10月30日、ソウル中央地裁民事合議41部(チョン・フェイル部長判事)は、ガールズグループNewJeansの所属事務所ADOR(アドア)が提起した専属契約有効確認訴訟の一審で、「原告(ADOR)と被告ら(NewJeans)の間で2022年に締結された専属契約は有効であることを確認する」との内容の判決を下した。過去2回の仮処分決定に続き、裁判所が事実上、ADORに軍配を上げた。これにより、ADORとNewJeansが結んだ専属契約は2029年まで続くことになった。これに対してNewJeans側はただちに控訴の意向を表明した。
裁判所はこれに先立ち、「本案一審判決まで、ADORの同意なしの単独活動を禁止する」とする仮処分決定を下しており、これを違反する場合、「行為1回あたり10億ウォン(約1億1000万円)」の間接強制を課していた。この日の判決に先立つ2回の調停の試みも不発に終わり、事実上後戻りできない道に進んだという見方が多かった。
今回の判決により、NewJeansの今後の活動は大きく萎縮することは明らかだ。NewJeansはこの日、「信任関係が完全に破綻した」としてADOR復帰を拒否し、控訴の意向を表明した。ADORに復帰して活動する意思がないことを改めて確認したわけだ。最終的に活動中断は長期化するものとみられる。
音楽業界では一般的に、アイドルグループの寿命は7年前後とみられている。それだけに活動中断は致命的だ。企画会社がグループの活動を意図的に中断させる「収納」という表現が出てくる理由もこれにある。地道な活動がアイドルの生命力に直結するためだ。さらに、前回の仮処分決定と今回の一審判決のいずれでもNewJeans側が敗訴しており、強引に契約解約を要求したという否定的な世論も広がっている。
ならば、HYBE(ハイブ)とADORは今回の判決で利益を得たのだろうか。そうではない。NewJeansの空白はすでに数値として表れている。2022年7月のNewJeansのデビュー以降、ADORは2023年に1103億ウォン(約120億円)、2024年に1111億ウォン(約120億円)の売り上げを計上した。しかし、NewJeansの活動中断以降、ADORの売上は急減した。今年上半期のADORの売上は173億ウォン(約19億円)で、昨年同期(614億ウォン、約66億円)に比べ約72%減少した。
このような結果はADORが提起した活動禁止仮処分の影響である点で、会社側も決して勝利したとは言えない。音楽業界の一部から、「むしろ、NewJeansの価値が高い時点で適正な金額を受け取り売却する『バイアウト』を推進するほうが実利的だ」という声が出ている理由だ。
この日の判決後、ADORは「正規アルバム発売などの活動のための準備を整え、待っている」として、「アーティストとの議論を通じて、ファンの皆様のもとに戻れるよう、最善の努力をつくす」とする立場を表明したが、メンバーが復帰を拒否している状況で歌とパフォーマンスを継続することは現実的には不可能だ。
損害は財務的な数値だけでない。NewJeansはHYBEを象徴するグループであり、グローバルブランドとの協業を通じて、デビューからわずか2年で「K-POPの顔」の地位に就いた。しかし、訴訟が長期化したことで、HYBEのイメージとブランド価値も大きな打撃を受けた。別件の事件だが、一連の過程で「アイドル品評文書」の公開やパン・シヒョク議長の詐欺的不正取引疑惑の捜査まで浮上したことで、ファンの不信を招き、企業の信頼度にも大きな傷跡を残した。
文化評論家のキム・ホンシク氏は「今回の判決で、HYBEは法的には勝ったかもしれないが、その過程でブランド価値と信頼はすでに大きく傷ついた」として、「今回の戦いは誰の勝利にもならない可能性が高まった。長期的な観点では、最終的にはK-POP全体のイメージが損なわれかねない状況にある」と指摘した。