登録 : 2015.11.26 23:57 修正 : 2015.11.29 00:13

トラム試乗記

架線を設置せず電池で走る軽電鉄
3年前に韓国で初めて開発されたが韓国国内では導入できず
鉄道技術研究院「持続可能な交通手段…至急導入すべき」

電池トラム車両の前面 =韓国鉄道技術研究院提供//ハンギョレ新聞社

 「韓国で開発したトラムなのに、海外が先に導入しました。韓国政府が法・制度を改善して国内でもトラムを実用化して欲しい。制度さえ改善されれば多くの都市がトラムを導入するでしょう」

 26日、忠清北道清州(チョンジュ)市の鉄道技術研究院五松(オソン)試験場で会ったキム・キファン鉄道技術研究院長は、2012年に開発が終わった無架線(電池)トラムが韓国国内の都市では運行できない現実を残念がった。鉄道技術研究院と現代ロテム社が開発した韓国産トラムは、昨年と今年にトルコのイズミールとアンタリアと56編成1200億ウォン(128億円)分が契約された。 しかし肝心の韓国国内には一都市も導入できていない。

 無架線トラムは、架線を設置せずに電池を利用して走る。 国内で開発された電池トラムは5両1編成で一度充電すれば35キロメートルまで走行できる。 これは1両1編成で一度に30キロメートル走る日本の電池トラムや5両1編成で一度に1キロメートル走るフランスの電池トラムよりはるかに優秀だ。 韓国の電池トラムが世界で最も優秀な理由は、韓国が世界最高の電池技術を持ったためだ。

 この日試験場で乗った電池トラムは5両1編成で長さ32メートル、高さ3.4メートル、幅2.45メートルであり、最高時速は70キロメートル、乗車定員は204人だった。乗車感や騒音は地下鉄と同等またはそれ以上に快適で、大きなガラス窓から見える車窓風景はすばらしかった。 ただし、トラムは一種の軽電鉄なので、ソウルの地下鉄(重電鉄)より車両内部は短く狭かった。 クァク・ジェホ鉄道技術研究院無架線トラム研究団チーム長は「商用化する時は高さを3.2メートル程度に下げ幅は2.65メートルに拡げて250人まで乗れる予定」と話した。

 電池トラムは何よりも架線の設置が必要ないという点で画期的だ。 昔のトラムは都心に電柱や電線を設置しなければならず費用と手間がかかり危険だった。 しかし電池トラムは電柱も電線が必要なく線路さえ敷けば良いので様々な面ではるかに便利だ。 特に鉄道技術研究院のトラムは電池でも電線でも走行できる“ハイブリッド”でもある。

 ただし、まだ試験車両であるためか、全体的に無愛想なデザインなのに加え、丈が高く幅は狭いために安定感や空間感が不十分だった。 5両のうち、内部に砂散布器が設置された車両の座席は向い側とかなり近く、足を伸ばせばぶつかるほどだった。 クァク・チーム長は「この車両は試験用トラムで、実際に導入する時は当該都市と新しいデザインを適用するために今よりデザインがはるかに改善されるだろう」と話した。

電池トラム車両内部 =鉄道技術研究院提供//ハンギョレ新聞社

 トラムは地上を走行する一種の軽電鉄だ。 運行速度は地下鉄や高架電車よりやや劣るが、バスのように地上を走行するので、乗り降りが楽で、交通弱者でも簡単に利用できる。決まった線路を走るので事故率も乗用車やバスよりはるかに低く、建設費と運営費は地下鉄の10~20%、高架電車の30~50%程度しかかからない。また、地域を断絶させることもなく都市景観上からも高い評価を受けている。

 トラムは19世紀後半~20世紀前半に広く利用されたが、第2次世界大戦後の自動車の普及により多くが無くなった。 しかし最近になって人に優しく、エコロジーである長所が注目され、ヨーロッパを中心に再び導入が進んでいる。 韓国国内でも水原(スウォン)とソウルの慰礼(ウィレ)、城南板橋(ソンナムパンギョ)、大田(テジョン)などで数年前から導入を推進している。

 しかしトラムは導入議論が始まって10年になるが、まだこれといった成果が上がっていない。 事業費の60%を賄う中央政府の財政支援を受けるには、予備妥当性調査を通過しなければならない。 ところがこの予備妥当性調査の基準が地下鉄や高架電車に合わされているためトラムには非常に不利だ。 例えばトラムには大きな総合司令室は必要ないが、調査基準は地下鉄のように数百億ウォンかかると評価する。 またトラムが地上の1車線を転用することを、現在の調査基準ではマイナス便益として評価する。しかし、これはトラムが地上の車道を使うために地下鉄や高架電車より車両需要代替率がはるかに高いという利点を見逃したものという指摘がある。

 キム・キファン鉄道技術研究院長は「トラムは未来にも持続可能な交通手段であり、商業的にも可能性が大きい。韓国でもトラムの導入を急いで、国民に質の高い大衆交通サービスを提供しなければならない」と話した。

清州/キム・キュウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-26 19:45
http://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/719265.html 訳J.S(2170字)

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