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韓国研究者の手で編纂された初の民画全集刊行

登録:2015-03-05 05:43 修正:2015-03-05 06:12
『韓国の彩色画』全3巻出版
王族の狩猟場面を描いた胡猟図。韓国彩色画編集委員会提供//ハンギョレ新聞社

 最も韓国的な絵と知られる民画は朝鮮美を探求した日本の思想家、柳宗悦(1889~1961)が生涯愛した芸術品だった。日帝強制占領時代から日本民芸館を通じ朝鮮民話を収集した彼は、「後日必ずこの絵の価値が高く評価される日がくるだろう」と予言した。

 その予言が60年を過ぎ現実となって現れている。韓国国内の民話研究者の努力で800点を超える国内外の伝統民画を史上初めて集大成した全集が出された。ユン・ボムモ嘉泉大教授、チョン・ビョンモ慶州大教授、ユン・ヨルス嘉会民話博物館長など、国内の主な民画研究者約30人が10年以上精魂を込めて企画した末、今週出版した『韓国の彩色画』全3巻(タハルメディア・各巻20万ウォン=約2万2000円)だ。

 「宮中絵画と民画の世界」という副題がついた全集は、山水画と人物画、花鳥画、冊架図と文字図に分かれている。大きく宮中画と民間民画に分けられる伝統民画のジャンル別の主な作品約800点を、部分・全体図版、詳細な解題、説明と共に載せた。民話が最も多く所蔵された韓国と日本はもちろん、米国やドイツにある美術館、博物館、収集家など世界の主要所蔵先約50カ所を噂を頼りに訪ね回り、図版と関連情報を整理した初の記念碑的成果だ。

 王が座った龍床の背後にたてかけた太陽と月が共存する宮中装飾画「日月五嶽図」、森から勢いよく出てくる虎母子の姿を描いた「虎出山図」、王族の狩猟場面を描いた「胡猟図」(写真)、海や陸に住む多技な動物のイメージを使った「文字図」、ピカソ立体派絵画も顔負けしてしまう本棚の中の器物を非遠近法的に再構成した「冊架図」など、今まで目にした民画とは違う風変わりな図柄と躍動感あふれる大型作品が多い。図版の中で3分の2以上が今までほとんど知られてこなかった名品だという。

 約30人が10年以上図版など整理
 宮中画と民間民画約800点を集大成
 研究者「彩色画と改めて呼ばねば」
 21~22日の民画フォーラムで討論予定

『韓国の彩色画』全3巻 //ハンギョレ新聞社

 今まで民画研究の典範とされてきた総合図録には、1975年に在日同胞の建築家であり収集家であった伊丹潤が日本の講談社と出版させた『李朝民画』がある。1982年に作家の李禹煥氏と民画研究家チョ・ジャヨン氏が日本の研究者と共に構成した『李朝民画』(2冊)が追加で出され、90年代に李禹煥氏の寄贈コレクションを基にフランスのキメ博物館で作った図録も出版されたが、国内の学界で作られた全集はなかった。ユン・ヨルス嘉会民話博物館長は「近代まで韓国美術史の重要な領域であり、独創性と芸術性などで文人画を圧倒する成就を成し遂げておきながら、今も絵画史できちんと照明されてこなかった風土を改めるため、正統な全集を出そうとする研究者が心を一つにして作りあげた結実」と述べた。

 全集の題名は既存民画の名前を(伝統)彩色画に改めて呼ばなければならないとする研究者の問題意識を反映する。三国時代壁画や高麗仏画などに根を置く宮中画と自由奔放な庶民民画を、60年代以来ずっと民画と一括りして呼んできたが、今後はもう少し幅広くジャンルを包括できる彩色画にジャンル名を変えて呼ぶべきだとする提言を込めたのだ。

 これと関連して研究者と作家の集まりである韓国民画センターは、21~22日に慶州で民画フォーラムを開き、民画の呼称変更とジャンル的性格に対する討論を行う予定だ。

ノ・ヒョンソク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.04 20:39

https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/680796.html 訳Y.B

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