財務構造の悪化で構造調整をしている東洋グループが、2011~2012年に登記役員(社外重役を除く)の年俸を3倍近く引き上げていことが明らかになった。 登記役員にはヒョン・ジェヒョン会長とヒョン会長の夫人であるイ・ヘギョン副会長など社主一家が含まれている。
22日<ハンギョレ>が東洋グループの持ち株会社格である(株)東洋の最近5年間の事業報告書を分析した結果、(株)東洋は2012年ヒョン会長ら登記役員10人に総額56億7000万ウォンの年俸を支給した。 1人当り平均5億6700万ウォンが支給されたわけだ。 反面、2010年には9人の登記役員に平均1億9300万ウォンを与えていた。 わずか2年で平均年俸が2.9倍に増えたわけだ。
昨年支給された登記役員の年俸水準は資本蚕食でメインバンクである産業銀行と‘財務構造改善約定’を結ぶ前の2008年5億9600万ウォンと同等水準だ。
一般的に企業が主債務系列に指定され財務構造改善約定を結ぶことになれば、債権団は経営陣の報酬引き下げから先に要求する。 経営難に対する責任を問うためだ。 2010年東洋経営陣の年俸が低くなったのも債権団の要求に従ったものと見られる。
その後、2011年東洋グループは主債務系列指定から抜け出す。 財務構造が改善されたためではない。 銀行借入金を会社債と企業手形(CP)等を発行して調達した資金で返す便法により主債務系列指定を回避しただけだ。 東洋グループは制度の弱点を利用して債権団の統制から抜け出すやいなや経営陣の報酬から引き上げたのだ。
(株)東洋は2008年以後、2012年まで5年連続で当期純損失を記録した。 2011年主債務系列指定から抜け出した以後にも財務構造は改善されていない。 昨年末に発表した大規模事業再編および構造調整計画も現在支障をきたしている。
金融監督院関係者は「総帥などグループ経営陣が財務構造が悪化しつつ付けている状況で年俸を引き上げることは典型的な‘モラルハザード’と言える。 自律経営という名分で債権団との財務構造改善約定を回避する企業らの中には、実際には経営陣の実利を真っ先に考えるケースがある」と指摘した。
キム・ギョンナク記者 sp96@hani.co.kr