原文入力:2009-09-23午後09:38:57
ブロガー人気 趣味の飲食写真 うまく撮る法…
ナプキンは反射板として使える
パク・ミヒャン記者
←目で味わう飲食恍惚境
“速く撮って撮って”“冷めちゃうじゃない。”“そこに物置いちゃ駄目”“何なの!”怒りんぼ写真家は助手に大声を出す。飲食写真は時間が生命だ。野菜がしおれる前に、汁の湯気がなくなる前に、いちはやくシャッターを押さなければならない。短い時間内に食べ物の色と味と香りをそっくり表現しなければならない分野だ。スタジオにいつも緊張感が張り詰めるのも道理だ。
料理広告写真,各種飲食関連書籍,レストランの壁装飾,飲食店メニュー,料理ブロガーたちのインターネットワールドなど、この頃飲食写真は日常に深々と食い込んでいる。うまく撮れた飲食写真はどんな真景山水画にも負けず劣らず見る人の度肝を抜く。食欲を刺激するのは飢餓より視覚的な要素だと言うじゃない!
黒い影は食べ物の味を落とします
どんな飲食写真がすばらしいのか? 経歴12年の飲食専門写真家パク・テシン(44)氏は「私たちの目で見た食べ物そのままをきっちり再現した写真」が立派だと話す。色感と質感をうまく表わさなければならず、暖かい雰囲気も輝く感じも写真家は静かにアングルの中に取り込まなければならない。良い飲食写真を撮るために彼が挙げる最初の徳目は食べ物に対する理解だ。料理にも顔と後頭部があり、きちんと調べなかったり、インド料理を入れた皿のそばにフランス料理に似合うフォークを置いたりしてはいけない。愛する恋人に近付くように少しずつ学んで見極めて‘それ’(料理)をよく知らなければならない。
←食べ物の右側(あるいは左側)に白い紙を立て、そちら側にフラッシュの方向を向けて光らせる。
実際の撮影に入れば食べ物の色再現が重要だ。自分のデジタルカメラでレストランに行き勇敢にシャッターを押したけど、目で見た食べ物ではなく魔女の食べ物のように奇妙な色の料理になってしまえば当惑する。光のためだ。すべての写真がそうであるように飲食写真も光が重要だ。普通、飲食写真に黄色や赤色が現われる理由はレストランの照明がデイライト照明(太陽光を基準として作った人工照明)ではなくタングステン照明であるためだ。この時、問題を解決する方法がいくつかある。カメラについているフラッシュを焚いたり、最大限太陽光が入ってくる窓側へ席を移して撮ることだ。フラッシュは小型のデイライト照明だ。黄色に白色染料を乗せるように色が変わる。この時注意することはカメラを被写体にあまり近づけて撮ると黒い影が生じることがあるという点だ。黒い影は食べ物をまずそうに見せる。自分の持っているフラッシュが外装フラッシュならば、さらに多くの方法がある。食べ物の片方に白色紙(なければナプキンでも)を立ててフラッシュを紙の方向で曲げて発光させれば食べ物の色と立体感が生きてくる。デジタルカメラ内にある‘ホワイト バランス’モードを選択した後、レンズの前に白色紙を置き色を合わせるのも良い方法だ。色温度の基準を変えたのだ。私たちの目には白色に見えても写真を撮れば赤い色で写る被写体の色が白く写る。時々、専門写真家たちは料理の暖かい感じを作るためにカメラに内蔵された色温度数値を変更して赤い色を入れたりもする。
食べ物をピョンピョンはねる生きている‘奴’に見えるようにするためには、立体感も生かさなければならない。専門写真家たちは一般的に2つ以上の照明を使う。食べ物の頭の上から広く照らす照明と、側面や後から狭く強く照らす照明。てっぺんから当てる広い照明は食べ物がどんなものなのか見せ、側面からの強い照明はいわゆる‘エッジ’を作る。側面光や逆光を積極的に活用すれば良い。携帯しやすい小さな反射板を活用する方法もある。反射板を突きつけた側は確かにより明るくなり、他方と露出差ができる。露出差は立体感を作る。
