せ続けたし、今回の動画事件もその延長線上にある」と話した。