原文入力:2012/02/15 23:26(2271字)
[0.1%財閥の国] ④ 韓国版スティーブ・ジョブスはなぜ出てこないのか
‘財閥捕食者’、企業生態系を蹂躪…ベンチャー精神 立つ瀬がない
大学街 ベンチャーサークルも既に "大企業就職スペック用"
創業で売上1兆以上に成長した会社は30年間で2社のみ
技術略奪・系列会社への仕事口集中配当などで中小企業‘枯死’
1980~90年代、ベンチャーサークル ブームが大学街を席巻した。すべての社会にベンチャー旋風が吹いた時だ。 今でも大学街ではベンチャーサークルが活発に活動中だ。 しかし雰囲気は完全に違う。 90年代のキーワードを‘意気揚々’とするならば、最近は‘生存本能’だ。 「ベンチャーサークルは主にアプリケーション開発をするところが多い。本当に創業しようとするケースは殆どありません。 大企業就職用‘スペック’積みのためにベンチャーサークルが役立ちますからね。」ソウル大社会科学対に通うキム・某(25)氏は 「ベンチャーサークルで大企業や政府側支援事業対象に選ばれれば、就職の時に役に立つ」として「滅びやすい創業よりは安定した大企業就職がこの頃の大学生の一番大きな関心事」と話した。
青年ベンチャー精神が消えたことにはさまざまな要因があるが、財閥の略奪的形態が最も重要な原因に挙げられる。最近、財閥パン屋論難が起きた時、英国<ファイナンシャル タイムズ>は「パンが決定的問題なのではなく、重要なことは韓国の財閥が日本やドイツ スタイルの小規模専門技術業者の養成を阻んでいるという点」とし「韓国の企業家が革新力量を持ち始めれば、財閥は該当業者を吸収し資産と人材を奪う」と批判した。正鵠を衝いた指摘だ。
全てを飲み込む恐竜財閥グループのためにベンチャー創業熱気は急速に冷めている。 韓国取引所・ベンチャー企業協会などの資料を見れば、昨年の年間ベンチャー企業数は2万6148社で史上最大だったが、昨年5月に283社が減ったのを始め、6月には400社、9月126社、12月228社など5月以後だけで848社が減った。
現在、国内の企業生態系は0.1%の大企業と残りの零細な小企業で構成された‘尖塔型’だ。 実際、去る30年間に創業を通じて成長した会社の中で、売上1兆ウォンを越えたところは熊津(ウンジン)とNHNしかない。売上1000億ウォン以上のベンチャー企業も315社に過ぎない。 新たに創業する企業は多いが、ほとんどが中小企業まで成長して停滞したり、再び淘汰されるケースが大部分という話だ。
企業の創業、成長、発展の経路が詰まった主要な理由は、納品業者取り纏め、ベンチャー企業の技術・人材略奪、タコ足式事業拡張、系列会社への仕事口集中割当など、財閥の横暴のためだ。 国内で企業家精神を破壊する当事者は財閥だということだ。 ある中小企業役員は「口では相生と共生を言うが、実際に(企業)生態系を破壊している張本人は財閥」とし「財閥総師がまともに企業家精神を備えていないうえに、財閥中心の生態系になった結果、若い事業家も挑戦的な企業家精神を持てなくなっている」と話した。
財閥中心の企業生態系は最近になってより一層強固になっている。 財閥グループの新生系列会社が仕事の集中割当などグループの後押しに力づけられ数年で大企業に急速成長するためだ。創造力の優れた中小企業が大企業に成長する空間がない。実際、現代車グループの物流企業である現代グロービスは2001年に設立され10年後の昨年の売上は8兆ウォンを越えた。 市場専門家たちは2013年には売上10兆ウォンを越えると展望する。 この他にも三星グループのソウル通信技術、LGグループのサーブワンなどの系列会社もグループの支援を受けて急成長した。
米国の産業界を調べれば国内の企業生態系がどれほど浅薄なものであるかを知ることが出来る。 マイクロソフト(MS)やアップルが代表的事例だ。1975年ビル・ゲイツがほとんど身一つで創業したマイクロソフトは、2000年を前後したベンチャー熱風の中で世界最大の企業に成長した。 それにとどまらない。マイクロソフトと関連して全世界の企業が2010年に創り出した収益は何と5800億ドルに達する。マイクロソフトが1ドルを稼ぐ時、マイクロソフト生態系に属した企業らは8.7ドルの収益をあげた。
財閥中心の韓国的企業生態系が中小企業の成長を遮っているというのは、かなり以前から指摘されてきた問題だ。 問題はこのような状況がさらに悪化しているという点だ。このような状況では企業家精神も蘇れないということが中小企業人の終始一貫した主張だ。アン・チョルス ソウル大融合科学技術大学院長は「(財閥企業らは)自分たちだけが納品するように縛ってしまう。 (…)三星動物園に閉じ込められているため(市場が)小さくなる」と話した。ここに韓国版スティーブ・ジョブスが出てこれない理由は明確になる。キム・セジョン中小企業研究院研究委員は「健全で競争力のある中小企業が多数出てこそ(自身にも)役立つという発想の転換が大企業に必要な時点」と語った。
キム・ジンチョル記者 nowhere@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/519278.html 訳J.S