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北朝鮮代表出身の在日コリアン選手アン・ビョンジュン「北朝鮮チームも変わらない」

登録:2019-08-29 09:39 修正:2019-08-29 09:50
北朝鮮代表出身のプロサッカー2部水原FCのストライカー 
10月のW杯の2次予選の南北対決控えて期待感 
「いちばん重要なのはチーム、代表チームは後の問題」
水原FCフォワードの安柄俊(右)が7月13日、水原総合運動場で開かれたKリーグ2釜山アイパークとの対戦でドリブルしている=韓国プロサッカー連盟提供//ハンギョレ新聞社

 「安柄俊は活躍してますか?」

 プロサッカー関係者は先月、国際舞台で北朝鮮のサッカー関係者に会うなり、こんな話を聞いた。北朝鮮が、10月15日に平壌で開かれる2022年カタールW杯アジア2次予選Hグループの南北コリア対決を控えて代表チームの近況把握に乗り出したのだ。

 21日、水原(スウォン)総合運動場で会ったプロサッカー2部リーグの水原FCの安柄俊(アン・ビョンジュン、29・183cm)は「活躍してませんよ」と笑った。在日コリアン3世で、今季韓国の舞台に初めて足を踏み入れた彼は、先月まで16試合で8ゴールを決め、チーム内得点2位と活躍した。しかし、長く患っている右膝が痛み、最近1カ月間はリハビリ訓練を重ねた。彼は「2週間後には出場できそうだ」と話した。

水原FCの安柄俊が21日、水原総合運動場で明るく笑っている//ハンギョレ新聞社

 東京朝鮮高校出身の安柄俊は、北朝鮮の17歳・23歳年齢別代表に続き、2011年に北朝鮮A代表チームに初めて抜てきされた。2017年の東アジアカップ大会まで8試合出場。その後、最近まで空白期があったが、南北対決を控えた北朝鮮側の立場としては、韓国サッカーをよく知る彼の助けを期待している面もある。安柄俊は「代表チームにはいつでも行きたいが、思い通りになるものじゃない。フォワードの競争も激しい」と話した。権威主義的な北朝鮮体制の中でサッカー代表チーム内部のムードは固くないかという質問には、「全然そんなことはない。北朝鮮チームも他のチームと変わらない。若い選手たちは同じだ」と説明した。

 相対的に高い身長で制空権だけでなくテクニックも持った安柄俊は、ジャンプ力と耐える力を備えている。短身の外国人選手のチソム・エブチュラム(12ゴール)と「ビッグ・スモール」コンビで水原FC(6位)の威力を上げた。しかし、守備の加担までかかり活動量が多すぎたため、以前手術した右の膝に無理がきた。

水原FCの安柄俊が21日、水原総合運動場内の球団事務室の前でポーズを取っている//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮国籍の在日コリアン選手は鄭大世(チョン・テセ、清水エスパルス)や引退した安英学(アン・ヨンハク)、Kリーグ2部安山のフォワードのチン・チャンスなどがいる。彼らと年に一、二回は互いに連絡し合い、アドバイスも受けている。しかし、話に聞いていた以上に韓国サッカーは厳しかった。彼は「日本サッカーが戦術や技術面で繊細だとすれば、韓国は身体的にとても粘り強い」と比較した。堡塁のような韓国のディフェンスをまくための方法は、半拍子先に考えて移動することだ。彼は「チームメイト中ではチャン・ソンジェとパスのタイミングが合う。ペク・ソンドンやチソムとも息が合う」と話した。

 日本の中央大学を卒業した彼は、2013年Jリーグ1部の川崎をはじめ、昨年までJリーグ1~2部で101試合20ゴールを記録した。高校の校長の推薦で入学し経済学を専攻したが、入学の過程で差別はなかったと言った。同じように今年韓国に来たときも、特別な感情を抱くことはなかった。だが、今年の夏に家族と一緒に済州島を旅行したときは「『ここがお爺さんの故郷だったんだ』とこみ上げる思いがあった」と話した。

 日本で生まれ朝鮮籍を持ち、韓国でプレーする”国際人”の安柄俊に、理念や国境はない。「久しぶりにボールを蹴ると楽しい」という言葉のように、サッカーと家族が何よりも重要だ。彼は「北朝鮮代表チームに選ばれたら嬉しいが、もっと重要なのはチーム。早く復帰してゴールを決めたい」と強調した。

水原/文・写真キム・チャングム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/sports/soccer/907476.html韓国語原文入力:2019-08-28 19:23
訳C.M