昨年の韓国の経常収支黒字幅の拡大は、全面的に原油価格下落によるものであることが分かった。主な産油国がある中東地域に対しては、毎年800~900億ドルの赤字だったが、昨年は国際原油価格が大幅に下落して赤字幅が大幅に減り、その反面で主要黒字国の米国と中国に対する経常収支黒字幅は20%前後減少した。
韓国銀行が17日に発表した「2015年地域別国際収支(暫定)」によれば、昨年の経常収支黒字規模は1058億7千万ドルで、2014年(843億7千万ドル)より25.5%増加した。対中東経常収支赤字規模が343億7千万ドルで、1年前(799億4千万ドル)より大幅に減少した影響が大きかった。国際原油価格が昨年はバレル当たり40ドルまで下落し、原油などエネルギー類の輸入額が減少したためだ。
だが、中東以外の地域では赤字幅が拡大したり、黒字幅が縮小したりした。米国や欧州など先進国に対してはサービス収支の赤字が続き、経常収支に悪影響を及ぼした。対米経常収支の黒字(338億5千万ドル)規模は前年(409億9千万ドル)より17.4%減った。対中国経常収支の黒字規模も前年より100億ドル以上(19.5%)減った(560億6千万ドル→451億4千万ドル)。化学工業品、ディスプレイパネルなどの輸出減少で商品収支の黒字規模が減少したうえに、運送などサービス収支の黒字規模も減少した。同様な理由で東南アジアに対する経常収支の黒字規模も縮小した。経済不安により中南米地域向けの家電製品や乗用車の輸出が減少し、対中南米経常収支の黒字規模も小幅に減った。
反面、日本に対する経常収支の赤字規模は196億8千万ドルで、1年前(161億6千万ドル)より21.8%増加した。ヨーロッパ連合(EU)に対する経常収支の赤字幅は石油製品や輸送装備などの輸入減少で小幅に減少した(130億9千万ドル→88億4千万ドル)。韓銀のファン・サンピル国際収支チーム長は「知的財産権使用料などで米国とヨーロッパ連合に対するサービス収支赤字が大幅に増え、昨年発生したMERSの余波で韓国への観光客が減少し旅行収支も打撃を受けた」と説明した。