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同僚の食事を盗み食いして「黙秘権」?市民が弁護に乗りだした「ベテラン警察犬」

登録:2023-04-26 05:13 修正:2023-04-27 06:58
[アニマルピープル] 
米国ワイアンドット警察署が公開した「容疑者の写真」 
サンドイッチを盗んだ警察犬に下された処分は?
明るく笑っているサンドイッチ窃盗犯の「マグショット(容疑者の写真)」=ワイアンドット警察署(Wyandotte Police Department)のフェイスブックよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 これほど可愛い窃盗犯は他にいない。同僚の昼食を盗んだが、市民の積極的な弁護によって、今でも地域社会の愛情を受けている、ある「犯罪者」の話だ。

 1月中旬、米国ミシガン州にあるワイアンドット警察署はフェイスブックで、警察署内部で窃盗事件が起き、しかも、容疑者は一緒に働く同僚の警察官だという事実を公開した。警察署は「盗みは犯罪であるだけでなく、道徳的にも誤った行動です。警察官はこの仕事に就く前に宣誓もします。にもかかわらず、ワイアンドットの現職警察官が窃盗容疑で調査を受けているというニュースをお伝えすることになり、非常に残念です」と伝えた。

 警察署が公開したマグショット(容疑者の写真)の主人公は、他でもない警察犬として勤務中の「アイス」(Ice)だった。アイスは今年11才になるジャーマンシェパード犬で、ワイアンドット警察署に10年以上も勤めている「古株の警察官」だ。

 事件は、ある警官が休憩室で、昼食にサンドイッチを置いて食べていたところ、緊急の業務要請を受け、テーブルの上にサンドイッチを置いたまま席を離れたことで起きた。その警官がしばらくしてから休憩室に戻ると、昼食は跡形もなく消えてしまっていた。その時、警察犬のアイスが口元をなめながら悠々と部屋から出ていく姿が捉えられた。

「アイス」の窃盗事件が伝えられた後、地域住民たちはアイスに直接作ったサンドイッチと昼食をプレゼントした=ワイアンドット警察署(Wyandotte Police Department)のフェイスブックよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 警察署は「アイス警官は、憲法修正第5条に明記された黙秘権を行使し、捜査に協力していません。実際、彼は以前にも、手が届くごみ箱を探った前歴や、通りすがりの同僚の手から食べ物を盗み食いしたという告発が何回もありました」として事件調査にフェイスブックのフォロワーの意見を参考にするとした。

 すると、ワイアンドットの市民たちは、アイスを積極的に擁護し始めた。ある市民は「情況証拠のようにみえる。有罪とは思えないので、推定無罪の原則を守らなければならない」と書いた。また、別の市民は「必要であれば、私がこの警察官の無料弁護人になる」としたうえで、「歯の構造を対照した後、一致しないのであれば、無罪を宣告しなければならない」と主張した。この他にも数十人の「市民弁護士」たちが、投稿へのコメントを通じてアイスの弁護人を自任しはじめた。

11才の警察犬アイスは生後6か月で警察署に配属された後、10年以上にわたり多くの現場で活躍した=ワイアンドット警察署(Wyandotte Police Department)のフェイスブックよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 その後の投稿でワイアンドット警察署は、捜査を進めたりアイスを起訴した場合、大規模なデモが起きそうなので内部懲戒や刑事告発はしない、というユーモアを交えた立場を表明した。アイスは生後6か月の時にワイアンドット警察署に配属されたのち、10年以上にわたり警察官のパートナーである警察犬として活躍してきた。担当の警察官によると、アイスはこれまで数十の法執行機関を支援し、麻薬捜索、車両捜索、容疑者の追跡業務を受け持ってきた。現在は毎日パトロールに行っているわけではないが、今でも部署の一員として仕事をしている。

 「サンドイッチ窃盗事件」後もアイスは、警察署の最古参らしく地域住民たちの関心と愛情を受けている。警察署のフェイスブックには、バレンタインデーや聖パトリックの祝日などには、アイスとサンドイッチが合成された記事が投稿され、「有罪が立証されるまでは君は無罪だ。いつでも弁護人を訪ねてきて」というコメントが最近になっても書きこまれている。

キム・ジスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/animalpeople/companion_animal/1089385.html韓国語原文入力:2023-04-25 22:28
訳M.S

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