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‘ターミネーター’現実を侵攻する

原文入力:2011/06/17 20:07(2491字)

米、無人車両・航空機など数万台
マウスで行う戦争 現実化
米 情報委 "2025年 自律ロボット"

米国本土、司令部の間仕切りされた部屋に座った20代の兵士が無人爆撃機を遠隔操縦しイラクの村を焦土化させた後、車で退勤し恋人と楽しい夜を過ごす。
人間の代わりに戦闘を行う無人兵器が原子爆弾の出現以来、最も劇的に戦争の性格を変えている。代表的な無人兵器は無人航空機と無人地上車両だ。

ハイテク戦争-ロボット革命と21世紀戦闘。ピーター W. シンガー著、クォン・ヨングン訳/チイン・2万4500ウォン

無人航空機は無線で制御される遠隔操縦航空機だ。米国のプレデターが猛威を振るっている。2001年10月、米国がアフガニスタンを攻撃する際にプレデターにミサイルを装着しタリバン軍を爆撃したことにより無人攻撃機時代が開かれた。一方、無人地上車両は兵士の代わりに偵察、警戒、爆発物探知および除去任務だけでなく射撃も行うロボット自動車だ。米国国防部はロボット自動車開発を促すため莫大な懸賞金をかけて‘偉大な挑戦’という大会を3度開いた。2007年11月、3回目の大会は無人自動車が都市をまねて作った96km区間を6時間以内に完走しなければならなかった。車両は建物と街路樹を避けながら交通信号に従い走行し、しばしの間、駐車場にも入らなければならなかった。6台が完走に成功した。人の助けを受けずにロボット自動車が人が運転する時と同じように都市を縫って走る驚くべき場面を演出したのだ。

米国シンクタンクのブルッキングス研究所研究員ピーター W. シンガーは<ハイテク戦争>で米国が無人地上車両1万2000台、無人航空機7000機を保有しており、近い将来には数万台規模に増加すると強調した。ハーバード大博士であるシンガーは国際政治および軍事戦略専門家として注目されている新鋭学者だ。2003年には民間企業が傭兵を雇用し賃貸ししている実状を暴いた<企業軍人>を、2006年には世界的に30万人余りの子供が4ヶの戦争中3ヶで戦争に参加させられた悲劇を告発した<戦争の子供たち>を出した問題作家だ。2009年1月に出版されたこの本で、シンガーは軍事用ロボットの発展方向を3つにわけて分析した。

最初に、戦闘ロボットの形と大きさが多様化する。 車輪で進むものから四つ足で歩くものまで、多様な形態のロボットが戦場を縫うことになる。7.5㎝に過ぎないハチドリ ロボットからサッカー場ほどの長さのレーダーが設置された飛行船まで、多様な大きさのロボットが空で活躍する。

二番目、戦場でのロボットの役割がより一層拡大する。最前方鉄条網の警戒に立ったり地雷を探知し除去する任務を遂行することに留まらず、戦闘状況にも投入される。2007年にリリースされた‘マス’は160㎏の機関銃を装備し手榴弾発射が可能なロボット タンクだ。戦闘中に負傷した兵士を安全な場所に移し世話することのできる看護ロボットも活躍が期待される。

三番目、戦闘ロボットの知能が飛躍的に向上する。プレデターの場合、遠隔操縦航空機として開発されたが、コンピュータ技術の発達に力づけられ自ら離着陸できるだけでなく目標物12ヶを同時に追跡する能力を持つまでになった。特に目標物が飛んできた出発点まで追跡可能と知らされた。戦闘ロボットが自律的に判断し行動する知能を保有する日が目前に差しせまっているわけだ。

2008年に米国国家情報委員会が出した<2025年世界的趨勢>によれば2014年には無人地上車両が人と共に戦闘することになり、2020年には手を使わず考えただけで操縦される無人車両が軍事作戦に投入され、2025年になると完全自律ロボットが戦場を行き交うことになる。この報告書はバラク・オバマ米国大統領が就任直後に一読しなければならない文書目録に含まれていたことが分かった。

人間同士だけで戦争した時代が終わり、無人兵器の比重が増大することにより新しい軍事教理の必要性が提起される。特にロボットが非正規戦や反乱鎮圧で核心役割をすることになるので新たな軍事戦略が要求されそうだ。シンガーはロボット戦争の主要教理概念として‘集団知能’を提示する。集団知能は蟻や蜜蜂などの昆虫集団から創発される社会的行動を意味する。ロボットの群れが蟻の群れのようにとても簡単な規則によりとても複雑な任務を遂行することができると期待されるので、集団知能は無人戦争を熟考する軍事戦略家らに誘惑的な教理概念として受け入れられている。
シンガーは戦争に対して‘全地球的気候変化と同じような変化が進行している’事例として、戦闘場所が野原から室内空間に変わる状況を挙げた。例えば‘戦争に出て行く’という意味が、遠い国の塹壕の中に隠れることを意味しなくなったのだ。その代わりに「毎日、車で出勤しコンピュータ画面の前に座りマウスでクリックすること」になった。戦争までがネットカフェで行う‘間仕切りされた部屋の戦士’たちが国家の運命を左右する世の中が近づくわけだ。ビデオゲームを熱心にすれば後日には無人兵器操縦法を習うことに役に立つというのだから、これほどのアイロニーもない。

本は戦場がロボット化される現実がどこまで進行しているのか、そしてどんな様相でより一層ロボット化されていくのかについて忠実で几帳面な内容で背筋が寒くなるような現実を明らかにしている。米国は武器供給者の席で戦争ロボット量産を先導しており、他の国々もそれに対抗するために戦闘ロボット開発に拍車を加えている。すでに現実に迫ったロボット戦争に対するこの報告からは、未だ休戦状態であり、強大国に囲まれた我が国にとってはとりわけ多くの悩みを投じる。 イ・インシク/知識融合研究所長・KAIST兼職教授

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/483331.html 訳J.S