先制ゴールを決めたキム・ミンジェも、突破力を備えたファン・ヒチャンも、この日の主人公ではなかった。観客はイ・ガンインの存在に喜び、彼の動きに熱狂した。ソン・フンミンに次ぐ次世代韓国サッカーのスターがピッチで輝いた。
ユルゲン・クリンスマン監督率いるサッカー男子韓国代表チームが17日、京畿道水原(スウォン)のワールドカップ競技場で行われたベトナムとの強化試合で、キム・ミンジェ(バイエルン・ミュンヘン)とファン・ヒチャン(ウルバーハンプトン)、ソン・フンミン(トッテナム)、イ・ガンイン(パリ・サンジェルマン)、チョン・ウヨン(シュトゥットガルト)らのゴールで、6対0で勝利した。
クリンスマン監督は韓国の司令塔就任以来、初めて3連勝をあげ、これまでの戦績を3勝2敗3分けに変えた。
同日の試合は、国際サッカー連盟(FIFA)の順位からも分かるように、韓国(26位)がベトナム(96位)を圧倒すると予想された。試合の関心も勝敗よりはワールドカップ・アジア地域予選で対抗するアジアチームとの対戦経験に焦点があてられた。
もちろんクリンスマン監督は相手を侮らず、選手たちに序盤から強いプレッシャーをかけるよう求めるなど、相手を激しく追い詰めた。
13日、チュニジア戦に欠場したソン・フンミンがチョ・ギュソンと共に攻撃の最前線に出て、ファン・ヒチャンとイ・ジェソン(マインツ)、イ・ガンイン、パク・ヨンウ(アル・アイン)が中盤で攻撃を調整した。守備ではキム・ミンジェのほか、チョン・スンヒョン、ソル・ヨンウ(以上蔚山)、イ・ギジェ(水原)が担当し、ゴールポストはチョ・ヒョヌ(蔚山)が守った。
韓国は試合開始5分で、キム・ミンジェがイ・ガンインのコーナーキックをヘディングで先制ゴールにつなげ、早い時間に機先を制した。その後、ファン・ヒチャン、イ・ガンイン、ソン・フンミンのシュートで攻勢を強めた。前半26分にはイ・ジェソンの絶妙なスルーパスを受けたファン・ヒチャンの追加ゴールで、韓国は動力を引き上げ、前半を通して圧倒的な優勢を占めた。
守備地域でパスが遮断され、ベトナムの選手たちに2~3回GKとの一対一の状況を許したが、相手のミスとチョ・ヒョヌの好守備で危機は現実化しなかった。
後半に入ってからも相手のオウンゴール(5分)、ソン・フンミンの追加得点(後半15分)、イ・ガンインのダメ押しのゴール(25分)で大量得点の祝砲を上げた。
特に、イ・ガンインは異次元のドリブルと視野で、今回の国際Aマッチ期間中の2度の強化試合で、代表チームの確固たる中核として浮上した。
4万2千万人あまりの観客はイ・ガンインの一挙手一投足に熱狂し、華麗な動きに酔い痴れた。イ・ガンインがボールをキープしながら、相手をかわすためにフェイントを入れる度に「わあ」という歓声があがった。イ・ガンインを応援するプラカードにはサッカーの神様を意味する「蹴神」という文字も登場した。
この日、キム・ミンジェの先制ゴールにつながったアシストをはじめ、ゴールポストを当てるシュート、鋭いフリーキック、守備への加担まで満点の活躍を見せたイ・ガンインは、結局後半ゴールまで決め、同日の試合を自分の舞台にした。ゴールエリアの中央でソン・フンミンのパスを受け、左足を軽く動かして道を開いた後、隅に向かって蹴り入れたボールは美しい軌跡を描いてネットを揺らした。
イ・ガンインは終盤に決めたチョン・ウヨンのゴールにつながったパスの出発点になるなど、同日の韓国得点シーンのあらゆるところで大活躍した。DFのキム・ミンジェは同日、最優秀選手に選ばれた。
一方、サッカー男子ベトナム代表チームの前監督であるパク・ハンソ氏は、同日の試合前の行事で、自分の教え子たちを激励した。