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貧困、病、年齢、性別、家父長制…韓国の若年女性を抑圧する5点セット【レビュー】

登録:2026-07-18 02:27 修正:2026-07-18 09:42
労働健康連帯の活動家兼作家のチョン・スギョン 
働く若年女性20人の声を届ける 
始華工業団地の工場労働者の本も出版
特性化高校の実習生の労災による死を描いた映画「次のソヒ」のワンシーン=ツインプラスパートナーズ提供//ハンギョレ新聞社

 2027年の最低賃金が時給1万700ウォン(約1170円)に決定した。労働界は1万1450ウォンを提示したものの、期待には届かなかった。全国の女性労働団体は15日、一斉に声明を発表し、「低賃金労働に集中している女性労働者は深い怒りと裏切りを感じる」と述べた。女性労働者の中でも最底辺にいる10代から20代の若年女性は、物価高騰と二極化の中で状況改善の兆しが見えない。

 若年女性労働者の名は様々だ。アルバイト、学生、いちばん年下、インターン、期間労働者、あの子、この子、おい、○○女。働く場所も多彩だ。物流センター、パン屋、保育園、放送局、美容室、ネイルサロン、コールセンター、映像制作会社、コンビニやカフェ、学校などだ。作家であり労働健康連帯の活動家でもあるチョン・スギョンは、20世紀よりもはるかに細分化している「21世紀の女工」を探ね歩いた。昔の女工が「タイミング」という覚醒剤を飲みながら眠らずに縫製工場でミシンがけをしていたとすれば、今の若い女性たちは高カフェインのエナジードリンクを飲んで夜間アルバイトをしている。

 若い女性たちが失業手当でブランドもののバッグを買うと「シロップ(失業に発音が似ている)手当をもらって蜜をなめてる」と非難されるが、大半の女性にとって失業手当など夢のまた夢だ。労働者階級の娘たちは、家事労働やケア労働を担わされることが多い。複数の家族を同時に世話しながら焼肉屋の接客、レストランの皿洗い、物流センターの夜間日雇い労働など、手あたり次第に肉体労働をこなす。チョン・スギョンが出会った多くの若い女性たちは、学歴資本を取得するためにアルバイトをかけもちしていた。眠る時間を削って肉体労働を主にしているため、若くして重い病気にかかってしまっていた。貧困、病、家父長制は3点セットで襲いかかってくる。さらに年齢による序列と性差別が加わる。物理的、心理的な孤立が積み重なり、体と心が壊れてしまっていた。

韓国女性労働者会と全国女性労働組合が今年5月26日、ソウルの世宗文化会館前の階段で「第10回女性非正規労働者賃金差別打破週間」を告げる記者会見をおこなっている=ソン・ジミン記者//ハンギョレ新聞社

 労働市場は端から暴力的で無礼だった。学校は「(女性には)技術は必要な」く、「見た目が重要だ」と言う。金融機関は女性の高卒新入社員の採用を手柄であるかのように喧伝(けんでん)し、教師は企業の女性差別を学校にそのまま移植する。若い女性を慰労し励ましてくれる大人はいない。コールセンターに就職した若い女性は「もう行くところがないから、ここに来たんじゃないんですか」と言われる。

 多くの若い女性たちは主に5人未満の事業所の労働者、零細自営業者、契約社員、特殊雇用労働者、期間雇用、日雇い労働者として働いている。著者が出会った若年女性の大多数は低賃金だった。正社員はあまりいない。お金がなくなって水ばかり飲んでいるうちに「漢江(ハンガン)の橋の上に立っていた」と言った人もいる。職場では「いちばんの年下」は身分であり、「若い女性」は最下層の階級だ。貧しくて力もコネもない身分なのに、職場では母親役を果たさなければならなかった。

 女性は男性を補佐すべきだと考える家父長文化が空気のようにまん延していた。食事のたびに、上司の弁当のラップを「全部きれいに剥がす」役割をし、年配の期間雇用社員に仕事を押し付けられたりした。公式な労働関係だったが、「若い」と軽視され、「長い付き合いなので軽く考えていた」と言われて地位の高い男性からセクハラ被害を受けた。会社は加害男性を密かに昇進させた。

