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ガールグループ「LADIES’CODE」を死に追いやった韓国芸能界事情(中)

登録:2014-09-15 11:45 修正:2014-09-15 12:12
ガールグループ「LADIES’CODE」の活動当時の写真。左から1番目と2番目が交通事故で亡くなったクォン・リセとコ・ウンビ。ジュニ(左3番目から)、ソジョン、エシュリーは負傷して回復中だ。//ハンギョレ新聞社

 シーン2。

 2013年のことだった。 音楽業界で働く友人らと話をしていた時、仮にも大衆文化の記事を書く者にしては業界の現実をあまりに無知という考えに及んだ私は、友人をつかまえて尋ねた。

「業界の雇用状況はそんなに悪いのか?」

 友人はたばこを深く吸って吐き出すと、こう答えた。

「ある会社がかなり危なそうだということを、どうやって確かめるか知ってるか? ジョブ・コリアとかインクルートといったインターネットの求職サイトに求人広告を出している会社なら、かなり危ない」

新規採用をしようという会社が危ないとはどういうことなのか。

「考えてもみろ。業界は狭いから、誰がどこで働いているか知れ渡っている。わざわざ求人広告を出さなくても、人が必要なら人づてで連絡して採用すればいい。にもかかわらず一般の人が見る求職ポータルに求人広告を載せるということが何を意味するのか。月給もまともに払えないという噂が業界で広まっているということだ。給料も払ってもらえなければ社員は会社を去り、代わりの人材を急いで探さなくてはならないが、そんな給料で働く人を業界で探すことはできない。こうして求職ポータルにたどりつくわけだ」

 友人はどんな会社が最近求人広告を出しているのか、そっと耳打ちしてくれた。名前を聞いただけでも誰もが知っている有名な会社ばかりだった。驚きを禁じ得ない様子の私に友人は笑いながらこう話した。

「サウンドエンジニアがスマートフォンアプリの開発会社に転職することが増えているじゃないか。あっちはそれなりに金になるから」

 音楽市場の状況が良くないことは知っていたが、どうしてここまで悪くなったのか。残酷な説明は続いた。

「まずCDが売れないだろ? 音源料率が殺人的に低いMP3も、近頃はダウンロードするより月定額のストリーミングで聞く人のほうが多い。ますます音楽では金を稼げない構造になってしまった。大きな芸能会社がドラマ製作や映画製作、ミュージカル製作になぜ参入するかというと、収益を最大限多角化しなければ生き残ることができないからだ。だけど、そんな能力が備わっている会社がどれほどある?  所属歌手がある程度人気があればグッズを販売したりテレビに出演できるだろうが、それも人気がでた後の話だ」

 話したいことが尽きないのか、友人はしばらく息を継いでから話を続けた。

「とはいえ、今の業界で急に多くの人が芸能界入りし過剰競争をしているかといえば、そうとも言えない。製作者数は昔も今も似たようなものだ。市場自体が減っているんだ。韓流に乗って海外に出て行けばいいか…。海外プロモーションはお金がかかる。それに、すべての海外プロモーションが儲かる商売でもない。結局音楽界の内需市場が廃れてこんな有様になったんだよ。モバイルで音源を打っても振り込みがいつになるか知ってる? 3月に曲を発表してちょっと売れたとしよう。精算は2か月の後の5月、実際に通帳に入金されるのは3か月後の6月だ。分期に一度だけ精算する現状のシステムでは、3月から6月まではじっと飢えを凌いでがまんしなくてはならない」

 私は恐るおそる友人に尋ねた。

「だったら、その間は他の仕事で食いつなぐしかないじゃない。社員が多ければ彼らに払う給料もなくてはならないし。音楽がそんなに金にならないなら、固定出演する放送もないし、アルバムやグッズを買ってくれる忠誠度の高いファンもない歌手は、どうやって暮らしていくの?」

 友人は苦笑いで答えた。

「イベント。前金で金をだしてくれるから」

 友人が吐いたたばこの煙が遠ざかっていった。

イ・スンハン 芸能ジャーナリスト (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.09.12 18:53

https://www.hani.co.kr/arti/culture/entertainment/654941.html 訳Y.B(1505字)

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