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ISDが韓国企業を保護? カナダ弁護士‘いやいや’

原文入力:2012/03/15 21:59(2196字)

仲裁人に "ISD無力化" 圧力まで…敗訴しない国 米国
ナフタ訴えられた20件中 敗訴‘0’… "米国法・判例をそのまま反映"







"米国に投資した韓国企業を保護するために投資家-国家訴訟制(ISD)は必要だ。" (外交通商部資料集、‘ISD,公正なグローバル スタンダード’より)

 わが国政府は韓-米自由貿易協定(FTA)の投資家-国家訴訟制を廃棄できない理由をこのように説明している。 だが、1994年北米自由貿易協定(NAFTA・ナフタ)以後に米国政府を相手に19件の国際仲裁を提起したカナダの法律家は首を左右に振った。コス バン ハートゥン カナダ ヨーク大教授(オスグッ(Osgood) ホール ロースクール)は「カナダ企業は法律・仲裁費用として数百万ドルを支払ったが一度も勝つことができなかった」と話した。 前職カナダ外交官であるジョン・ジョンソン弁護士も「米国は勝訴すると信じているので絶対に合意しない」と説明した。

 実際、米国政府は投資家-国家訴訟制分野で世界最高の‘優等生’だ。 北米自由貿易協定締結以後、カナダ企業(19件)とメキシコ企業(2件)により21回訴えられたが敗訴したことも、合意したこともない。国際投資紛争解決センター(ICSID)で進行された国際仲裁事件を分析してみれば、合意したり取り下げるケースが平均10件中4件で、国家の敗訴率(46%)が勝訴率(31%)より高いにも関わらずだ。 反対にカナダやメキシコ政府は何回も合意して何回も敗訴した。

←イ・ガンシル韓国進歩連帯常任代表(左から5人目)が15日午前、ソウル、光化門(クァンファムン)広場で開かれた韓-米自由貿易協定阻止汎国民運動本部記者会見で‘今日、韓-米自由貿易協定は発効されたが、迫り来る総選挙と大統領選挙で進歩的な政権に交替し韓-米自由貿易協定を廃棄する’という覚悟を明らかにしている。 イ・ジョンア記者 leej@hani.co.kr


なぜ米国政府だけが敗訴しないのだろうか?

 ハートゥン教授は 「米国政府が投資家-国家訴訟制をなくせる力を保有しているから」と分析した。彼は「米国が敗訴するならば米国議会が‘私的仲裁人が米国の公共政策と判決を踏みにじれるのか’として騒乱を起こすだろうし、そうするとこの制度が危険に直面しかねないということを仲裁人が知っている」と話した。ほとんどが多国籍企業の弁護士として活動している仲裁人は数兆ウォンの法律市場が消えることを願わないので‘自己検閲’をするという話だ。

 実際、1998年10月カナダの葬儀業者が提起したロアン事件の仲裁人を引き受けた米国の前職判事エブノ ミックバーは米国政府の圧力を受けたと告白したことがある。 米国法務部高位官僚が訪ねてきて「米国がロアン事件で敗訴すればナフタを維持できないこともありうる」と警告したということだ。 仲裁人は米国の判決が明確に不当だと認めながらも、手続き的問題を挙げてカナダ企業の請求を棄却してしまった。 デービッド シュナイダーマン カナダ、トロント ロースクール教授は「仲裁人が戦略的に行動した」と分析した。

←韓-米自由貿易協定(FTA)民間対策委員会代表らと米国側代表が15日午前、ソウル、三成洞(サムソンドン)のグランドインターコンチネンタルホテルで開かれた韓-米自由貿易協定発効記念昼食会で一緒に乾杯している。 左からキム・ジョンフン前外交通商部通商交渉本部長、マーク トコルラ大使代理、ハン・ドクス貿易協会会長、パク・テホ外交通商部通商交渉本部長、ファット ケインス駐韓米国商工会議所会長。  パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr

 米国の憲法と判例を土台に作られた投資協定が準拠法だという点も米国政府に有利に作用する。 米国貿易代表部(USTR)が昨年10月議会に提出した‘韓-米自由貿易協定が米国に及ぼす影響’という報告書を見れば「投資分野は米国の法原則と判例をそのまま反映した」と明示されている。 韓国憲法が投資家-国家訴訟で全く影響を及ぼすことができないのとは対照的だ。 シュナイダーマン教授は「韓国が国際仲裁に備えるには一番最初に米国憲法を勉強しなければならないだろう」と話した。

 米国政府は敗訴しないだけでなく、米国企業の強固な援軍の役割も引き受ける。 内部告発サイト ウィキリークスが暴露した2010年1月28日付アルゼンチン駐在米国大使館報告書を見れば、水道施設を公営化したという理由で米国企業アジュリに賠償金を支払わなければならない境遇に置かれたアルゼンチン経済長官に米国大使が直接会って賠償金交渉に応じろと圧迫したことになっている。 また、米国大使館はアルゼンチン政府内の動向を把握して米国企業に知らせもした。

 ジョンソン弁護士は「特定国家が敗訴しない国際仲裁制度なら、公平で公正だという評価は受けにくいだろう」と指摘した。

トロント/チョン・ウンジュ記者 ejung@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/523748.html 訳J.S