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[W杯]海外では賛辞、国内では非難の嵐…韓国サッカー、本当の敗北は試合後に訪れた

登録:2022-11-30 06:25 修正:2022-11-30 07:59
韓国代表チームのソン・フンミンが28日(韓国時間)、カタール・アルラヤンのエデュケーション・シティ・スタジアムで行われた2022カタールW杯1次リーグH組第2戦のガーナとの試合にマスクをつけて出場し、ヘディングを試みている=アルラヤン/聯合ニュース

 韓国サッカーの慢性的な問題が再び浮き彫りになった。ゴール決定力不足でも、バックパスの問題でもない。4年ごとに開かれるW杯になると、さらに激しくなる韓国代表チームの選手たちに対する度を越した誹謗中傷だ。

 ガーナ戦が終わった後、韓国代表チームのキャプテン、ソン・フンミン(トッテナム)のインスタグラムは、一晩中あらゆる悪質な書き込みで荒れた。そこにはアジア選手として初めてイングランド・プレミアリーグ(EPL)の得点王を獲得し、国民に喜びを与えた英雄の姿はなかった。ただ敗北の怒りをぶつける対象と化していた。眼窩骨折にもかかわらず、何物にも代えがたい実力のため、危険を承知でW杯に出場しなければならなかった選手に対する尊重はみられなかった。

 ガーナ戦で先発出場したクォン・チャンフン(金泉尚武)は、自分はもちろん恋人のSNSまで炎上した。守備と攻撃を行き来しながら献身的にプレーしたキム・ジンス(全北現代)も、本人はもちろん家族まで非難と嘲弄を受けた。他の選手たちも同様の悪質な書き込みに苦しんだ。その後、多くのファンが「善意の書き込み」で誹謗中傷を中和したが、選手に対する度を越した非難が相変わらずであることを改めて確認した出来事だった。

韓国代表チームのファン・インボムが28日(韓国時間)、カタール・アルラヤンのエデュケーション・シティ・スタジアムで行われた2022カタールW杯1次リーグH組第2戦のガーナ戦で、頭に包帯を巻いてプレーしている=アルラヤン/聯合ニュース

 まだ大会は終わっていないが、これまで選手たちは自分たちが4年間準備してきた試合をするため、最善を尽くした。一枚上と評価されるウルグアイと対等に戦い、ガーナ戦では0対2でリードされていた状況で、2対2まで追い付く闘志を見せた。そんな選手たちに対するオンラインバッシングに比べれば、敗北後に苦しむソン・フンミンのそばで「自撮り」しようとしたガーナチームのスタッフの行動は可愛いものかもしれない。

 英国の「テレグラフ」はガーナ戦について「完璧なW杯のドラマのための要素には、素晴らしいゴール、芸術的なカウンター、息つく暇もない流れの転換、最後の守り、立派なゴールキーパー、得点を祝ってカメラの前で吐くスラング、試合終了ホイッスルにひざまずいて涙を流すスーパースターの姿がある」としたうえで、「この試合にはそのすべてが揃っていた。本当に素晴らしい戦いだった」と報じた。そして「この試合が彼らの伝えられる楽しさを示すものなら、(韓国とガーナ)両方ともベスト16入りする資格がある」と評価した。海外メディアからは賛辞が送られているのに、韓国国内ではむしろ選手たちに唾を吐いているわけだ。

 選手たちに対する攻撃を見て、24日に行われたカナダとベルギーの試合を思い出した。同日、カナダは0対1で敗れ、チームのエースのアルフォンソ・デイビス(バイエルン・ミュンヘン)はペナルティキックでミスを犯した。ところが、カナダのジョン・ハードマン監督は、「我々は今、W杯の舞台にいる。サポーターたちはこの事実を誇りに思っている」と述べており、カナダ国民もこれに応えて選手たちに拍手を送った。同日、カナダ国営放送の「CBC」は、「カナダはW杯開幕戦に敗れたが(lost)、尊敬を得た(won)」と報じた。悲しいことに、私たちは勝利よりも大事なものを失った。

韓国代表チームのキム・ミンジェが28日(韓国時間)、カタール・アルラヤンのエデュケーション・シティ・スタジアムで行われた2022カタールW杯1次リーグH組第2戦のガーナとの試合中、痛みを訴えている。キム・ミンジェは同日、怪我をしたふくらはぎが完全に回復していない状態で試合に出場した=アルラヤン/聯合ニュース

 2018ロシアW杯で代表チームを指揮したシン・テヨン監督は、就任直後に行った「月刊中央」とのインタビューで、「韓国国民が普段からサッカーが好きで、プロリーグの観客席を全部埋めるような状態で、代表チームの監督を罵倒し訓戒するならばとても良いことだと、私は思っている」とし、「ところが、普段サッカー場に来ない人たちが、W杯になると、3000万人が監督でもなったつもりであれこれ口を出すのは皮肉だ」と語った。

 それから4年が経った今、どれだけ変わったのだろうか。韓国サッカーは血と汗と涙の混じった努力のおかげで、これまで少しずつ発展を重ねてきた。バックパスとオウンゴールを繰り返しているのは、匿名の裏に隠れて選手たちの魂にナイフを突き刺す人たちだけだ。

イ・ジュンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/sports/soccer/worldcup/1069419.html韓国語原文入: 2022-11-30 01:18
訳H.J

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