マッコリ産業は2010年前後に前例のない成長を謳歌したが、未だマッコリには否定的なイメージが残っていたりする。 例えば、農酒や労働酒、安酒、腹が張りゲップが出る酒、飲んで吐く酒、頭が痛くなる酒、においがきつい酒、消化できない酒、大学祭や伝統行事だけに飲む酒、こんなイメージがそれだ。2009年以後から坑癌効果や大腸機能の活性化など“健康に良い酒”という肯定的イメージが強まったが、それでもまだ支配的なイメージではない。 専門家たちは「マッコリにもイメージ、ムード、ブランドを新たに作っていかなければならない」と強調する。
“安酒マッコリ”のイメージを克服した代表事例は、2010年に「伝統がトレンドだ」というスローガンを掲げて開店したマッコリ専門レストラン“ウォルヒャン”(ソウル麻浦区西橋洞)がある。 ウォルヒャンは他の飲食店で3000~4000ウォン(約330円~約440円)のマッコリを1本(750~900ml)8000~3万ウォンで出して大きな人気を博した。 もちろん市中のマッコリではなく、ウォルヒャンで自ら醸造したハウスマッコリや地域の高級マッコリだ。ウォルヒャンでは28種類のマッコリ、11種のマッコリ以外の伝統酒をメニューに載せた。
ウォルヒャンはマッコリを“高級酒”として出した。 当初は1本8000~3万ウォンもするマッコリが売れるか疑問だったが、酒飲みたちはそのようなマッコリを喉を渇かして待っていた。ウォルヒャンのハウスマッコリは、かつて各家庭ごと、飲み屋ごとに直接酒を造っていた伝統や、最近のハウスビールや地ビールが人気を得る流れに沿っている。 また、生産地、原料、味、度数、製造法が多様なマッコリを一堂に集めた。 外国のパブやバーに行けば、多様なビールとワインを備えてお客さんに選ばせている。しかし、まだ多くの韓国の飲み屋では、流通企業が供給した数種類の酒だけを提供している。 飲み屋やレストランでマッコリを選んで飲むというのは、韓国ではまだ珍しい。
ウォルヒャンの店舗は現在3カ所に増えた。 姉妹酒場として安価でワインを売る“ムーンシャイン”も4店舗まで増えた。ウォルヒャンのイ・ヨヨン代表は「私たちは良いマッコリだけを売るわけではない。お客さんにウォルヒャンというブランド、ムード、料理など総体的な楽しみを提供している。 映画俳優ジョージ・クルーニーが『最良の日にはサケ(日本清酒)を飲む』と言って話題になったが、マッコリにもそのようなマーケティングが必要だ」と話した。
伝統酒専門店の元祖はクッスン堂の“百歳酒の村”で、現在8号店まで開店し、麹醇(クッスン)堂のもう一つの伝統酒ブランドである“ウリスルサン”も10号店に達する。 麹醇堂は昨年、セルフ伝統酒店である“ミスター ビー”も新しく始めた。 また、ペサンミョン酒家の“ヌリンマウル醸造場&パブ”も3号店まで開店した。