アリたちだけが泣いた。
KOSDAC上場企業CJ E&Mの昨年の株価は10月初めまで常勝疾走していた。 映画<雪国列車>が観客1000万人に肉迫する興行に成功するなど、この会社が出した文化商品が良い反応を得ながら実績展望が明るかったためだ。 この会社を担当した証券会社アナリストは全員目標株価を上方修正して株式の買い入れを投資家に薦めた。
だが、この会社の株価は昨年10月14日に年内最高値(4万2500ウォン)を付けた翌日から急激に下り始め、12月18日には年内最低値(2万8300ウォン)を記録した。 2ヶ月で株価が40%以上暴落したわけだ。 株価を引きずり下ろしたのは、資産運用会社などの機関投資家の売り物量が増えたためだった。 CJ E&Mを巡って市場ではどんなことが起きていたのか。
金融委員会の核心関係者は6日<ハンギョレ>との通話で 「アナリストがCJ E&Mから未公開企業情報を伝達され、これを機関投資家に伝達していた情況を捕捉した。 相当数のアナリストが株式不公正取引の疑いを受けている」と明らかにした。 昨年末すでに20人余りのアナリストを召還調査した金融委資本市場調査団は近い将来、検察告発可否などの決定を下す予定だ。
金融当局と証券業界関係者たちの話を総合すれば、アナリストたちが伝達された未公開情報は、CJ E&Mの第3四半期暫定実績だ。 昨年10月16日にこの情報が伝えられた。CJ E&MのIR担当職員が伝達したこの情報は、この会社の第3四半期営業利益暫定値であった。 営業利益暫定値は証券会社のコンセンサス(平均展望値)145億ウォンに比べて40%以上低かった。 株価に直ちに影響を与える悪材料であった計算だ。 実際、一ヶ月後の11月14日に発表された営業利益確定値は85億ウォンに留まった。
CJ側から核心情報を伝達されたアナリストらは普段から取引している資産運用会社のファンドマネジャーに関連情報を知らせた。 ある証券会社アナリストは「CJ側情報を聞いて皆ファンドマネジャーに電話をかけるのに忙しかった」と打ち明けた。 16日一日だけで機関はCJ E&M株式406億ウォン分(純売り越し)を投げ売りし、株価は9.45%暴落した。
アナリストとCJ側がやりとりした情報は一ヶ月余り市場に公開されなかった。 特にCJ E&Mは暫定実績を公示しなかったために、10月23日に韓国取引所から不誠実公示法人と指定されもした。 結局11月14日に第3四半期確定実績を公示する前まで、一般個人投資家たちはこの情報を知り得なかった計算だ。 この期間にファンドマネジャーは持っていたこの会社の株式を大挙に売って損失を避けた反面、個人投資家たちはなすすべ無く墜落する株価曲線を眺めていなければならなかった。 暫定実績の流出(10月16日)から確定実績公示(11月14日)まで、機関は739億ウォン分を純売りし、個人は778億ウォン分を純買いした。 同じ期間に株価は4万750ウォンから3万800ウォンに24%下落した。
CJ E&Mは実績情報をアナリストに先に伝達した理由について「該当職員のミス」と釈明した。 イ・ヨンギュン広報部長は「IRチーム職員のうち1人が、業務遂行過程でミスをしたと把握している」と話した。CJ側情報をファンドマネジャーなどに流したアナリストたちは‘市場慣行’を前面に出している。 あるアナリストは「事実、企業のIRチームがあらかじめ情報を提供するのは慣例化されている。(当局に)捕捉されるのはここばかりでなくそうなる余地は多い。ただし今回は情報の内容が非常にディテールだったために、公示していなければならなかったのではとは思う」と話した。
CJ E&Mの第3四半期暫定実績が大幅に悪化した事実を知った後にも、多くのアナリストたちは一般投資家に提供される企業分析報告書にこの事実を盛り込むどころか、既に提示した目標株価も下げずに買い(buy)意見を維持した。 目標株価の下方調整は確定実績が発表された以後になされた。 機関投資家には事実上株式を売るべきだという情報をリアルタイムで伝達しておきながら、一般の人たちが投資の参考とする企業報告書には継続して株式を買えと勧めていたわけだ。
金融委関係者は「未公開情報の利用は1次流布者(CJ E&M)と1次受給者(アナリスト)だけを処罰する」と話した。 アナリストから情報をあらかじめ伝達され損失を回避した資産運用会社などは処罰されない可能性が大きい。 パク・ジョンフン金融委資本市場調査団長は「まだ調査が終わっていない」として詳しい言及を避けた。
キム・ギョンナク、チョ・ギウォン、ユ・シンジェ記者 sp96@hani.co.kr
CJ E&Mとは?
CJグループのメディア系列会社が2011年に合併して生まれた会社。 映画・放送・音楽・公演作品の製作と流通をしながら、ゲーム商品も作り出している。 映画配給市場の観客占有率で筆頭業者であり、KOSDAC市場時価総額で9位(6日現在、1兆2975億ウォン)に上がっている。 2012年基準で売上1兆3945億ウォン、営業利益は389億ウォンを収めた。