『誰も私を知らなかったけど』チョン・スギョン著、アルル刊、1万7000ウォン//ハンギョレ新聞社

 不当なのに声を上げることはできなかった。手作業に疲れて入力プログラムを購入してくれと頼んだら、上司に「そのプログラムよりも君の給料の方が安いから君を使ってるんだ」と言われた。移住女性労働者は手が潰れ、「ビニールハウス」「暑かった」「眠れなかった」「食事もできなかった」のような簡単な言葉で、韓国の職場で過ごした10年の青春を説明した。若い女性たちは性差別を口にすると仲間外れにされ、労働災害にあっても法的に認められなかった。口を開けば素直ではないと言われて公然と侮辱された。「あいつ、鼻っ柱をへし折ってやんなくちゃいけねぇな」

 「若い女性」の労働を認めてこなかったため、便法や搾取が横行していた。公共機関であるにもかかわらず、退職金を支払わないで済むようにするために契約期間は1年に一日足りない364日にする。女性が退職する際には失業手当を受け取れないようにしたかと思えば、男性社員が退職する際には失業手当を受け取れるように会社が解雇として処理する。気にしすぎだというレッテル、隠蔽やいじめ、侮辱もまた、抵抗を粉砕し口を塞ぐための企業の経営手法だった。「差別は誰が声を所有しているのか、誰の声を奪いうるのかを正確に把握したうえで、最も弱い人へと向かった」

 20人の若い女性労働者の経験談を、作家のチョン・スギョンは『誰も私を知らなかったけど』という本にまとめた。著者は「職場内における暴力性は、韓国社会の文化的要素と企業の本質が出会うことで生じる構造的な問題」だと語る。1970年代に実兄の学費を稼いでいた縫製工場の労働者と、今日の何千回も手首を曲げてアイスクリームをすくわなければならないアイスクリームカフェの女性労働者が、重なって見えた。そう著者は語る。

 21世紀の女工たちは、さらに非難と自己嫌悪がついて回る。メンタル管理ができないからだ、心のケアができないからだ、弱いからだと非難され、自責の念に駆られる。若い女性たちは今の仕事のスキルを上げるために「自己啓発」するのではなく、ただ生き残るために「自己開発」している。職場内のセクハラだけでなく、大変なのにろくに稼げない女性の労働、階級的な問題にももっと関心を持つべきだと本書は言う。

『始華、ついに輝く』コン・ゲジン著、交遊ソガ刊、1万8800ウォン//ハンギョレ新聞社

 食物連鎖の最底辺の労働者たちを描いた『始華、ついに輝く』も同時期に出版された。本書は、始華(シファ)工業団地の小さな工場の労働者の権利を取り戻す闘いの歴史の中で「生ける伝説」と呼ばれる始華労働政策研究所のコン・ゲジン理事長によるもの。25年の間に始華工業団地で出会った小さな工場の労働者たちや活動家のエピソードを収めた本書からも、今日の女性労働者の状況を数々見出せる。女性労働者はすぐさま「代替」が可能であり、「このような構造の中で賃金を上げる必要はない」と考える工場側の主張などだ。

 著者は25年間にわたり、「出ていくべきか、耐えるべきか」苦悩する労働者たちの相談に乗り、組織してきた。労働者として静かに働いてばかりいて、やがて出ていく必要も、働きながら耐えてばかりいる理由もないと著者は語る。小雨が降っただけでも孤立する島のように、底辺の労働者たちはたやすく関係が断絶してしまう。しかし、共に方法を探そうと、あなたのせいではないから声を上げようと言って手を差し伸べる。「弱い人にとって語ることはすなわち力」(チョン・スギョン)だからだ。

イ・ユジン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1268683.html韓国語原文入力:2026-07-17 05:02
訳D.K

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