光を選択したら次に重要なのは構図だ。2次元の世界である写真は点・線・面で構成された絵と同じだ。目で見ている被写体を制限されたフレーム内にどんな点・線・面にきちょうめんに描き入れるか決めなければならない。普通、人が食卓に座った時に目に映る食べ物の姿をアングルに入れた方が良い。だが時には食べ物がゴッホの作品のように派手で美しければ食卓の上に果敢に上がって撮るのも良い。マイクロレンズやクローズアップ フィルターなどを使って食材料の極端で微細な表面を撮っても素敵な食べ物写真が撮れたりする。このように撮った玉ネギは時には寝ている妻の曲がった背中に見えたり、デコボコしたミカンの皮は幼い時期の顔にできたでき物に見えたりする。食べ物の友人たち、箸,ヤカン,コップ,食卓などをフレームに入れて撮っても雰囲気がある。
←1.照明(光)の前に焼酎ビンを立てる。2.焼酎ビンの形に紙を切り取る。 3.切り取った紙をビンの後に貼り付けて写真を撮る。 4.左側写真は後に反射板をつけた焼酎瓶,右側写真は反射板がない焼酎瓶.
SF映画にだけ特殊効果がある訳ではない。料理写真こそ映画監督ティム・バートンのように各種の特殊効果を使えばうまい作品が出てくる。1本の焼酎があるとしよう。単純にシャッターを何発か押せば緑色のきれいな焼酎は黒い鈍器に見えたりする。この時、焼酎ビンの後にビンの形に切った白い紙を素早く貼り付けビンの前面に光を当てて撮れば私たちの目で見た焼酎が撮影できる。後に付けた白い紙が反射板になったのだ。専門家たちは原色の飲み物をとる時‘フード カラーズ’や‘イエローフードカラー’のような食用染料を数滴落とし色をさらに濃くさせたりもする。飲み物が入れられたビンにグリセリン(粘り気がある透明液体)を塗り、水をかけてすっきりした感じも作る。特殊材質で作った氷は常連の小道具だ。ビールの泡がだんだんなくなるときは、少量の塩で即座にバブルを作る。この時、タイミングをのがさずシャッターを押さなければならない。時間との戦いだ。
←目で味わう飲食恍惚境
タバコの煙・アイロンの水蒸気で汁の湯気を作ることも
汁料理の写真は白い湯気が圧巻だ。写真を撮る時、目に映った湯気はどこかに消えてなくなる場合がある。こんな時も特殊効果を使う。
湯気の背景は暗くなければならず、湯気の後ろか横から光が入る時に撮る。湯気を作るために専門家は特殊な液体を汁の中に入れたりもする。原始時代(?) 写真家の助手は10本以上のタバコを一度に吸い口の中に煙を含んだまま汁の中へストローをさして吹いたりもした。当時の助手たちの受難は色々なエピソードを産んだ。あるスタジオの助手は汁からぐつぐつと上がってくるあぶくを作るために、注射器を買いに行き‘麻薬中毒’に間違われたりした。アイロンも便利に使われる。シューシューと湯気が立つアイロンを撮影直前におわんの上に置いて抜けば立派な湯気写真ができる。このようにした湯気はゆらゆらと天上に舞い上がる天女の翼のように妙な感動が漂う。
料理には5種類の味覚と5種類の法則,5種類の感覚をよく守らなければならないという話がある。5感中には色と香りがある。味も重要だが人の目を楽しませて嗅覚を刺激する能力も料理には重要だ。これらすべてのものを一枚で表現しなければならないのが飲食写真だ。飲食写真はまだ行ったことのない未知の世界へ導く。以前に味わったことのない食べ物は明らかに新しい世界だ。飲食写真はその指針書だ。
文・写真パク・ミヒャン記者mh@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/specialsection/esc_section/378402.html 訳J.S